X ーthe another storyー
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第五十一話 決着その七
「俺もな」
「それではな」
「行くぞ」
「お互いにな」
二人は共に構えをとった、神威は持った剣を左脇に構え封真は右肩より上に構える、二人共剣を両手に持ち相手に剣の先を向けている。
そのうえでだ、突進し。
ぶつかると小鳥の前で激しい剣撃を繰り出し合った。
そうして何十合か剣を交えたところで。
封真の上からの一撃を神威の下からの返し刃が弾き返した、封真の剣は彼の両手を離れ回転して上に飛び。
そのうえで高く幅の狭い放物線を描き地面展望台の屋根に突き刺さった、神威はそれを見て封真に言った。
「俺の勝ちだな」
「そうだ」
封真もこのことを認めた。
「これでな」
「そうだな」
「お前は勝った、つまりだ」
「天の龍が勝ったな」
「人間は護られた」
封真はこの事実も告げた。
「確かにな」
「そうだな」
「これでな」
「そうなった、だが俺にはまだ戦いがある」
「神威よ、宜しいですね」
丁の声がここでした。
「今からです」
「わかっている、もう一人の姫様とだ」
「闘って下さい」
「そして封じる、それで何処だ」
神威は自分の頭に語り掛けてくる丁に尋ねた。
「もう一人のあんたは」
「東京タワーの頂上です」
「この場所か」
「はい、そこから最後の戦いを見ていました」
天の龍と地の龍のそれをというのだ。
「そうしていました」
「そうだったか」
「そなた死んでもよいのか」
もう一人の丁の声も来た、実に忌々し気な声だった。
「わらわが死ねば」
「構いません」
丁はもう一人の自分に答えた。
「元より覚悟のこと」
「だからか」
「わらわが死のうとも人間そしてそこにいる生きものが救われるなら」
そうであるならというのだ。
「構いません」
「まだ言うのか。しかしわらわを倒せるか」
今度は自信を以て言った。
「天の龍であろうとも一人で」
「倒すつもりはない」
神威は東京タワーの頂上を見据えもう一人の丁に告げた。
「封じる、あんたをな」
「倒すのではなく」
「そして姫様が死なない様にする」
そうするというのだった。
「姫様も救う」
「倒した方が楽なものを」
「俺は楽なことなぞ求めない」
こうも言うのだった。
「楽なことで望みが適わないのならな」
「今のそなたの望みはわらわを救うことか」
「本来のあんたをな、では行くぞ」
「一人で出来るものか」
「いや、二人だ」
だがここでだった、剣を先程の様に構えた神威の横に。
封真が来た、その手には彼の剣がある。
「神威、俺も行く」
「いいのか。強いぞ」
「強い相手だからだ」
封真も東京タワーの頂上を見上げている、そのうえでの言葉だ。
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