X ーthe another storyー
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第五十一話 決着その五
「きっとね」
「死ななくて」
「そして僕達のところに帰ってくるよ」
「そうしてくれるのね」
「うん、ただね」
それでもとだ、牙暁はさらに語った。
「彼が勝つか負けるか」
「そのことはなのね」
「彼は殺せない、神威もだけれど」
「そうした決着はつかなくて」
「彼もまた護りたいからね」
そう願っているからだというのだ。
「人間だから」
「それならね」
「僕たちの役目はね」
「果たせないわね」
「嫌かな」
「私の本当の目的は言ったわ」
これが庚の返答だった。
「だからね」
「そういうことだね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「そうなってもいいわ」
「そうだね、僕もね」
「そう願っていたわね」
「ずっとね、地の龍であっても」
それでもというのだ。
「そうだったから」
「それでよね」
「そうなってもいいよ」
「そうよね」
「僕にしても」
「なあ、戦いが終わったらな」
草薙は優しい笑顔で語った。
「その時はな」
「はい、天の龍の皆さんともですね」
「仲よくしないか?」
遊人に顔を向けて提案した。
「そうしないか?」
「いいですね」
これが遊人の返事だった。
「そうなれば戦う必要もないですし」
「そうだよな」
「でしたら」
それならというのだ。
「もうです」
「ああ、そうしような」
「楽しんで」
「ただ。戦いが終わったらあの人達はそれぞれの場所に戻るから」
颯姫は寂しそうに述べた。
「クランプ学園でも学校でも会えないわね」
「空汰さんと嵐さん、護刃さんはそうですね」
哪吒も寂しそうに俯いて言った。
「戦いが終わったら帰られますね」
「それぞれの場所に」
「そうですね」
「ですがどなたも生きておられますよ」
星史郎が俯いた二人に優しく告げた。
「ですからまたです」
「会えるのね」
「あの人達にも」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
「悲しい気持ちはわかりますが」
「別れることになると思うと」
「どうしてもそうなりますね」
「それでもです」
その感情は否定出来ないがというのだ。
「生きていればまた会えますよ」
「そうね、またね」
「その機会が来てくれますね」
「そうです、ただ僕は忘れて欲しいです」
星史郎は微笑んでこうも言った。
「昴流君には」
「忘れないよ、ただね」
その彼に牙暁が声をかけた。
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