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新オズの臆病ライオン

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第七幕その四

「人として器の大きい」
「素晴らしい人だね」
「何かオズの国に来て女性が好きではなくなったそうだけれど」
「そちらはなくなったんだね」
「そうなったらしいね」
「そこは変わったんだね」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「気前がよくて読書家で教養もあって」
「面白い人だね」
「お話をしてもね、今度機会があったら」
 その時はといいますと。
「じっくりお話したいね」
「いいね」
「あの、カエサルさんって」
 神宝はこの人について言いました、五人でそれぞれ点心を食べています。
「あの人もオズの国におられるんですね」
「そうだよ、それで楽しくね」
 魔法使いが答えました。
「毎日ね」
「暮らしておられるんですね」
「パスタやシーフードを楽しみながらね」
 そうしつつというのです。
「それにトマトが大好きなんだ」
「トマトもですか」
「あの人が外の世界にいた頃はなくて」
 そのトマトがというのです。
「オズの国で食べて感激したらしいんだ」
「あっ、その頃ローマにはトマトがなくて」
「オズの国ではじめて食べてだよ」
「あまりにも美味しくて」
「感激したんだ」
「成程ね」
 トマトとといた卵を炒めたものを食べつつです、臆病ライオンは頷きました。
「その頃ない食べものだってあるしね」
「トマトだってそうだね」
「南瓜やジャガイモもね」
 臆病ライオンは神宝に応えて言いました。
「外の世界だとね」
「うん、コロンブスさんが新大陸に到着するまでね」
「他の国にはなかったね」
「そうなんだ」
 神宝は臆病ライオンに答えました。
「これがね」
「僕今トマト食べてるけれど」
「トマトって中華料理にはね」
「中々なかったんだね」
「カエサルさんと同じ理由でね」
 新大陸が発見されていなかったからというのです。
「中々ね」
「なかったね」
「そうだったんだ」
 これがというのです。
「本当に」
「そうだね」
「いや、そう思うと」
 それならというのです。
「僕が今トマトを食べていることは」
「幸せだね」
「こんな美味しいものを食べられるんだからね」
「そうだね」
 神宝は臆病ライオンの言葉に笑顔で頷きました。
「そのことはね」
「神宝もそう思うね」
「美味しいものが食べられるなら」
 それならというのです。
「これ以上いいことはないよ」
「そうだね」
「そう思うよ、僕達が今食べている点心も」
 五人で、です。海老蒸し餃子に韮餃子、蟹焼売、ちまきといったものがあります。どれもとても美味しくて五人共舌鼓を打っています。 
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