人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
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95話 決まったMIRAI
「遂に来たか……!」
名古屋。東海地区予選の舞台……ここが要。
浦の星の存続…決勝への切符。決勝に行くことには意味がある。
スクールアイドルの本質————それは、人々に安らぎと英気を与えること。生きる希望を与えることだ。
かつて千歌のご先祖の高神千陽がその原型であったように……正確にはより太古の昔からあったのかもしれない。とにかく若い女が巫女となり、踊り歌い、人々の生命の原動力を振るわせる。
今、世界は邪悪の時代が始まろうとしている。
人々は苦しみ・絶望によって悪に染まり、それを邪神に利用されている。邪なる神の好物は悪意を抱いた存在そのもの。それを喰らうことで自らの原動力としてきた………全ては生きるため。なぜ生きる?生きる理由を忘れてもなお、永遠に生きる生物など宇宙の害悪だ。
邪悪は男が打ち砕く————仮面ライダーが打ち砕く。しかしそれは邪悪を滅するのみ。いわば「男は死を与えること」が本来の役目とも言えるのかもしれない。当然そんな彼らが《《生命を真の意味で生み出すなどできるはずもない》》。
そう……生命を生み出し、与えられるのは女性しかいないのだ。それも適齢期の女性だ————それこそスクールアイドルの根幹にある思想なのだ。
ガチャ
控え室に入る俺。目に映る……9人。
「よっ。」
「才くん!」」」」」」」」
そわそわした皆が俺の方を向いた瞬間、ぱぁっと笑顔になり、徐々に俺の方へと寄ってくるが俺は話を続ける。
「俺はお前らにあった最高の舞台演出を用意した。しかし……」
「そんなの飾り。本当に輝けるかは私たち次第———そうなんでしょ?」
「そうだ。」
千歌が俺の続きを見事言い当てる。
「俺は———お前たちがどんなパフォーマンスをしても、成功すると思っている。だから……精一杯舞台を楽しんでこい。」
「「「「……!」」」」」
俺は控え室から立ち去ろうとする……しかし千歌はその腕を掴み、俺を引き止める。
「……?」
「才くん、今までありがとう。私は……ううん。《《私たち》》は才くんがいるから最高のパフォーマンスができる。みんなを笑顔にできる————私たちがどんな力を持っていたっていい。才くんがどんな力を持っていたっていい。だから————」
「お前ら……」
『これからもずっとそばにいて?』
9つの声に、俺は無意味に見える脅しをかけてみる。
「————死んでもいいと?」
『死なないよ。あなたがいるなら……』
「………」
今度こそ……守ろう。死なせるわけにはいかない。
今はっきり気づいた。彼女たちは俺にとって絶対に守らなくてはならない存在であると同時に、離れてはならない存在だと……そのためならどこまでも残酷になれる。
なぜなら————理由はまだわからない。でもそれは必ずあるはずだ。
「聞いてて……才くん。」
「わたくしたちが奏でる———」
「過去のこと……そして。」
ルビィ、ダイヤ、果南が心を合わせて別々に言う。
『未来の……覚悟見てて。』
MIRAI TICKET
——————※——————
時を遡る。
【シトラス!】
ガシャコンナーガスラッシャー……9色のキーのうち中央にあるみかん色のキーを押す。
そしてキースラッシャー時代から引き継いだガンモードを使用し、みかん色の光弾を対峙するゲムデウスムテキに放つ。
「…!」
見事命中したゲムデウスムテキは大幅に体力を削られる————それもそのはず、みかんとは常世の国の果実。それこそ黄金の林檎と言われた不死の霊薬……それによって形成された刃や光弾は《《叡智を持って》》分断する。
たとえそれが空間だろうが……魂だろうが……斬れるはずのないモノすら。
俺は指パッチンで———月から出る闇がゲムデウスムテキに降りかかる……が、奴は使命を果たそうとお構いなしに俺の胸部を殴る。
しかし……その攻撃は同じムテキでもかすり傷すら負わせず、ノックバックすら負わない。
「弱く……なったな———!?」
「……!」
「はぁっ!!」
目にも止まらぬスピードでの無限斬撃……今までもスピードは冗談抜きで光を超えたスピード。だが今はもはや文字通り神のスピード。神秘的で美しい光を伴う神のスピード。
これが—————ムテキゲーマー ムーンライトフォームの力。
「ムーンライトフォームは月の力……いわば呪術の力さ。」
「……!」
「お前には弱体化の呪いを。そして俺はこのフォームでいる限り防御力、素早さが月が頂点に登るほどに強化のスピードが速くなる。」
【レッド! ライトブルー! エメラルド!】
三原色の斬撃がゲムデウスムテキを切りつける。火と水は奴の内部機能を貪り、故障を引き起こす……そこに植え付けられる木と花はエネルギーを吸い続ける。その木を燃やして……無限の弱体化。それは月の呪いによって加速する。
これがナーガの力の一端……これでもかなり手加減している。そして俺が成長すればこの剣も更なる高みへと———
【ナインズナーガ!】
俺は9つのキー全てを押し、ナーガスラッシャーにプリズムの如くエネルギーをチャージする……そして月から発せられた黄金の呪鎖がゲムデウスムテキを縛り付ける。
宇宙を駆け巡るような壮大な待機音が俺の心を躍らせる。
「さぁ……フィニッシュは必殺技で決まりだ!」
【AqoursNAGA CRITICAL FINISH!】
9つの大蛇……いや無限の大きさを持つといってもいい、9つの首を持つ美しきプリズムのヘビが幻影のように背後に現れ—————Aqoursのそれぞれのイメージカラーのレーザビームをゲムデウスムテキに放つ。
砂嵐を上げる……それこそピンポイントで物理攻撃、稲妻や暴風、津波、天火、植物繁殖、神の毒、磁力変異、地震などあらゆる天変地異を起こしている。
俺はその砂嵐に入り込み………
「これがフィニッシュだ!!!」
全ての色を併せ持つ白色の刃が————紛い物のムテキの体を切り裂く。
砂嵐は………止む。
俺以外に跡形も残さず————消えてしまう。
「ゲーム……クリア———!」
これからも続いていく……いや、ここから始まった。
拳を握る。
俺たちは戦い続ける———そこに何が待っていようとも。
アイツらを守るため。人々が笑顔で調和する社会のため。大切な人の笑顔を守るため………それぞれあっていい。
俺は————永遠にAqoursを守り続ける。
覚悟した。
〜〜挿入歌 FIN〜〜〜
—————————※—————————
【ポーズ!】
カチッ…カチッ………
静寂は訪れる。
仮面ライダーマルドゥクのドライバーを中心として時間は停止した。彼以外の時間は、彼が認めぬ限り決して動くことはない————だが。
「ポーズ……自分以外の時間を止める技か。」
「やはりあなたには効きませんか…!」
原理を説明しよう。
クウガの力、その本質は空間の形成と分断。今ライアルクウガを覆っているのは不可視の異空間——つまり《《ポーズの干渉を受けないバリア》》を自らの張り巡らせたようなもの。
これもまた天使ゆえになせる技なのか……
「私は今は一応半分は人間だが…腐っても最高位天使の上、原初の天使の片割れだ。《《本当の神》》に勝る時間操作などできるはずもない。」
「本当の……神だとォ!!!!」
突如激昂したマルドゥクはライアルクウガに殴りかかる。しかし……クウガの体はマルドゥクを透過する。
「どうした?怒りで能力を忘れたか?」
「フン…!」
黄金で縁取られたアークの制御装置を付けた右手から繰り出される、邪金のオーラを纏うパンチ。ライアルクウガに見事命中し……その異空間を破壊したかに思われた。
だがライアルクウガは少し後ろにジャンプした程度でダメージを喰らっていない。
「その程度じゃ俺に何層にも重なる空間は破けねぇさ——それに、どれほどお前との間に空間があると思ってるんだ?」
「なるほど……しかしあなたも攻撃できないでしょう?このポーズ空間の中では。」
「……!」
ポーズによって止まったもの……それは粒子とて例外ではない。原子操作系は使えないということ————この意味でどちらも攻撃を封じられている。しかしそれで終わらないのが、クウガの神髄。
「確かにポーズではそうだが……こんなこともできるんだぜ——!」
「!!…まさか。」
ライアルクウガが両手のひらを近づける。
すると突如ナムロドの体が徐々に小さくなり始める————否、ナムロドの存在していた1㎥の立方体ごと縮小され始めたのだ。故に当然ナムロドの体も小さくなる……地面に生えていた草も石も全て。
「調子に……乗るなぁ!!」
マルドゥクはABボタンを同時押し。必殺を待機させる。
【キメワザ!】
マルドゥクはBボタンを選択する。
【CRITICAL ZONE!】
赤黒い波動が広がっていく………それはライアルクウガが作り出した異空間を全て抹消する。
それにとどまらず、無数のエネルギー刃が空中に浮かび———ライアルクウガを襲い始める。それをトリプルアクセルで躱しきり、拳から発せられる雷をマルドゥクに落とす。
デウスランパートを再度召喚したマルドゥクはそれで雷を受け流す。
「やはり…エレメント攻撃は効かないか。」
「当然——あなたも同じでしょう?」
「近接物理攻撃でしか勝負はつけられない——か。」
「!!」
クウガが突如として消える———と思いきや、不意打ちの空間移動がマルドゥクを捉え、左ストレートがマルドゥクの左肩に直撃する。肩とはいえその威力は大きく、最小にとどめてもその余波が地球を駆け巡る。その拳にいかにマルドゥクと言えど大ダメージを負ってしまう。
物理攻撃……聞こえは単純明快だが、その重みはまさに神話級。自分の拳を空間と捉え、そこに係る重力を幾万倍と大きくしている。
さらに研ぎ澄まされたモーフィングパワーは核分裂を発生させ、その衝撃を一点集中かつ極限まで高めたパンチ。
【リスタート!】
時は再び正常な方向へと流れ出す。
「ぐはっ……キサマァァァ!!!!」
「どうした?アークに知能を借りている割には……不意打ちを喰らうとは。」
「借り物だと!?これは私のモノだ!!!」
マルドゥク怒りは膨らむ……なぜ借り物と言われれば怒るのか。
しかし、今回はその怒りは———喜びへと変わった。
「貴様は力を出しすぎた……!」
「————」
「私が…なぜアークに《《あの地域》》を狙わせていたか———6つの神石が封じられているからですよ。」
「何が言いたい?」
「世界樹復活には莫大なエネルギーが必要……神石に秘められる力が。ですが過去何十人もの人間が封印を強めてきた———アークはそれを解くため悪意も……純粋なパワーも収集してきた。つまり……こういうことですよ。」
ライアルクウガはマルドゥクがデウスラッシャーで指す方向を見る……と、明らかに6色のエネルギーが立っている。それもカラフルだが禍々しい様子がフルに伝わってくる……
マルドゥクは笑いが止まらない。
「これで封印は解けた!!いよいよ私だけの理想郷の完成も残りわずかだ!!フハハハハッ!!…フハハハッ!!」
「……!?」
黙りこくっていたクウガ———その沈黙はすぐに破られる。
地震。しかし普通の地震ではない……地中の何かが動いているような……尋常ならざるもの。
かと言って被害は出ないだろう…あまりに揺れる範囲が大きく、揺れていることにすら普通の人間には気づかないだろう。
マルドゥクは驚きと怒りに帰ってくる。
「まさか———《《戻ろうとしているのか》》!?全ての大陸が!!」
「パンゲア……《《言語も大陸も1つ》》。これが世界の元々あるべき姿だ。」
「やめろ!!!ここは私の理想郷だぞ!!」
「馬鹿者……誰がお前だけの理想郷だと?」
ライアルクウガが説教を始める———静かな怒りを持ち………
「お前は自分1人の永久平和のために、人々に血と涙を要求してきた……でもな、お前に抗う意志は——皆1人1人に宿る自由への意志は消えることはない。高神千陽という人物然り、それ以上前の人間だって、そう受け継いできた。」
「私の歴史改竄が無意味だったとでも言いたいのか!?」
「あぁ。どんなに名声や力を奪ったとしても、意志だけは受け継がれる———μ’sはその意志を世に叶えてくれた。それは本当に小さな光かもしれないが、それは最も輝ける者たちを呼び起こした。その輝きは……今、地球を——あるべき姿に戻しているのさ。」
μ’sたちは意志を世に知らしめた……それは小さきものだった。しかし闇の中で火を起こすのがどれほど難しいか——しかしそれは叶った。彼女たちは意図してやっていなかったかもしれない……それでも、大いなる輝きを覚醒させたのだ。
そしてそのμ’s意志を目の前で見てきた彼———原初の天使が言うのだ。
「バカな……ふざけるなァァァ!!!!!!」
「お前がイーヴィルガントレットとやらで全次元宇宙掌握が先か……賭けようじゃないか。」
「貴様らァァァァァァ!!!!!!!!」
【CRITICAL ZONE!】
マルドゥクは自身に有利な空間を展開しようとする……が、対するライアルクウガは満ち溢れる神の氣を脚に集約させる。
空我は走り出す……
「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
歪な空間は————彼方に消え去った。
———————※———————
『0』
『1』
…………『369』
『369』
『やはり……この世界ではこうなる運命か。』
猛々しい服装の男……表示されたパソコンを指で軽く突く。
サァ……
パソコンは見る影もなく…砂へと変わる。
『もう……創りなおすの面倒なのでやめてくださいな。』
『仕方ないだろ?自由にやるのが俺だ。』
困り顔の女性……現在黄金の瞳を持つ、三つ編みカシューチャを頭頂部につける彼女こそ————ハイパーロード/Aqours。
そして理事長席に気ままに座る筋骨隆々の質素な姿の彼は……ハイパーロード/ムテキ。そのエコーがかった威厳ある声を響かせ始める。
『その髪型は……この部屋では粋な話か。』
『うーん……あっちの方がいいかな?』
『別に——興味ないな。』
『まぁ!何て冷たい言葉を…!』
『事実を言ったまでだ。』
彼の冷淡な言葉に拗ねた彼女は……理事長室でウロウロ遊ぶ《《黒き髪に輝く白い瞳を併せ持つ》》年中児を抱っこしようとする——が。
『母上離して〜』
『え……』
『———《《自由に生きるのが普遍の真理》》だ。』
『そんな……《《愛のもとで秩序に生きるのも真理》》ですよ?』
自由と秩序……解放と束縛、仁愛と慈愛———両極にして、それぞれ愛を持っている。両極の2人———だからこそ惹かれたのかもしれないが。
『自分から道を塞いでくるとは——何度見ても驚かされるよ。』
『あなたの言い方が悪いですわ。この世界に、あなたが魂を送り込んだ時点で、あの9人がそれを手放すと思う?』
『全く……女ってめんどくさい生き物だな。』
『その言葉、そっくり返します。』
母がキッと睨む。
しかし父はそれを無碍にして理事長室の窓を無造作に開く———おそらく彼女の怒りを無碍にできるのは未来永劫、彼しか居ないだろう。
『世界は元に戻る……不均衡な世界から、均衡した調和の世界にな。』
『果たして、それは良いことなのか……どうでしょうか《《父上》》。』
先ほどまで幼児言葉しか喋れないと思っていた子が突如流暢に喋り出す……そう思い込んでいただけ。
『俺たち最高神はただ現象を起こし、見守るだけ。それをお前は1番身をもって実感するだろうな……《《ユオス》》。』
『僕の役目は——そうあるべきですから、父上。』
明かそう。
この白と黒の少年こそ……俺とAqoursの——唯一完全な自由を許された子、Uの神 オーヴァーロード/ユオス。
父……ハイパーロードMは宣言した。
『さて———俺たち手助けはここで終わり、ここからは……
楽しいゲームの時間だ。』
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