人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
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73話 無茶振りPeople
『ガアアアアアアアアアア!!!!』
「……………」
今日も早朝に怪人反応。ただどうも変身する気分にはなれなかった。今日の戦いには『生身』で行ってしまった。
調子に乗れば、報いを受ける。
そんな事は原始時代から言われてきた事だ。だが実際はこの有り様。
本来は自分が倒されるべき相手の腹や肩、胸には大きな穴が開き、愚かな人間へと姿を浄化された。
刺さっている対象が居なくなってしまったキースラッシャーが、ただ虚しく………荒野に突き刺さっているようだった。
あぁ、こんなことやってる場合じゃないんだ。早くアークを倒さなきゃならないんだ。俺がアイツらを守ってやらないといけないんだ…………そのためなら手段なんか選んでいられるか。
—————————※——————————
「zzzzzzz………」
「てやっ!!」
「うっ!!」
クーラーもない部室で、珍しく安眠していた最中。突如としてスパンという音とその衝撃が鼓膜に、しいては脳内に響く。
俺は訳もわからず、霞みながらも反応して立ち上がる。だがその素早い反応に衝撃を送った張本人の頭にゴツンとぶつかってしまう。
「「痛った!!」」
「「「「「「「「?????」」」」」」」」」
「ダイヤお前………!」
「どうしたの2人とも?」
曜が神妙そうな顔で聞いてくる。俺はこのもらい事故についてイライラ気味に弁明する。
「この硬女が叩いてきたんだよ………そしてあろうことか頭で衝突。ったくこのヌープ硬度100兆のダイヤモンド頭が!!」
「何ですかその言い方は!!ミーティング中に居眠りするからでしょう!?」
「録音してたからいいじゃねぇか。」
これ見よがしに俺はボイスレコーダーの音声を鳴らす。
『特訓!!ですわ!!!』
「………え、また?————よく見たらホワイトボードに書いてるし。」
「そうですわ!!特訓ですわ!」
「ほんと特訓好きずら………」
苦言を呈す花丸。ほんとこの熱意はあの合宿で覚ましてほしかったよ………
「てかルビィ、何検索してんだ?」
「えっと………あ、あった!!」
「これは………」
「Saint Snowだ!!」
ルビィの検索していたのは千歌が答えた通り、2人組のスクールアイドル Saint Snowだ。皆彼女らに興味があるのか、パソコンの前に寄ってくる。
「先に行われた北海道予備予選をトップで通過だって!」
「これが千歌たちが東京で会ったっていう………」
「あのバク転少女とキザ姉か。」
「いや、言い方!」
第一印象をそのまま言葉にしたところを梨子にツッコまれる。いやしかし俺は何も間違った事は言ってないと思うのだが…………
「まぁ実際、あのイベントは中止になるどころか東京の街が攻撃されるメチャクチャな展開になったからな………その中でただ唯一踊れたグループだ。無条件で話題となるのも致し方ない。」
「才君何か怒ってるずら……?」
「Saint Snowも頑張ってるんだ………!私たちも負けてられないね!!」
「そうだね。でも大事なのは目の前の予備予選。まずはそっちに集中しない?」
「あら?果南にしては随分堅実ねぇ?」
「誰かさん達のおかげで、色々学んだからね。」
あのサウザーが引き起こした東京からの一件。あれで死者こそ出ていないが、何人その犠牲になったことか。そのことについて俺は当然として、絶対に許すつもりはない。鞠莉に怪我の誘発をさせる薬を飲ませたり、松浦父を怪我をさせたり………『あの殺人』を抜きにしても、見過ごせない罪を犯している。
「才くん?顔が怖いよ……?」
「え、いや、ちょっと考え事だ。気にするなルビィ。」
「う、うゆ………」
なんか怖がらせたみたいだ…………申し訳ない。
「では!学んできたことを踏まえて!!—————」
「「「「「「「「「???」」」」」」」」」
——————————※———————————
「なんで…………こうなるのっ!!!」
「文句言ってないでしっかり磨くのですわ!!!!」
千歌のツッコミは的確すぎるほどに、的外れな特訓————プール掃除である。…………とそんな最中に、ルビィに花丸はヌルヌルしたプールの地面でで転けまくっている。
「これで特訓になるの?」
「体幹と瞬発力と持久力を鍛える訓練ですわ(?)」
「いくら何でも無理矢理すぎんだろ………」
Aqoursがデッキブラシで頑張っている中であるが、そこのグランドマスター(ちょっと嘘)であるこの俺はプールサイドから浴槽へと足を入れた状態でその労働を眺める。と、皆が懐疑的に思う中で鞠莉が爆弾を投下する。
「ダイヤがプール掃除の手配忘れてただけねぇ〜?」
「なっ!!忘れていたのは鞠莉さんでしょう!?!?」
「言ったよ?夏休みに入ったらプール掃除なんとかしろって。」
「だから何とかしてるじゃないですか!!!」
「へぇ〜!ナントカねぇ〜?」
「ぐぐぐぐ…………!」
小競り合い…………というか、ダイヤが一方的に煽られたような感じだ。側から見るとまるで子供同士の喧嘩にも見えるな—————
「生徒会長と理事長があんなの大丈夫なの……?」
「あはは……私もそう思う……」
「まっ、これが廃校寸前の生徒会長と理事長のレベルだなw」
「あっ(察し)………」
「(フラグ)立てたわね。」
「何立てたって善子?」
「ヨハネ………よ。(地雷踏んだわね)」
「え、何かあるの『お覚悟っ!!!』おわっ!!!」
デッキブラシが刀のように俺を叩き斬ろうとしてきた。本当に辛うじて、それを避けることができた。
「あっぶねぇな!!」
「才さん!!メンバー全員が掃除をしている中で、何で1人だけ高みの見物ですの!?」
「俺は別にラブライブの大会には『ずべこべ言わずやりなさい!!』
俺はデッキブラシと共に浴槽へと突き落とされる。普通の人なら危険な行為だが…………ムテキなのがほんと辛い。ムテキゲーマーに変身中はない痛覚が復活しているのに容赦なしかよ——————
「あなたがやればこの掃除も早く終わりますわ!!さぁ、おやりなさい!!」
「えぇ〜!?!?」
「まぁ、でもみんなで約束したもんね。生徒会長の仕事はみんなで分担するって。」
「そうだよ!みんなちゃんと磨かなきゃ!!ヨーソロー!!!」
「「うっ………」」
ノリノリで磨こうとするのは、水兵式の制服を着た曜。その姿もといそのテンションに俺と千歌は呆れ、『なんだコイツ』みたいな視線を向ける。
「デッキブラシといえば甲板磨き!!となればこれです!!!」
「「(あぁ、コイツ制服+船っ娘だったな………)」」
「貴方………その服はなんですの!!遊んでいる場合ではありませんわよ!!」
「遊びではないであります!!さぁ、伊口グランドマスター!!一緒に我が船を磨きましょう!!」
何かやらなくてはならん雰囲気になってしまった。
「クソッ、この秘密結社Aqoursのグランドマスターに雑用をやらすとは…………!」
「いつから秘密結社なったの………?」
「ワオ!イル◯◯ティみたいね。」
「鞠莉、それダメだから。」
「秘密結社………悪魔崇拝!!」
「だからノリに乗るなずら。」
「本当にいつになったら終わるのやら………」
裏から支配する某秘密結社云々より、先に俺が生徒会長に消されそうなのどうにかしてくれません?
—————————※—————————
プール掃除をピッカピカ(やけくそ)にした後、元いた部室に戻る。
「いや〜ピッカピカになったね〜」
「ほら見なさい。やってやれないことはありませんわ!」
「「「「「「「「「えぇー!?!?」」」」」」」」」
他の8人は驚き呆れる。そして俺は誓った。絶対雑用は2度とやらないと………
「はいはい。じゃあ、練習を始める前に少し俺から提案がある。」
「提案…………?」
「今回の予備予選は梨子がAqoursに入る以前に、作っていたものだ。」
「そうなの!?」
「う、うん…………」
曜の驚きの声に梨子は控えめに答える。
そして静寂が周りを包み、みんなが息を呑む中で俺の口は少し斜めに吊り上がる。
「このアドバンテージを生かさない手はない。」
「つまり!………どういうこと?」
「梨子にはピアノ伴奏をしてもらう。」
「え?」
「ライブ会場でその曲を弾いてもらう。もちろんライブ衣装でな。」
「ええええ!!!そんなのゼッタイ無理よ!!」
梨子の驚きと強い拒絶感が遠慮を伴って、俺の耳に突き刺さる。だが俺はあいにくムテキなので意味がない。
「いーや!!お前にはやってもらう!!せっかくのスランプ脱出にはちょうどいい舞台とは思わないか?」
「そうだけど………」
「お前のピアノの実力はピアノの実力者が決めるのか?それを決めるのはお前自身じゃないのか!?スクールアイドルもピアノも、人の心を動かして、輝かせるんだよ。」
「才君………わかった。私やってみる!!」
「ライブ会場にピアノ持ち込むは大丈夫ですの……?」
「大丈夫だろ(適当」
ここまで少し流れが良すぎるように感じてしまう。しかし、これ以上の問題があるのだ。だから緩んではいけない。
「さて、もう一つ問題がある。」
「もう一つ?」
「あっ、梨子ちゃんがピアノに回るって事は……センターの片割れがいなくなる。」
「そうだ果南。だから早急に代役を立てる必要がある。そこで…………」
俺は代役を務められるであろう人物へ視線を送る。そして俺を見ずとも、皆がある1人に視線で投票する。当の本人はどうしようかと真剣に迷っているようだが…………
「オイ………《《曜》》————」
「ん?」
「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」
「え?……ゑ?」
「むん!」
「わ、私!?」
千歌のやる気満タンな目にようやく気付く曜。彼女にとっては意外………しかし俺や他のメンバーにとってはそれしかありえないと思うぐらいだ。
「ということで、曜頼むぞ〜」
「いやいやいや!!私絶対ムリだよ!!ムリムリムリ!!」
「じゃあ、《《やめる》》?」
「うっ………」
「どうなの曜ちゃん?や・め・る?」
「ここぞとばかりに揚げ足を—————」
梨子が苦言を呈す通り、相手の出したボロを自分がイジられてきたネタでイジる————これが俺たち幼馴染のカタチだ(大嘘)!!
————————※————————
興醒めな砂漠へと魁は誘われる。虚無の世界。最果ての場所。力を欲しない、乾ききった無欲な土地。ただ逢魔が時の世界。
そう、魁だけは意外すぎる選択をした。
「変身前の姿を拝むのは初めてかもしれないな………!」
「ハハハ……その余裕があるとは、流石は王の資質を持つ者か。」
「才の祖父……いや、全時空の大覇王と戦うことで見える世界———それを見てみたい。」
詳細は省くが、魁はオーマジオウと修行することを訴えたのだ。誰もが想像できず、恐れ慄くような覇王への反逆。摂理への反逆。
オーマジオウはその事象は予見していたらしく、この状況になったのだ。
もし光の意思ルーの本体である光の女神 アマテルがオーマジオウに均衡のために作られたのなら、文字通り魁は神すら恐れることをやろうとしているのだ。
もう正気の沙汰ではない。
だが正気の沙汰ではアークは倒せない。当然その先にいるかもしれない神殺しの神 闇の天帝も——————
「行くぞ……キバット!」
『オーマジオウ……貴方に敬意を払い、絶滅させていただく。』
≪ガブリ!≫
「変身!!」
ダークキバへとその姿を変える。
伊口仙悟の王の如く衣装に風が吹く。しかしたなびかない。
「王としての格の違いを思い知らせてやろう……」
まるでアークルの如くオーマジオウドライバーが顕現する。そして両側の装飾を押し込む。
大地がひび割れ、マグマが溢れる。天がこれを祝う。
「…………変身。」
≪祝福の刻!≫
≪最高!最善!最大!最強王!≫
≪逢魔時王!!!!!≫
再びその荘厳な姿を下々民である我々にお見せする。『ライダー』の複眼が怪しく輝き、黄金の余波がダークキバの体を刺激する。
「行くぞ!!」
「うむ。」
漆黒の拳が覇王に向かう。だが読み切っていたかのように、受け止められる。逆にカウンターとして掌からの重い重い衝撃波を受け、吹き飛ばされる。
次の攻撃として自分の専用武器であるジャコーダーを鞭状にして攻める。だがまるで効果がない。火花こそ出ているが、ダメージどころか吹き飛びすらしない。
そして突如クロックアップしたかのようにダークキバの懐に入り、爆裂波を直撃させる。
「ぐっ……何で攻撃が効かない————?」
「当然だ。才に力を与えたのも私———私から由来する仮面ライダーの力だ。」
「じゃあムテキゲーマーの力も織り込み済みってか……だが、関係ねぇな!!」
「愚かな————」
≪キバ!≫
再びジャコーダービュートを飛ばす————が、その鞭は王の剣によってぶった斬られる。そう、現れたのはザンバットソード。
オーマジオウはザンバットバットを一往復、パワーを増幅させて斬撃を放つ。
ダークキバは緑の紋章を防御壁として利用する。その攻撃を防ぐとともに、それをオーマジオウに向かって正面から放つ。
オーマジオウは特に反応を変えぬまま、紋章を手のひらでその進行をピタリと止める。
「フッ、甘いぞ。」
「なっ……」
エネルギーの溜まった拳を再びその紋章へと翳し、黄金色に色を変えることで紋章の支配権を自らとして、それをダークキバへと返却する。
逆に紋章に捕らえられたダークキバ。その隙にオーマジオウはベルトの両方の装飾を同時に押し込む。
≪終焉の刻!!≫
荘厳な待機音の中、オーマジオウはドライバーの左側の装飾を9回押し込む。
≪キバの刻!ウェイクアップ!!≫
ザンバットバットの口をパワーチャージのように一往復させ、刀身を赤へと変化させる。王の剣を大きく振るって、紋章に捕らわれたダークキバへと放つ。
紋章がステンドグラスのように砕け散り、ダークキバの変身が解除される。
「ぐっ………」
「なかなか強いではないか。口ほどにはあったようだな。だが……私には遠く及ばんがな。」
「いや……まだだ!!まだ終わってない!!」
「フハハハハ……!いいだろう!無意味だが———お前がやると言うのなら、私は付き合ってやろう!!」
「はあああああ!!!!!」
無謀はやがて最強を作り出す…………!
———————※———————
「さて、今日から新しい武器でも作るか……」
大きな独り言を言う。
今、俺のムテキゲーマーは進化としての《《1つの大きな山》》を迎えようとしているだろう。それに伴い、それに見合った武器とはいかずとも、何か強力な武器を作りたい。
目標を言うなれば、皆で共有できる武器でありながら、何か強力な特殊能力を持ち、なおかつ自律戦闘を可能とする武器……いや、剣か。
「!!————閃いた。」
太陽を思わせる光を放ち、あらゆるものの正邪を切り分ける光剛たる剣。それに加えて、光を飲み込む漆黒を纏い、生きとし生けるものの命を正義を持って封ずる月闇広がる剣。
その剣の二刀流。一方がもう一方を引き寄せ、両方の剣が合わさることで世界を自由に統べることを可能にする。
思いついたのならば、早速取り掛かろう。
そして完成したならば————初めに誰に使わせようか?
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