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新オズの臆病ライオン

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第四幕その一

                第四幕  命の大きさ
 動物園を巡る中で、です。神宝達五人はあることに気付いてそのうえで臆病ライオンに対して言いました。
「あの、臆病ライオンってね」
「いつも足下気にしてるね」
「それも凄く」
「足元の確認をいつもして」
「それで歩いているわね」
「うん、虫を踏んだら駄目だからね」
 臆病ライオンは五人に答えました。
「だからなんだ」
「へえ、虫を踏まない様になんだ」
「気を付けてるんだ」
「オズの国では誰も死なないから虫を踏んでも虫は死なないけれど」
「それでもなの」
「注意しているの」
「踏まれると痛いしいい気持ちはしないだろうから」
 それでというのです。
「僕はいつもね」
「注意しているんだ」
「虫を踏まない様に」
「足下をよく見て」
「そうしてなんだ」
「注意しているんだ」
「そうなんだ」
 こうお話するのでした。
「本当にね」
「凄く優しいね」
 神宝は臆病ライオンのお話を聞いてしみじみと思いました。
「そんなことまで考えているなんて」
「それで実行しているなんてね」
 恵梨香も言います。
「とんでもない優しさよ」
「臆病ライオンが優しいことは知っていたけれど」
 それでもと言うジョージでした。
「これ程なんてね」
「こんな優しい人や生きもの他にいるのかな」
 カルロスは思わず首を傾げさせてしまいました。
「果たして」
「オズの国一番のハートの持ち主樵さん位かしら」
 ナターシャは他ならぬ樵を見つつ言いました。
「臆病ライオン以上に優しいとしたら」
「うん、僕も臆病ライオンは凄く優しいと思うよ」
 樵も言ってきました。
「これ以上はないまでにね」
「そうですよね」
「樵さんから見てもですよね」
「臆病ライオンは優しいですよね」
「誰にも負けない位」
「そこまでですよね」
「だから僕も負けていられないと思ってね」
 樵にしてもというのです。
「いつも優しくあろうとしているんだ」
「人には優しくしないとね」
 かかしも言います。
「オズの国の法律でもあるし」
「思いやりと労わりですね」
「そしてその心を理解する」
「それが優しさですね」
「具体的にどういったものかというと」
「痛みも知ることですね」
「若しそうしたものがないと」
 かかしはさらに言いました。
「そんな人と一緒にいたいかな」
「いたくないです」
「外の世界ではたまにそんな人いますけれど」
「皆から嫌われます」
「そして誰からもそっぽ向かれます」
「そうなります」
「そう、優しさは人を助けてね」
 そうしてというのです。 
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