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ギャルサンタ

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第二章

「長谷部友美っていいます。名古屋で高校生やってます」
「日本のか」
「そうだがや」
 あからさまな名古屋弁で返した。
「好物はきし麺と味噌カツです、ういろう命っす」
「宗教は何処じゃ」
「浄土真宗っす。けどマジ織田信長さん好きっす」
 一向宗即ち浄土真宗と激しく戦った彼をというのだ。
「ガチ恰好いいんで。ああした人痺れるっす」
「そうか、仏教徒か」
「あとドラゴンズ教っす。落合さんカムバックていうか」
「っていうか何じゃ」
「立浪さんマジ有り得なくない?っていうか」
 今度はこう言うのだった。
「白米位食べさせてくれって感じだがや」
「よくわかった、趣味は何じゃ」
「読書とテニスっす」
 この二つだというのだ。
「司馬遼太郎さん好きっす、テニス全国大会出たっすよ」
「クリスマスの欠片もないではないか」
「いや、祖父ちゃんがたまたまサンタさんで」 
 友美はサンタにあっさりとした口調で返した。
「その祖父ちゃんがぎっくり腰になりまして」
「代打か」
「そうっす、バイト代いいって聞いたっすから」 
 それでというのだ。
「大学合格したし暇なんで来ました」
「意外と勉強は出来るか」
「人は外見で判断したら駄目っすよ」
 友美はサンタにこうも言った。
「私これでも真面目っすから」
「そうは見えんがのう」
「煙草も悪い遊びもしないっす、ちなみに合格した大学は中京大っす」
「ほお、野球の中京高校のか」
「その上っすね、将来は真面目に働いていい奥さんになるのが夢っす」
「そうなのか」
「彼氏一筋っす、それじゃあ宜しくお願いっす」
 こうサンタに言うのだった。
「それでバイト代で彼氏と初詣行くっすよ」
「熱田神宮か、名古屋なら」
「そうっす、あそこに振袖着てお参りして」
 クリスマスだが正月の話をした。
「出店で豪遊するっす、クリスマスはさっきまでクラスメイトとチキンナゲットとケーキでお祝いしたっすよ」
「そうか、しかしな」
 サンタは友美の話をここまで聞いたうえで言った。
「お前さん最後以外は全くクリスマス要素ないぞ」
「サンタの服着てるっすよ」
「そんなサンタの服は本来ないわ」
 赤と白の臍出しミニスカのそれを見て言った。
「真冬だぞ、真冬」
「クリスマスはっすね」
「オーストラリアは別だがな」 
 南半球のこの国はというのだ。
「今夏だがな」
「私の担当名古屋っす」
「日本の街だな」
「そうっす、生まれ育ちの場所っす」
「赤味噌の場所か」
「お味噌は八丁味噌一択っすね」
 またしてもクリスマスとは無縁のものを出した。
「味噌煮込みうどんもいいっす」
「そうなのじゃな」
「海老フライにも付けるっすよ」
「お前さんの好みはわかった、しかしな」
「この格好はっすか」
「サンタのものではない」 
 こう言うのだった。
「名古屋も冬だぞ」
「ドラゴンズは今絶対零度っす」
「クリスマスプレゼントはドラゴンズの優勝と言いたいのか」
「私には駄目っすか」
「そんなことは立浪監督に言え」 
 他ならぬその人にというのだ。 
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