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新オズの臆病ライオン

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第三幕その九

「どうしたのかな」
「貴方寝ている場所に他のところに来たのよ」
「動物園から?」
「そうなのよ」
「そういえばここ海岸だね」 
 ボタンはまだ寝たまま周りを見回して言いました。
「そうだね」
「ええ、ギリキンの北の海の小島よ」
「そんなところに来たんだ」
「そうなのよ」
「ここに来たのははじめてかな」
 ボタンは上半身を起こして周りを見回して言いました。
「そうかな」
「一回位来たんじゃないかな」
 臆病ライオンは笑って言いました。
「若しかしたら」
「わかんなーーい」
 これがボタンの返事でした。
「だって僕いつもこうだから」
「寝ている間にだね」
「何処かに行ったりするから」
 だからだというのです。
「そうだからね」
「いつもだからだね」
「一つ一つ来た場所はわからないね」
「そうなのかな」
「おそらくね、けれど見付けたし」
「ええ、それじゃあね」 
 ドロシーが応えました。
「今から一緒にね」
「帰ろうね」
「そうしましょう」
「そういえばドロシーさんも臆病ライオンも翼着けてるね」
 ボタンはここでこのことを言いました。
「そうだね」
「ええ、そうだけれど」
「それを使って飛んで来たのかな」
「そうよ」 
 その通りだとです、ドロシーは答えました。
「貴方を迎えにね」
「有り難う、そこまでしてくれて」
「それで君もだよ」
 臆病ライオンも言ってきました。
「今からね」
「翼着けていいんだ」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「ドロシーと一緒に僕の背中に乗って」
「飛んで帰るんだね」
「そうしよう」 
 こう言うのでした。
「今からね」
「うん、僕もお空を飛べるなら」
 ボタンは笑顔で応えました。
「一緒にね」
「戻ろうね」
「動物園までね」
 笑顔でお話してでした。
 ボタンも翼を着けます、白い水兵さんの服で背中から一対の翼を生やしたその彼の姿を見てでした。
 ドロシーも臆病ライオンもです、こう言いました。
「可愛いわね」
「うん、小さな天使みたいだね」
「男の子のね」
「ドロシーは女の子の天使でね」
 今の彼女はというのです。
「それでね」
「ボタンはね」
「男の子の天使だよ」
「この子はそうね」
「うん、凄くね」 
 臆病ライオンは笑顔でこうも言いました。 
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