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新オズの臆病ライオン

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第三幕その八

「一緒になったら翼は四つだね」
「一人ずつだと二つずつだけれどね」
「二つより四つの方がね」
「速く飛べるわね」
「それに別々だとお互いの飛ぶ速さに合わせたりね」
「そうもなるし」
「だからね」  
 そうしたことが考えられるからだというのです。
「ここはね」
「一緒にだね」
「僕の背中に乗って」 
 そうしてというのです。
「行こうね」
「そうね、それがいいわね」
「それじゃあね」
 ドロシーが頷いたのを見て笑顔になってでした。
 臆病ライオンはドロシーを自分の背中に乗せました、そうして一緒に飛び立つと。
 ドロシー達は風に様に速く舞い上がり空を飛びはじめました、皆が手を振って見送るのは瞬く間に見えなくなって。
 下はもう海になりました、ドロシーは羽ばたく中で臆病ライオンに言いました。
「この翼只でさえ速いのに」
「こうして一緒になるとだね」
「翼が倍になったから」
 だからだというのです。
「尚更ね」
「速くなったね」
「もうね」 
 それこそというのです。
「風の様にね」
「飛んで行くね」
「これは凄いわ」
「全くだね、これならね」
 臆病ライオンはドロシーに言いました。
「すぐにだよ」
「ボタンが今いる小島までね」
「行けるよ」
「そうね」
「実際もう見えてきたし」
 臆病ライオンはその目に小島を見付けました。
「だったらね」
「あの小島までね」
「今から行こうね」
「それじゃあね」
 ドロシーも頷きます、そうしてです。
 小島がどんどん近付いて来る様に見える中一緒に飛んで行って小島に着きました、するとなのでした。
 ボタンは二人が降り立った海岸のところで仰向けですやすやと眠っていました。ドロシーはこの彼を見て言いました。
「いつも通りね」
「気持ちよさそうに寝てるね」
 臆病ライオンも彼の寝顔を見て言います。
「とても」
「そうね」
「じゃあ今からね」
「ボタンを乗せてね」 
「僕の背中にね」
「そうしてね」  
 そのうえでというのです。
「彼にも翼を着けてあげて」
「今度は六枚の翼で飛んで」
「皆のところに帰りましょう」
「そうしようね」
「ボタン起きて」
 ドロシーは寝ている彼に声をかけました。
「お話があるの」
「あれっ、お話って?」
 ドロシーの声を聞いてです。
 ボタンは目を開きました、そして寝ぼけ眼を擦りながら言いました。 
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