野良から懐いた猫
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第二章
「私達もね」
「そうだな、この子はな」
「ニャア」
リビングにチャトラの雄猫がいた、まだ子猫である。夫はその子猫を見てそのうえで妻に対して応えた。
「ドビーもな」
「火事現場からね」
「助け出されてな」
「保護施設で手当てを受けて」
「そこで里親を募集していてな」
「たまたまあなたがその施設のサイトを見て」
そうしてというのだ。
「それでトビーが目に入って」
「この子と一緒にいたいと思ってな」
「私もで」
「それでだ」
「施設に行ってドビーと会ったら」
「ドビーも近寄って来てな」
そうしてというのだ。
「一緒になったな」
「家族に迎えたわね」
「運命の出会いだな」
「その銀行員の人もね」
「今では」
ここでだった。
三匹の猫がそれぞれリビングに来た、白い雌猫とブルーグレーの毛の雄猫と黒い雄猫だ、三匹はドビーのところに来てだ。
「ニャア」
「ナア」
「ウニャア」
丸くなっているドビーのところに来た、そしてだった。
一緒に眠りだした、特に黒猫がドビーに寄り添っている。夫はその光景を見て話した。見れば首輪にはそれぞれ名前があり。
白猫にはスウィフ、ブルーグレーにはオリオン、黒猫にはノーライルとある。夫はその彼等を見てまた言った。
「三匹とも仲がよくなったしね」
「前からうちにいるね」
「特にノーライルとな」
「そうよね、皆とも仲よくなれてるし」
「ドビーはうちに来てよかったよ」
「本当にね」
「うちに来たのは運命だったんだ」
夫は優しい顔と声で言った。
「だったら」
「私達はね」
「その運命に従って」
「ドビーも他の子達も幸せにしていきましょう」
「これからも」
こう話して猫達を温かい目で見た、彼等は今はすやすやと眠っている。そこにはドビーもいるが実に幸せそうであった。
野良から懐いた猫 完
2023・11・17
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