野良から懐いた猫
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第一章
野良から懐いた猫
カナダオンタリオ州においてだ。
マリー=オコナー銀行員をしている彼女は日課として愛犬であるマルチーズとプードルのハーフの白い雌犬ミラの散歩を行っていた、すると。
「ニャア」
「ワン」
「あら、野良猫かしら」
何処からか黒い雌の猫が来た、そしてだった。
ミラに喉を鳴らし近寄り頬を摺り寄せてきた、ミラもそれに応え。
尻尾を振って身体を寄せる、そこから二匹で遊びはじめた。猫はミラと暫く遊ぶと何処かに行ってしまった。
こんなこともあるのかとだ、オコナーはこの時は思っただけだった。緑の芽で細い顔と見事な長いセットした金髪と赤い唇に一六五位の均整の取れたスタイルで犬と一緒にいる姿はグラビアの様だったがそれよりも今はそう思うだけだった。
「本当に何処からかよ」
「猫が来てなの」
「うちの娘と遊んだから」
職場で同僚に話した。
「何処の娘か気になるしね」
「猫が犬と遊ぶのもね」
「それも初対面のね」
「そんなこともあるのね」
「ええ、不思議と言えば不思議ね」
「そうね」
こうした話をした、そしてだった。
オコナーはミラの散歩を続けた、すると毎日だった。
その猫が決まった場所で出て来てミラと遊んだ、ミラも楽しい感じで応じていた。そんな日々が続き。
「その猫もなの」
「家族にしたわ」
また職場で同僚に話した。
「ミラも楽しく遊んでるし」
「その猫と一緒に」
「だからミカと名付けて」
そうしてというのだ。
「獣医さんに診てもらって」
「どうだったの?」
「異常なしだったわ、それで首輪も買って」
そして付けてというのだ。
「キャットフードに食器も買ってね」
「今は家族ね」
「お家の中でいつもミラと遊んだり一緒に寝てるわ」
「それは何よりね」
「ええ、幸せに過ごしてるわ」
二匹はトダ、オコナーは笑顔で話した。その話をだ。
たまたまSNSで知ったロブ=マグアイヤ皺が目立つ理知的な顔立ちの初老の学校の先生をしている彼は妻のサリー金髪で青い目のやはり初老の彼女に話した。
「運命の出会いかな」
「その人にとって」
「その黒猫との出会いは」
「そうね、そしてね」
妻は共に自宅のリビングでくつろぐ夫に話した。
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