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夢幻水滸伝

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第三百二十一話 北太平洋の中心その十三

「ほんま見ることもな」
「大事なことですね」
「政でもな、勢力圏を見ていって」 
 そうしてとだ、トウェインは話した。
「これから完全に勢力圏に収めるや」
「オレゴン州もですか」
「見ていくか、ただあの州はな」
 オレゴン州の話もしたのだった。
「どうもこれといってな」
「敵対的な勢力がないですね」
「どの街や村もな、治安もな」
「悪くないですね」
「これといって苦労せんで」
 そうしてというのだ。
「掌握出来そうやな」
「そうですね、あの州は」
 市長もそれはと答えた。
「有り難いことに」
「そや、ただオレゴンの北のな」
「ワシントン州ですね」
「あそこにはヘミングウェーがおる」
 彼のことを言うのだった。
「シアトルを拠点としてな」
「あの方は今あの州を統一されて」
「万全に治めてるな」
「左様ですね」
「勢力を整えてる」
 その統治がいいというのだ。
「そやからな」
「ワシントン州については」
「どうにもな」
「安心出来ませんね」
「あいつとどないしてくかやな」
 ヘミングウェーと、と言うのだった。
「一体な」
「それが問題ですね」
「オレゴンにも進出してくるかも知れんしな」
「そのことを今お考えですか」
「今考えだした、あとや」
 トウェインはさらに話した。
「わいは今太平洋に面している諸州を掌握していってるが」
「カルフォルニア州もハワイ州もそうですし」
「オレゴンもやしな」
「ひいてはヘミングウェー様のおられるワシントン州も」
「もう一つそうした州があるな」 
 その声を鋭くさせてこの言葉を出した。
「そやな」
「アラスカ州ですか」
「もっと言えばアッツ島とかサイパン島とかもやが」
 島々の話もしたのだった。
「アラスカもや」
「そうした州ですね」
「太平洋の諸州を掌握するとな」
「それだけで違いますね」
「貿易それに漁業で得られる利益がな」 
 貿易だけでなくその産業のことも頭にあった。
「大きい」
「だからですね」
「太平洋に接している諸州島も含めてな」
「完全にですか」
「掌握してな」
 そうしてというのだ。
「それからな」
「東に進出しますか」
「内陸部に向けてな」
「それがトウェイン様の戦略ですね」
「起きた世界のアメリカは東から西に進んだ」
 西漸政策である、アメリカはこの政策によって発展していった。そして太平洋にまで達したのである。
「しかしわいはな」
「逆にですね」
「西から東にや」
 その様にというのだ。
「勢力を伸ばしてくで」
「その力が必要なので」
「まずはな」
「太平洋沿岸部とですね」
「ハワイの他の諸島にな」
「アラスカ州ですか」
「その掌握を行うで」
 こう言ってだった。
 トウェインは自身の戦略を定めそれに基づき動いていくことにした、彼はハワイ州とオレゴン州だけでなく他の州にも目それに足を向けていた。


第三百二十一話   完


                   2023・9・8 
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