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X ーthe another storyー

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第四十一話 好意その八

「昴流君にも言いましたが」
「人の痛みがわからないよね」
「ですからこうしてもですよ」
「心が痛まないんだよね」
「僕は」
「けれど動物病院で死んだ子達皆弔ってるね」
 北都は微笑んで言った。
「いつもね」
「飼い主の方にもお渡ししています」
 彼等の亡骸をというのだ。
「それはです」
「当然のことっていうのね」
「はい、ですから」
 そうしたものだからだというのだ。
「しているだけです」
「けれどそうなる子は最低限にして」
 そしてというのだ。
「丁寧にね」
「弔っていて」
「飼い主の人達にも渡していて」
 北都はさらに話した。
「飼い主さん達が泣いていたら慰めるわね」
「それがお芝居だとしても」
「違うでしょ」 
 星史郎のその言葉に笑って返した。
「だって星ちゃん嘘吐きだから」
「気付いておられましたか」
「結構最初の頃からね」
「お芝居を続けていたつもりでしたが」
「本音は漏れるから」
 そうしたものだからだというのだ。
「私わかってたわ」
「そうでしたか」
「そしてね」 
 さらに言うのだった。
「今だってね」
「僕はお芝居をしていて」
「嘘吐いてるよね、出来れば」
「ここで、ですか」
「私に殺されたかったのよね」
「本音を言いますね、ここで僕が死んで」
 そしてというのだ。
「次の桜塚護はです」
「私にって思ったのね」
「最初は。北斗さんも好きですから」
 本音、それを言うのだった。
「ですから」
「私に殺されて」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「貴女にと思っていましたが」
「けれどそうなるとね」
「僕の次に北斗さんが闇の世界に入り」
「人を殺めていってね」
「そしてです」 
 そのうえでというのだ。
「昴流君とも向かい合って」
「殺し合うことになっていたわね」
「姉弟で殺し合うのは」
 骨肉の争い、それはというと。
「しない方がいいです」
「星ちゃんみたいに」
「そう思いまして」
「私を殺したのね」
「かわせましたね」
 自分の攻撃はというのだ。
「そうでしたね」
「うん、いつもよりずっと遅かったから」
「隙だらけでしたね」
「かわせてね」
 星史郎の攻撃をというのだ。
「反撃でね」
「僕を殺せましたね」
「けれどそうしたら」
「僕はですか」
「救われないと思ったから」
「僕が救われる」
「うん、桜塚護終わらせたいのよね」
 星史郎に問うた。 
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