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X ーthe another storyー

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第三十八話 場所その三

「本当にな」
「こうしたお店にですか」
「よく来るんだよ、大酒飲みに見えるだろ」
 自分から微笑んでこうも言った。
「一見」
「はい、それは」
「けれどな」
 それでもというのだ。
「断然甘いものの方がな」
「お好きなんですね」
「そうなんだよ」
「だからですね」
「ああ、こうした店にもよく行ってな」
「召し上がられてるんですね」
「そうなんだよ、甘いものが本当にな」
 草薙は護刃にさらに言った。
「好きなんだよ」
「そうなんですね、それじゃあ今から」
「ああ、一緒に楽しもうな」
「甘いもののお話をして」
「甘いもの食おうな」
 笑顔で話して実際にそうした、その後で二人は店の外で別れた。そうして草薙はその足で戦いの場に赴いたが。 
 その途中で犬鬼と共に空を駆る護刃、彼女が自分が向かう先と同じ方向に向かているのを見てわかった。
 それでだ、戦場に着くとこう言ったのだった。
「悪い、俺の相手は選ばせてくれ」
「誰と戦いますか?」
「お前さんの親友でいいか」
 封真に苦い顔で言った。
「一人嬢ちゃんがいるみたいだけれどな」
「ああ、あの娘ですね」
 それが誰かをだ、封真はすぐに察して答えた。
「犬を連れて」
「その娘だよ」
 草薙もその通りだと答えた。
「その娘とはちょっとな」
「戦いたくはないですか」
「訳を聞きたいか?」
「いえ」
 封真は草薙の今の言葉は断った。
「別に」
「そうか、それじゃあな」
「あの娘の相手は俺がします」
 封真は自ら言った。
「任せて下さい」
「それじゃあ俺はな」
「神威とですね」
「戦うな」
「そうします」
「それじゃあ僕は」
 哪吒は二人の話が整ったところでまた言った。
「最後の人と戦いますね」
「そうなるな」
 封真もそれはと答えた。
「必然的にな」
「そうですよね」
「だったらな」
 それならというのだった。
「その人の相手を頼む」
「はい、行ってきます」
「死ぬな」
 封真は哪吒にこうも声をかけた。
「まずいと思ったらすぐにだ」
「撤退ですか」
「俺達も呼んでくれ」
「そうしてですか」
「死ぬな、何があってもな」
「わかりました、僕も死にません」
 哪吒は封真に確かな顔と声で頷いて答えた。 
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