Ｘ　ーｔｈｅ　ａｎｏｔｈｅｒ　ｓｔｏｒｙー

「だからな」
「そこにですね」
「ああ、あそこにな」
　まさにというのだ。
「行ってな」
「そうしてですか」
「食い終わってな」
　そうしてというのだ。
「行って来るな」
「そうですか、楽しんできて下さい」
「ああ、よかったら一緒に来るか？」
「いえ、実は封真さんと約束をしていまして」
「今から遊人さんに紹介されたお店に行ってきます」
　封真も言ってきた。
「そうしてきます」
「そうか。じゃあお互いにだな」
「美味しいものを食べてからですね」
「戦いに行こうな」
「そうしましょう」
　こうした話をしてだった。
　地の龍の者達はそれぞれ戦いの前に美味いものを食べに行った、草薙は銀座の百貨店に入りその店の前に来ると。
「あっ、またお会いしましたね」
「ああ、そうだな」　
　護刃に会ってだ、草薙はやや驚いた顔になって応えた。
「まさか嬢ちゃんも」
「ここのお店美味しいって聞きまして」
「そうだよ、ここのパフェは絶品でな」
「プリンも美味しいんですよね」
「ああ、それで今から食うんだけれどな」
「私もです」
「それじゃあ今から入るけれどな」　
　それでもというのだった。
「お嬢ちゃんもだな」
「はい、それならです」
　護刃は草薙の言葉を受けて微笑んで言った。
「一緒にです」
「一緒に？」
「食べませんか？」
「おいおい、いいのかよ」　
　草薙は護刃の言葉を受けて思わず苦笑いになって言葉を返した。
「こんなおっさんと一緒にか」
「駄目ですか？」
「俺はいいけれどな」
　それでもというのだった。
「お嬢ちゃんがな」
「私はいいですよ」
　にこりと笑って応えた。
「別に」
「そうなんだな」
「はい、ですから」
　それでというのだ。
「今からです」
「一緒にか」
「食べましょう」
「そこまで言うならな」
「はい、それなら」
　こうした話をしてだった。
　二人で店に入って相席して注文した、ここで護刃は店の中を目だけで見回して草薙に話した。
「私達見ていますね」
「ああ、俺はここの常連だけれどな」
「女の人が多いお店ですね」
「甘いものの店だからな、けれどな」
　それでもとだ、草薙は話した。
「俺もな」
「甘いものがお好きですか」
「酒も飲むさ、けれどな」　
　それでもというのだ。
「それよりもな」
「甘いものの方がですか」
「好きでな」
　それでというのだ。