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夢幻水滸伝

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第三百十二話 全軍を用いての決戦その四

「敵の攻撃を凌ぎ」
「そうしてですね」
「機を見てです」
 そうしてというのだ。
「攻勢に転じます」
「それまでは」
「守りに徹しますね」
「下手に攻めてもです」
 ルイスは二人にそうした場合のことも話した。
「こちらは制空権も制湖権もなくです」
「数も装備も敵の方が上です」
 ルイーザがルイスのその言葉に言い加えた。
「五倍もの数に最新式の装備で」
「幾らアンデットやモンスターを出してもですね」
「迂闊に攻められるものやないです」
「全くです」
 ギンズバーグも同じ考えだった。
「この状況では今は」
「守るしかないですね」
「そして被害を最小限に抑えるしかないです」
「守っても損害は出ています」 
 ルイスはこのことも話した、事実メルヴィル達の激しい陸からだけでなく空や湖からも攻められて五大湖側の損害は秒単位で出ている。
「そして守ったままですと」
「損害ばかり出まして」
「敗れてしまいます」
「そうなります、ですが」 
 それでもというのだ。
「今はです」
「とても攻められません」
「敵の勢いが強過ぎます」
「そやからですね」
「守るしかないですね」
「そうです、敵に隙が出来れば」
 その時にというのだ。
「攻めましょう」
「攻勢に転じますね」
「その隙から突破しますね」
「戦は最後の最後までわからないといいます」 
 ここでルイスはこう言った、彼は自覚しなかったがいいます、と言ったところに彼が医者という職業で戦の専門家でないところが出ていた。六将星の一人であり戦のことを知っているメルヴィルなら断言したからだ。
 だが自覚しないままだ、彼はさらに言った。
「ほなです」
「はい、待ちましょう」
「今は」
 そしてルイーザとギンズバーグも彼の言葉に頷いた、この二人もルイスと同じだった。
「そしてです」
「隙が出来れば」
「そこを攻めましょう」 
 こう話して今は塹壕に籠り地雷原とトーチカを頼りに必死に守っていた、術を用いても守りを固め鉄条網も用い何とか戦っていた。
 その彼等を見てだ、メルヴィルは言った。
「ここは少し策を使うか」
「といいますと」
「ああ、敵は今劣勢やから必死に守ってる」
 ウルリクルミに乗ってその神具を用いたうえで隣を飛んで地上に攻撃を仕掛ているボームに対して話した。
「それは何故か」
「隙を伺っていますか」
「こっちのな、若し隙が出来たらな」
 自分達にというのだ。
「そこを一気にや」
「衝いてきますね」
「そして勝とうとする」
 その様にするというのだ。
「間違いなくな」
「まだ諦めていませんね、ルイス君達は」
「そや、そこに必死にや」
「かかってきますか」
「わし等に隙が出来たらな」
「では」
「そや、隙を作るか」
 メルヴィルは冷静な目で言った。 
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