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X ーthe another storyー

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第二十九話 家族その六

「近いうちに」
「解放ですか」
「囚われている彼を」
「彼とは」
「おっと、これは僕の事情でして」
「僕には関係ないですか」
「そうしたお話なので」
 それでというのだ。
「お気遣いなく」
「そうですか」
「はい、ただ哪吒君もです」
 彼にも言うのだった。
「ご家族は大切にして下さい」
「そうですね、それはですね」
 哪吒もそれはと応えた。
「僕も心掛けています」
「そうですか」
「はい、お祖父様はたった一人の家族ですから」
 哪吒から見てというのだ。
「ですから」
「それはいいことです、颯姫さんも哪吒君もです」
「家族はですね」
「その絆も含めてです」
 庚が言うそれもというのだ。
「大切にして下さい」
「そうします」
「それだけで幸せで幸せはです」
 それはというと。
「幸せを呼びます」
「そうなるんですね」
「ですから」
 それ故にというのだった。
「どんどん幸せになって下さい」
「そうだな、俺もたまには親に顔を出すか」
 草薙は星史郎の話を聞いて微笑んで言った。
「いいことを聞いたな」
「そうですか」
「ああ、それじゃあな」 
 星史郎に顔を向けて言った。
「実家は東京にあるしな」
「だからですね」
「顔を出してな」
 そうしてというのだ。
「何か親孝行をな」
「そうですか、それでは」
「行って来るな」
「そうして下さい、中にはです」
 星史郎はここでは無表情で述べた。
「親孝行出来ない人もです」
「いるな」
「ですから出来るうちに」
「しておかないとな」
「そうすべきです」
「そうね」
 頷いてだ、颯姫も応えた。
「これからはね」
「そうされて下さい」
「お父さんお母さん」
 颯姫は今度は自分の両親に顔を向けて言った。
「これからは出来るだけね」
「ははは、別にいいぞ」
「そうした気遣いはね」
 両親はその颯姫に優しく笑って言葉を返した。
「貴女が元気で幸せならよ」
「それが最大の親孝行だ」
「だからそれ以上のことはね」
「私達はいいんだ」
「そうなの。けれど出来ることを」
 颯姫は星史郎の話に頷いて言った。
「させてもらうわ」
「そうか、それは楽しみだ」
「それならね」
「颯姫の親孝行受けさせてもらうぞ」
「私達もね」
「それじゃあ。そして恋人も」
 ここでだ、颯姫は。 
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