夢幻水滸伝
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第三百七話 クリーブランドの戦いその九
「そしてな」
「それは相手ですね」
「今は」
「三十万の塀にボーム様とエミリー様」
「そしてお二方の神具ですね」
「これだけのもんがあるとな」
敵軍即ちボーム達にというのだ。
「中々な」
「苦しいですね」
「我々は」
「どうにも」
「エミリーさんも城を攻撃してきてる」
見ればそうしている、フラガラッハと術を用い。
「あの人にも対さなあかんし」
「手がないですね」
「我々は」
「どうにも」
「そやな、しかし諦めるつもりはないで」
見ればルイーザの目は死んでいない、むしろ静かに燃えている。
「このままな」
「戦いますね」
「このクリーブランドを守り抜きますね」
「そうしますね」
「そうするで」
こう言ってだった。
ルイーザは城の防衛戦の指揮を執っていった、そうしつつアンデット達が減ると随時出して補充していった。
戦いはボーム達が優勢ながらも均衡していた、だが。
その状況を見てだ、エミリーは言った。
「そろそろ決めたいな」
「はい、しかしです」
「敵も中々崩れません」
「我が軍優勢ですが」
「押しきれていないので」
「決めようと思ってもな」
大規模な攻勢を仕掛けてもというのだ。
「それでもな」
「はい、それでもですね」
「失敗する恐れがありますね」
「敵の戦力はまだ健在です」
「そこで攻めますと」
「大きな損害を出します」
「そして攻略しきてない場合もあります」
将兵達も言った。
「ですからまだです」
「攻める時ではありません」
「今は待ちましょう」
「その時が来るのを」
「来るというか作るやな」
セリューは腕を組んで敵の街の城壁を見つつ言った。
「政は」
「戦も政の中にあります」
「それなら戦もですね」
「時は作る」
「そうしますね」
「そや、どうして作るか」
その攻める時をというのだ。
「一体な」
「それが問題ですね」
「今は」
「どうして攻めるか」
「その時を作るのか」
「そや、どうしよか」
こう言うのだった、今は。
「今回は」
「ボーム様もおられますが」
「あの方は今はアンデットの大群と戦っておられます」
「そちらに全力を尽くしておられるので」
「攻城戦にまで力を向けられないですね」
「残念ですが」
「近くにホーソーンもおるけどな」
水軍を率いる彼のことも話に出した。
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