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X ーthe another storyー

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第二十六話 決断その十七

「今はな」
「うん、それじゃあね」
「この部屋にいるか、それとも歩くか」
「そうね、ベランダに行かない?」
 小鳥は神威に微笑みを向けて提案した。
「少しね」
「ベランダか」
「私暫く気を失っていてお日様の光浴びていなかったわね」
「そういえばそうだな」
 神威も言われてこのことに気付いた。
「言われてみれば」
「だから久し振りにね」
「日の光を浴びたいか」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「一緒にいていいかな」
「悪い筈がない」
 これが神威の返事だった。
「それならな」
「うん、そちらに行きましょう」
「ベランダですね、わかりました」
 征一狼が笑顔で頷いて述べた。
「ではパーティーの用意が出来ましたら」
「呼んでくれるか」
「そうさせて頂きます」
 こう神威に答えた。
「その時に」
「歩いな、ではな」
「はい、それまではお二人で」
「一緒にいさせてもらう」
「それでは」
「飲んで食べましょう」
 嵐も言ってきた。
「本当によかったから」
「小鳥が生きていて」
「そして貴方も私達の仲間になってくれたから」
 それ故にというのだ。
「今日はね」
「盛大にだな」
「飲んで食べましょう」
「そうさせてもらう、小鳥それまではな」
 小鳥にまた顔を向けて言った。
「ベランダの方にいよう」
「二人でね」
「そしてだ」
 神威は小鳥に微笑んで話した。
「笑ってくれないか」
「笑えばいいの」
「小鳥が助かったことを味わいたいんだ」
「味わいたい?」
「心でな」
 こう言うのだった。
「だからな」
「わかったわ、私も神威ちゃんがそう言ってくれて傍にいてくれたら」
 それならとだ、小鳥も応えた。
「嬉しいから」
「だからか」
「自然とね」
「笑顔になるか」
「ええ、それじゃあね」
「ベランダに行こう」
「そうしましょう」
 二人で話してだった。
 神威はパーティーの準備が整うまでは小鳥と共にベランダに行くことにした、そしてそこで二人で小鳥が生きていることの喜びを味わうのだった。運命が変わったことを。


第二十六話   完


                 2023・5・1 
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