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X ーthe another storyー

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第二十五話 選択その九

「嫌いじゃないわ」
「そうなんだ」
「日本では昔から同性愛も悪いことじゃなかったしね」
「そういえば戦国時代でも」
「そう、織田信長さん達もでしょ」 
「戦国大名の人達も」
「それで私もね」
 庚もというのだ。
「こうした趣味もね」
「持っているんだ」
「だからね」
 それでというのだ。
「その娘にね」
「今度誘いをかけるんだ」
「惚れたかも知れないわ」
 微笑みこうも言った。
「若しかしたらね」
「それじゃあ告白とかも」
「考えているわ、人が誰かを好きになることは」
「いいことなんだ」
「決してね」
 哪吒に対して話した。
「悪いことじゃないわ」
「そうなんだ」
「だからね」
 それでとだ、哪吒にさらに話した。
「貴方達もよ」
「誰かを好きにんっていいんだ」
「勿論よ。人間だから」
「僕はまだわからないけれど」
「覚えていけばいいわ、貴方も人間だから」
「今度お祖父様ともお話してみます」
「そうしてもいいわ、人であるならそうしたことも知っていくのよ」
 こうしたことを話してだった。 
 地の龍達はそれぞれの職場や学校に向かった、それは神威も同じでこの日も登校した。その後でだった。
 洋館に帰ってだ、もうそこにいた空汰に尋ねた。
「小鳥は」
「ああ、まだや」
 空汰は曇った顔で答えた。
「目覚めてへん」
「そうか、だが毎日悪いな」
「何や、毎日って」
「毎日弁当を作ってくれてな」
 感謝の言葉はこのことについてだった。
「本当にな」
「いや、わい等全員の分作ってるさかいな」
 空汰は何でもないといった口調で答えた。
「そやからな」
「別にいいか」
「というかあれで足りるか?」
 空汰は神威に怪訝な顔で尋ねた。
「少なないか」
「食堂でも食うからな」
「そうか、自分もそうしてるか」
「身体を動かすとな」
 どうしてもとだ、神威は答えた。
「腹が減るがな」
「それでもやな」
「親が残してくれた金それに母さんの事件での保険金もな」
「あるか」
「だから俺一人がずっと暮らせるだけはな」
 それだけの分はというのだ。
「あるからな」
「食堂でも食ってるか」
「最初は食堂でだけ食っていたが」
 東京に来たての頃はというのだ。
「小鳥が弁当を作ってくれる様になって」
「それも食ってか」
「それで充分になった」
「小鳥ちゃんのお弁当量が多かってんな」
「しかも美味かった」
 神威は微笑んで話した。
「とてもな」
「そやねんな」
「勿論空汰の料理も美味い」
 彼が作る料理もというのだ。 
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