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機動戦士ガンダムSEED DESTINY the oath

作者:wig
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星屑の戦場

「早く出撃させろ!このままじゃマジで沈むぞ!」

リバティのコックピット内で待機していたゼラはブリッジに向け言いはなった。
戦況は最悪だった。先行したシンとルナマリアはあの強奪された3機によりミネルバと分断されてしまい。
ミネルバはボギー・ワンを追撃していたつもりが、どんな手を使ったのかは分からないが、ボギー・ワンに背後を取られてしまっていた。
戦艦同士の戦闘において、背後取ることはとても重要であり、背後に射角を取ることができない為、ミネルバが搭載している火器の半分も、この状態では使うことができない。

『ミ、ミネルバ岩塊に阻まれ航行不能!リバティの発進進路とれません!』

メイリンが涙ながらにそう伝えてる。
ミネルバは小惑星を盾ににする為、接近していた事が仇になり、敵艦のミサイルにより砕け散った岩塊をシャワーのごとく浴びてしまい、その船体を埋めてしまった。

『さらに...ダガーL2機、及びモビルアーマー1機接近!』

敵は身動きが取れないミネルバを確実に沈めに来たのだろう。
もう一刻の猶予も許されない。

「おいシン達は!?どうなってる?」

『インパルス、ザクは依然カオス、ガイア、アビスと交戦中!...どうしよう、このままじゃミネルバが...』

『メイリン!ゼラを出して!』

『...え?...でも、進路が...』

艦長から指示が出るが、メイリンは指示に従える状況ではなかった。たとえ訓練を受けたとはいえ初めての実戦で窮地に陥ってしまっているこの状況では、まとのな精神状態でいる方が難しいだろう。

「メイリン!...メイリン!!」

『...ゼ...ラ?』

「とりあえず落ち着けって。ハッチ開けてくれたら、歩いて俺が外に行く、んで敵を殲滅するっつう簡単な話だ。どうだ?何も焦る状況じゃねぇだろ?」

『っ!!...リバティ発進シークエンスを開始します』

モニター写っていた半泣きだった少女が、今では必死に戦い抜く覚悟を決めた戦士の目をしていた。

『ゼラ、モジュールはどうする?』

「このデブリじゃドッグファイト、ましてや近接戦闘も無理だな...ガナーで頼む」

『了解、ガナーウィザード換装後、そのままハッチ解放します。ゼラ、大丈夫だよね?』

「誰に言ってるんだ?当たり前だろ?砲狙撃戦ならシンやルナマリアにも負けねーよ」

モニターに写るメイリンの表情が少し緩んだような、それでいて呆れたような雰囲気になる。
長距離ビーム砲オルトロスがリバティに装備され、ハッチが解放される。

『ハッチ解放、リバティ発進どうぞ!』

「ゼラ・ル・クルーゼだ。リバティ出るぞ!」


圧倒的に不利な戦況の中、リバティはバーニアを吹かして飛び上がった。










「推進式も未だだと聞いたが...仕留めさせてもらう!」

自身の搭乗するMAーエグザスのコックピット内でネオ・ロアノークはそう決意を言葉にした。
前回は赤いザクにしてやられたが、そのザクは今はステラ達が足止めしている為、援護には戻れない。加えて敵艦は小惑星の岩塊に阻まれ航行はおろか、MSの発進進路も確保できない。

「戦艦は足が止まったら終わりだ。よーしお前達!一気に沈めるぞ!」

『了解!』

僚機のダガーLに指示を出しながらネオはミネルバとの距離を詰めていく。

次の瞬間、ヨーンのダガーLが巨大なビームに貫かれ炎に包まれた。

「ヨーン!」

ネオは思わぬ方向からの攻撃に戸惑いながらも、直ぐに索敵を開始してヨーンをやった正体を補足した。
無数のデブリの奥に、巨大な砲身を構えたグレーの機体が姿を表した。






「ダガーL撃破!次!」

『敵座標入力!索敵追尾システムをリバティと同調!』

『ブルー15マーク7ブラボーにダガーL!ゼラ今だよ!』

コックピットのモニターにはミネルバから送られてきた敵の位置や、狙撃に必要なデータが表示されていた。

「照準完了、オルトロスチャージ70%...照射開始!」

リバティの持つ長距離ビーム砲オルトオスからビームが照射され、その極光にダガーLは包まれ消滅した。

「今だミネルバ!」

直後、ミネルバが激しい爆発をともないながら岩塊を吹き飛ばし動き出した。爆発の際に生じた粉塵が消えた頃にはミネルバの艦首に搭載された陽電子砲ータンホイザーが発車準備を終え、ボギー・ワンを捉えていた。
タンホイザーから放たれた光の奔流はボギー・ワンの右舷装甲を消し炭にした。

この状況から母艦が損傷するとは思っていなかったのだろう。敵MAが信号弾を上げ、撤退していく。

「さんざん好き勝手やっておいて、ただで帰れると思ってるのか?」

ゼラはビームライフルで敵の退路を塞ぐよう牽制しつつ、オルトロスで追撃を行う。

『っ!』

ネオは機体に急制動をかけて反転する。最大速度ではエグザスの方がリバティよりも優れているが、このまま反転して離脱を試みても後ろから撃ち抜かれてしまう事を、ネオは分かっていた。
状況は一気に最悪になってしまった。残っていたダガーLは落とされてしまい、ミネルバの足止めも失敗した。

『やれやれ、貴重なMSを2機もくれてやったんだ。見逃してくれても良いだろう?』

「何寝ぼけたこと言ってんだ?こっちは3機奪われたんだ。このままじゃ割に合わないだろ?」

ゼラはそう言いながらビームライフルを撃ちながらエグザスとの間合いを詰める。

「きっちり落し前着けさせてやる。覚悟しろ!」

『そっちがその気なら、その機体もいただいて行くとしますかね!』

ネオも有線式のガンポッドを4機全て展開し、リバティに向けて放った。

「その攻撃なら見えてんだよ!」

リバティは背後からのビームをシールドで防ぎつつそのままフルスロットルで突撃した。

ネオはその行動に対し、冷静に残りのガンポッドから追撃を行うがその全てを回避されてしまう。

(なぜ反撃してこない?...こいつ!まさか!?)

リバティはそのままガンポッドにシールドを構えたまま突撃し、ガンポッドを大破させた。
さらに後方から追っていたガンポッドにオルトロスで砲撃を行いガンポッド2機をさらに大破させる。

(やはり、こいつガンポッドの位置が見えている!?)

オルトロスでの砲撃後の隙を残りのガンポッドと同時射撃を行うが最低限の動きで回避され、エグザス本体に向けオルトロスでの反撃を受けた。
難なく回避するネオだったが回避している隙に、残りのガンポッドをビームライフルで破壊されてしまった。
ガンポッドに向かってきたビームライフルからの射撃がオルトロスでの砲撃に加えて此方に襲いかかってくる。

『ネオーーー!』

ネオが何とかリバティからの段幕を回避していたその時、ステラから通信が入った。







「っち!こんなタイミングで!」

突如やってきたガイアからのビームでオルトロスが破壊されてしまったが、素早くガナーウィザードをパージすることで機体本体へのダメージを回避した。

「メイリン!スラッシュウィザードを!こうなったらガイアごと...何だと?」

ミネルバへ要請しようとしたその時、撤退信号が打ち上げられた。

『シン、ルナマリア、ゼラ。3人ともポイントE7まで後退、合流します。良いわね?』

「...了解」

あそこまで追い詰めたのに撃破できなかった不甲斐なさと、ミネルバを守りきれた達成感から、艦長への返事は大分気が抜けたものになってしまった。

ふと、モニターを見るとメイリンが不安そうな顔でこちらを見ていた。

「メイリン?どうした?」

『あ、ううん何でもないよ!』

「ん?なんだよらしくねぇな。まぁあれだとりあえずみんな無事で良かった」

『う、うん!そうだね!ゼラもお疲れさま!』

「おいおい、まだコンディションレッドだろ?まぁでも、メイリンもお疲れさま」

モニターのメイリンの表情が少し晴れた気がした。







「アスラン・ザラ?あいつが!?」

「まさか本当に...」

シンとルナマリアが驚きの声をあげた。ミネルバへ帰還後当直を終えたメイリンが彼らに戦闘中にブリッジで起きた出来事を2人に告げたのだ。

「シン!声が大きいよ!...ゼラに聞かれちゃったら...」

「あ、ごめん。でも本当に?」

慌ててメイリンがシンに注意をするが、レクリエーションルームに行くまでの間、3人は伝説的なかつてのエースパイロットであるアスラン・ザラの話でもちきりだった。

「でも、名前変えなきゃいけないもんなのか?」

「何言ってんのよシン、情勢的に許され...え?」


ルナマリアがシンに言い返しながら、レクリエーションルームに入ろうとしたが、そこで足を止めた。












「へへ、また俺の勝ちだ。ほらコーヒー奢れ」

「ちっきしょー!本当にゼラはポーカー強いよなー」

「なんだお前達?また艦長に見つかったら怒られるような事でもしてんのか?」

ゼラとヴィーノがレクリエーションルームでポーカーをしていると、ヨウランが入ってきた。

「なんだヨウランかよ。どうだ?お前もやるか?」

そう言ってゼラはカードをシャッフルする

「止めとくよ。ゼラ、お前が本国にある本場のカジノに入り浸ってたの知ってるからな?」

「えぇ!?」

「んで、教官にばれて罰則と...よく退学にならなかったな?」

自販機で飲み物を買い、ヨウランはからかうようにゼラに良いながら席に座った。

「お前らも大概だろうが...てか、こんも野郎ばっかりだとむさ苦しいな」

ゼラはコーヒーを飲みながらそう口にする。
ふと、ゼラが何か閃いた様な表情になり、彼ら2人の方に向き直る。

「そういやあのオーブの姫様は?」

「お前ってやつは...俺は知らないぞ、ヴィーノは?」

「多分ブリッジじゃない?艦長や議長と話してると思うよ」

ゼラは飲んでいたコーヒーを捨てて、レクリエーションルームを出ようとした。

「サンキューな、ちょっくら行っ!」

出ようとした瞬間、誰かにぶつかった。

「すまない、大丈夫か?」

「いえいえ、こちらこ、そ...」

ゼラは制服のボタンを上まできちんと止め、背筋を正しぶつかった相手へと向き直った。

「アスハ代表、重ての無礼大変申し訳ありません」

「あぁ君か。いや、こちらこそすまなかった」

座って寛いでいたヨウランやヴィーノもカガリだと気付くと立ち上がり敬礼をした。

「ザフト式の敬礼か、お前には懐かしいかもな、アスラン?」

カガリの後ろから付き人の男ーアスラン・ザラが顔を覗かせた。

「アスラン?」

ゼラは敬礼していた腕をだらりと下げ、呆然と立ち尽くしていた。何やらカガリとアスランがヨウランとヴィーノに話しかけているが、話の内容は全く入ってこない。

『本当は争いなんて止めて、話し合いで解決できれば良かったんだけどな』

ふと、アスランがから発せられた言葉に、ゼラは反応した。
次の瞬間ゼラはアスランを殴り飛ばしていた。


「よぉアスラン・ザラ...自己紹介がまだだったな」
「ゼラ・ル・クルーゼ。ラウ・ル・クルーゼの義弟だ」

殴り飛ばしたアスランの前まで行き、見下ろしながらそうゼラは告げた。
 
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