夢幻水滸伝
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第三百一話 優しきギャングその三
「今のこの街は」
「そうなのですね」
「それをです」
どうにもというのだった。
「フォークナー様は解決して頂けますか」
「この世界を救うのでしたら」
それならとだ、フォークナーは答えた。
「マイアミの問題を解決する位でないと」
「救えないというのです」
「はい、街一つを救えないでどうして世界を救えるか」
「そうお考えですね」
「左様です、ですから」
そう考えているからだというのだ。
「やらせて頂きます」
「そうですか、では」
「他のギャング組織も倒させて頂きます」
「ではこちらはです」
フォークナーの言葉を受けてだった、市長は冷静な顔と声で申し出た。
「情報提供とバックアップをさせて頂きます」
「協力して頂けるのですか」
「確かに我々は力が及びませんが」
マイアミのギャングの問題の解決にというのだ。
「しかしです」
「それでもですか」
「彼等の情報は常に調査し把握していますので」
それでというのだ。
「その情報をです」
「いただけますか」
「はい、そして」
市長はさらに話した。
「フォークナー様はどうして暮らしておられますか」
「今日この世界に来たばかりでして」
フォークナーは市長に正直に答えた。
「ほんまです」
「何もなしですか」
「そうです」
「ではお家とお食事をです」
その二つをとだ、市長は申し出た。
「それに服も」
「衣食住をですか」
「提供させて頂きます」
「いや、それは」
「いえ、生活が成り立たないとです」
市長は遠慮しようとしたフォークナーに真面目な顔と声のまま答えた。
「何もです」
「出来へんですか」
「これからどうして暮らしていかれるおつもりでしたか」
「そうですね、日雇い労働をして」
「働きながら戦うおつもりですか」
「そうしようかと」
「ではお家は」
「木賃宿で」
「あの、それでは」
市長は自分の考えを述べたフォークナーにどうかという表情で応えた。
「あまりにも不確実です」
「そうでしょうか」
「若しかしてお世話になりたくないと」
「はい、誰かに迷惑をかけるなと」
フォークナーはその巨体を屈めさせて答えた。
「言われて育ちましたので」
「そうなのですか」
「そうですさかい」
「日雇い労働をして」
「アフターファイブにです」
「ギャング達を倒されますか」
「そう考えています」
市長にあらためて述べた。
「私は」
「ですがそれは」
「不確実ですか」
「それに世界を救われるのでしたら」
市長はさらに話した。
「この世界を平和にです」
「しなければならないですか」
「それも条件ではないでしょうか、その為には」
「政ですね」
フォークナーは気付いた顔で述べた。
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