夢幻水滸伝
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第三百話 優しい地獄の番犬その十六
「メルヴィル様は次はこちらかと」
「ノースカロライナ州に勢力拡大を図るかと」
「そうされる可能性が高いかと」
「エミリー様とホーソーン様を降した今」
「お二方の諸州を掌握されましたし」
「五大湖かこちらしかっす」
セリューは自身の席から官吏達に答えた。
「あの人達が勢力拡大する場所はないっすしね」
「はい、最早です」
「アメリカではそうです」
「カナダとは中立条約を結ばれたとか」
「不戦の」
「それならっす」
確実にという口調での言葉だった。
「もうっす」
「はい、あの方々から見て西にあたる五大湖か」
「南にあたるこちらですね」
「まさに二つに一つ」
「そうなりますね」
「そうっすね、しかしっす」
セリューは考える顔で話した。
「メルヴィルさんは確かに六将星のお一人で」
「戦はお強いです」
「政もお見事ですが」
「六将星の方だけあられ」
「非常にお強いです」
「アメリカ東部随一でしょう」
「そうっすが」
それでもと言うのだった。
「決して好戦的な人やないっす」
「そうですね、戦の前にです」
「まず降る様に言われます」
「これは他の星の方もですが」
「ひいてはセリュー様も」
「戦より話し合いで済めばっす」
それならというのだ。
「最善っすからね」
「だからこそですね」
「セリュー様もそうされていますね」
「そしてメルヴィル様もですね」
「だからですね」
「そうするっす、ではっす」
それならというのだった。
「若しメルヴィルさんから使者が来れば」
「その時はですね」
「お話を聞かれ」
「そのうえで、ですね」
「決断を下されますね」
「いい条件ならっす」
メルヴィル達が出してきた自分達の勢力に降るそれがというのだ。
「私は喜んでっす」
「降られますか」
「そうされますか」
「その時は」
「そうするっす」
こう官吏達に答えた。
「その考えでっす」
「今はですね」
「メルヴィル様の動きをご覧になられますか」
「そうされますか」
「そうするっすよ」
こう言ってだった。
メルヴィルは今は様子を見守ることにした、そしてだった。
やがてメルヴィルからの使者が来た、それはジェーンで彼女はジェーンと会うとその瞬間に笑顔になって言った。
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