夢幻水滸伝
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第三百話 優しい地獄の番犬その三
市長室の応接用のソファーに向かい合って座ってそうしてまた話した。市長はここであらためて彼女に話した。
「是非この世界を救って頂きたいですが」
「そのことをっすか」
「お願いしたいです、ただ」
「ただといいますと」
「その前に山賊を成敗して」
街を悩ませる彼等をというのだ。
「そしてです」
「そのうえでっすか」
「この州を統一して」
ノースカロライナ州をというのだ。
「そしてです」
「そのうえでっすか」
「平和に治めて頂けますか」
「あっ、今この州はどうなってるっすか」
ここでだ、セリューは気付いて言った。
「一体」
「はい、それぞれの街や村に分かれていまして」
市長は即座に答えた。
「群雄割拠とです」
「言うべき状況ですか」
「はい」
そうだというのだ。
「そうした状況です」
「そうっすか」
「ですから」
それ故にというのだ。
「互いに協調することもあれば」
「対立することもありますか」
「そうです、街や村同士の争い、戦もです」
「起こっていますか」
「然程多くはないですが」
街や村同士で戦が起こることはというのだ。
「それでもです」
「ええ状況やないっすね」
「はい」
その通りという返事だった。
「まさに」
「それで私にっすね」
「その状況を解決して欲しいのですが」
「わかったっす、ではまずは」
「山賊退治をっすね」
「最初にそれをやらせてもらうことになっているっすから」
だからだというのだ。
「まずはっす」
「そちらをですか」
「やらせてもらいたいっすが」
「では」
それならとだ、市長はセリューに答えた。
「そちらをお願いします、ただ」
「ただ?どうしたっすか」
「いえ、最初のお仕事をされるのっすね」
「決まっていることっすから」
セリューは当然といった顔と声で答えた。
「だからっす」
「決めたことは為されますか」
「約束は守ってっす」
「その様にお考えなのですね、セリュー様は真面目な方ですね」
「真面目っていうかそうしないと駄目っすよ」
笑顔だったが真剣さに満ちた顔での返事だった。
「決めたことはしてっす」
「約束は守る」
「そうっす、特に人と人の約束はっす」
これはというのだ。
「守らないと駄目っす」
「絶対にですね」
「もっと言えば生きものともっす」
「犬や猫とも」
「起きた世界では喋られないっすが」
人以外の生きもの、犬や猫等ともというのだ。
「しっかりとっす」
「守るべきですか」
「そうっすよ、それでまずはっす」
「山賊退治ですね」
「それに行ってきます」
にこりと笑っての返事だった。
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