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夢幻水滸伝

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第二百九十八話 艦上の会談その十三

「しかしな」
「それでもやな」
「ここは迎え撃って」
「戦っていこうな」
「幸いな」
 ホーソーンはこうも言った。
「メルヴィルさん達も乱暴狼藉はせん」
「そこは弁えてる人等やしな」
「民への危害は及ばん」
「それがええな」
「民が安全やとな」
「その分気が楽や」
「民に危害を及ぼす敵なら」
 ホーソーンは強い声で言った。
「もうな」
「何よりもな」
「ああ、戦わなあかん」
「私達が盾になっても」
「それで民を倒さなあかん」
「しかしな」
 それがというのだ。
「民に危害を加えんなら」
「むしろ守る相手やとな」
「あくまで軍同士の戦になるさかい」
「気が楽や」
「ほんまそやな」
「それでも戦に巻き込まれん様に」
 民達がというのだ。
「気をつけていかんとな」
「そんな戦はせんことや」
「ほんまな、ゲリラ戦とかな」
 ホーソーンはこの戦術の話をした。
「間違ってもな」
「やったらあかんわ」
「民に紛れて私服で戦う」
「それは確かに効果がある」
 不意打ちを与えかつ敵を心理的に追い詰める、ゲリラ戦術の恐ろしさはこの世界においても変わらない。
「しかしな」
「それやったらな」
「誰でもな」
「疑ってな」
 一般市民をだ、ゲリラ達が一般市民の中に紛れている以上彼等をゲリラと疑う様になるのは当然のことである。
「攻撃する様になって」
「そうしたら攻撃された側もな」
「軍を攻撃してな」
「ゲリラがゲリラを呼ぶ形になって」
「泥沼化する」
「それがゲリラ戦の怖いところや」
「そうやな」
 ホーソーンは真顔で頷いた。
「メルヴィルさん達がせん人等は何よりや」
「戦ぶり見てたら軍服着た軍隊だけで戦ってる」
「それやと安心や」
「ゲリラ戦術は仕掛けられん」
「こっちも使わんし」
「民を巻き込満で戦えるな」
「それは何よりや」
「ほんまそやな」
 こうした話を二人でした、そしてだった。
 エミリーはあらためてだ、ホーソーンに強い顔と声で言った。
「ほなな」
「ああ、全力で戦おうな」
「軍の数も装備も星の人達の数も負けてる」
「しかしここで降るにはな」
「私等にも考えがあって意地がある」
 自分達がこの世界を統一する、とだ。
「それやとな」
「戦おうな」
「そうしよな」
「最後の最後まで」
「諦めんとな」 
 二人で意を決した顔で応えた、見ればホーソーンもそうした顔になっていた。そうして二人で共にだった。
 開戦を決意した、こうして二人はメルヴィル達との戦に入ったのだった。


第二百九十八話   完


                    2023・3・15 
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