仮面ライダーファイズ 小さな星の話
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第二十章
草加と長田だけでなく海堂も三原もかなりのダメージを受けていた。特に三原はかなり派手にやられており手当てが必要な程であった。
「何てこった」
変身を解いた乾は傷ついた仲間達を見て呻くようにして言った。
「あれだけの連中が一気にやって来るなんてな」
「たっ君、大丈夫?」
そこに啓太郎が戻って来た。真理も一緒に来ていた。
「ああ、俺はいいが」
「長田さん」
長田に顔をやれば人間の姿に戻って何とか立っている有様であった。それでも彼を見てにこりと笑ってきた。
「大丈夫です、啓太郎さん」
「おい、そんな身体で大丈夫もねえだろうが」
彼女よりは幾分傷がましな海堂が言ってきた。彼も人間の姿になっている。
「ほら、肩貸せ」
そして彼女に言う。
「連れて行ってやるからよ」
そう言って彼女の肩を担いで何処かへ去る。そこへ津上達が戻ってきた。
「こっちはまた随分派手にやられたみたいだな」
葦原が言ってきた。
「大丈夫、とはいってないですね」
「いや、こっちもこれ位はいつものことだ」
変身を解いた草加が氷川にそう返す。何とかサイドバッシャーにまで辿り着いていた。
「気にするな。何とかやっていける」
「その傷でか」
「そこはあんた達と同じさ」
今度は津上に答えた。
「それに今の俺はオルフェノクになってるんでね。並の身体じゃないんでな」
「そうなのか」
「それより三原だ」
草加は言った。
「大丈夫か?」
「ああ、何とか」
彼はふらふらになりながら変身を解いた。そのうえで応える。
「一人で帰られるから」
「そうか。だが一緒に帰らせてもらっていいか?」
津上はそう提案してきた。
「まだオルフェノクが襲い掛かってくるかも知れないからな」
「ああ、それならな」
乾が彼に応えてきた。
「頼めるか。こんな有様だからな」
「ああ。じゃあ一緒にな」
「あの洗濯屋までな」
彼等は深く傷つきながらもラッキーグローバーと村上、そしてレオとの戦いを終えた。彼等の強さの前にかなりのダメージを受けながらも何とか生き残った形であった。そのまま啓太郎の家に戻りそこで傷を癒すのであった。
その頃木場は長田のかつての家にいた。彼は家の中でホースオルフェノクになっていて周りには三人の屍が転がっていた。
それは長田の家族であった。彼女を虐げていた三人だった。彼等は今物言わぬ骸になって転がっていたのである。
「せめて苦しまないように」
木場は彼等の骸を見下ろして呟いた。
「してあげたよ。結花もそこまでは望んではいないだろうからね」
骸は灰になっていく。それが消え去ると木場は家から姿を消した。そして人間の姿になり一人夜道を歩くのであった。
「これからどうしようか」
彼は一人になるとそう呟いた。
「海堂や結花はああ言ってくれているけれど」
それでも行くわけにはいかなかった。それにはあまりにも心にしがらみがあった。その為に彼はどうすることもできず今夜道を一人彷徨い歩いていたのだ。
あてもなくあちこちを歩いている。その彼の前にスマートレディが姿を現わしてきた。
「お姉さん捜したのよ」
「また貴女か」
「そう。木場君が心配になってね」
笑ってこう述べてきた。
「それで来たの。それでね」
「ええ」
「ラッキーグローバーが全員復活したのよ」
「えっ」
木場はその言葉を聞き言葉を呑んだ。
「彼等が」
「そう。そして村上社長も蘇ったのよ」
スマートレディはさらに言葉を続ける。
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