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やはり俺がink!な彼?と転生するのは間違っているのだろうか

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パラディ島編 第15話 トロスト区奪還作戦 ~生きるものと死ぬもの~

あたりに砲台の発射音と轟音が鳴り響く。

 その轟音と揚がって来た蒸気に大通りで集まっていた訓練兵たちは驚く。

 訓練兵1「砲声!?」

 訓練兵2「なぜ一発だけ?」

 訓練兵3「まさか水門が壊されたのか?」

 訓練兵4「有り得ない・・・!一番強固な場所だろ!」

 そんな会話を聞いたライナーが立体機動で飛び出す。

 ジャン「!?おい!ライナー!」

 それに続いて、アニやジャン、クリスタも飛び出していく。

 ユミル「!?クリスタ!」

 クリスタが飛び出したからかユミルもクリスタ達が行く方へ向かう。

 ライナーが煙の上がるほうに向かうと、

 ライナー「・・・どうなってんだ。・・・これは!?」

 視界には所々皮膚や筋肉がない上半身だけの巨人が写っていた。

 ---

 ヒョウside

 エレンが俺たちを引っ張り、自身に近づけた後、巨人化した。

 そして、巨人の腕で砲弾を防ぐ。

 クッ、やっぱり原作通りになる。

 少しでも道を変えられたらと思ったが、無理だったか・・・。

 せめて、あの人らの考察・・・・・・・のように戦争が起きないようにしたいが・・・。

 ・・・むりかなぁ・・・。

 ・・・はっ!と、とりあえず、今の状況を確認しないと。

 そう思い、上を見てみると、巨人の肋骨が見える。

 アルミン「ヒョウ!ハチマン!大丈夫!?」

 アルミンが声を掛けてくる。

 ハチマン「あぁ。何とかな・・・。」

 ハチマンはそういう。

 ・・・てか、何とかって・・・。

 あんた、痛覚無効持ってるから、そこまできつくなかっただろ。

 まぁ、俺もだが。

 とりあえず、

 ヒョウ「特になんともないぞ。」

 アルミンに返答はしておこう。

 アルミン「にしても・・・、これは、エレンがやったの・・・?」

 ミカサ「そう。エレンが私たちを守ってくれた。今はそれ以上、
     理解する必要はない。」

 アルミンの独り言?にミカサが返答する。

 ・・・さすがは、1度はこの物語を終わらせた・・・・・・・・・・人物たちだな。

 俺なんて、知ってなかったらビビリ散らすか、放心状態になってただろうに。

 ・・・だから、俺は知っておきたいんだ。あらゆるものを。

 知っているだけで耐性ができる。耐性ができるから、物事に冷静になれる。

 何かができるようになる。だから、知って、学びたいんだ。

 ・・・そう考えてたから、俺は、あのスキル・・・を手に入れたんだろうな・・・。

 エレン「オイ!?大丈夫か!?お前ら・・・。」

 感傷に浸っていたら、エレンが降りてきた。

 アルミン「エレン!?これは―――。」

 エレン「分からん!!・・・ただこいつはもう蒸発する!!
     巨人の死体と同じだ。少し離れるぞ!!」

 エレンはそう言い、俺たちに離れるよう促す。

 ハチマン「・・・分かった。どっちみち、あの隊長(笑)を脅すか説得しないと、
      この膠着状況は続くだろうしな。
      その前に死んじまったら、元も子もねぇ。」

 その言葉を聞いたアルミンも(ミカサは元々移動する気だったため)移動する。

 俺?もう移動し始めてますけど?

 エレンは、蒸気が辺りを覆う中、隊長(笑)を見ながら言う。

 エレン「まだ様子を窺っているのか・・・、放心してんのか・・・、
     今のところは駐屯兵団に動きは見られないが・・・。
     最終的には・・・、攻撃を続行するだろう・・・。
     こんなもん見せた後で会話できる自信はオレにはない。
     ただ・・・、ヒョウの言葉で、1つだけ思い出した・・・。」

 エレンは胸からグリシャさんが持っていた鍵を出す。

 エレン「地下室だ。オレん家の地下室!!そこに行けば全て分かるって
     親父が言ってたのを思い出した・・・!」

 さらに続けて、蒸気を発しながら消える巨人の上半身を見ながらエレンは言う。

 エレン「・・・オレがこうなっちまった原因も親父だ・・・。
     地下に行けばおそらく巨人の正体も分かるんだ。」

 そういったとき、ずっと黙っていたハチマンの口から言葉がこぼれる。

 ハチマン「・・・なら、なぜ親父さんは、俺たちに、周りに、
      そのことをずっと黙ってたんだ・・・?」

 その疑問にアルミンが答える。

 アルミン「確かに・・・。
      エレンのお父さんは『町の恩人』とも言われたぐらいすごい人だ。
      そんな人が自分の私利私欲のためにそのことを隠すことはないと思う。
      だから、他に何かいえない理由があったと思うんだ。
      たとえば・・・、言ったら王政に追われる様なことだったとか。」

 ・・・さすがの洞察力だな。

 エレン「・・・確かにそんなこと、俺や母さんたちがいる状態では言えねぇな。」

 ハチマン「なるほど・・・。・・・とりあえず、これからどうする?
      案としては、駐屯兵弾の奴等を説得するか、ここから逃げるかだ。」

 ハチマンがこの先の話を始める。

 エレン「オレは・・・、ここを離れようと思う。巨人化してな。」

 アルミン「巨人化できる確証はあるの?」

 エレン「・・・分からん。ただ、何故かできるって思えるんだ。
     自分の腕をどうやって動かしているか説明できないように、
     俺も、巨人にどうやってなるか説明できない。
     さっきは無意識にオレ達を砲弾から防ぐことだけを考えた。
     だからそれ以上の昨日も持続力も無く朽ちたんだ。」

 そう言うエレンを見ながら、アルミンは何か考えている様子だ。

 アルミン(エレンが巨人なのか・・・、エレンが巨人を出現させて
      操っているのか・・・。それは、エレン自身にも分からないだろう。)

 ハチマン「まぁ、それが1つ。もう1つは説得だが・・・、・・・!
      エレン!鼻血が出てるぞ?」

 エレンはハチマンに指摘されると、すぐに血を指で拭う。

 アルミン「顔色もひどい、呼吸も荒い・・・。
      明らかに身体に異常を来している・・・!」

 アルミンがそういうし、さすがにこの状態で巨人化するのも危険だと思うので
 エレンを止めておく。

 ヒョウ「エレン。その状態で巨人化するな。
     この体調不良はおそらく巨人化の副作用だろう。
     そんな状態で巨人になってみろ。ほぼ確実に、逃げられなくなるぞ。」

 エレン「・・・分かった。ヒョウがそこまで言うのはホントにやばい時だしな。」

 どうやら、エレンは納得してくれたようだ。

 ・・・良かった良かった・・・。

 ハチマン「さて・・・、まず、逃げるという選択肢は、一応ある。
      だが、あまりおススメはしない。
      理由は、それをするだけの体力があまり残ってないから。
      もう1つの説得は・・・、・・・アルミン。お前に頼みたい。」

 ハチマンはそう言いながら、アルミンを見る。

 アルミン「え・・・?」

 そうだ!アルミン!頼む!俺、こんな状況での説得はできねぇ!

 ・・・この状況・・・、トラウマを思い出すなぁ・・・。

 ・・・あ。胃が・・・、キリキリする・・・!

 ハチマン「正直言って、今ここに居る中で、あの隊長(笑)を説得できるのは、
      アルミン。お前しか居ない。ミカサは説得無理だし、
      エレンは怖がられてるし、ヒョウは、この状況でトラウマと
      ストレスで胃が壊れてきてる。そんな状況で説得できねぇだろ?
      それに、アルミン。この中で、一番の知識と頭脳を持つお前に
      頼みたい。やってくれないか?」

 ハチマンがそう言う。

 って、やべぇ・・・。胃がぁ、いてぇよぉ・・・。

 ストレスってやべぇ・・・。トラウマってやばいのは知ってるけど・・・。

 ヒョウ「うぅぅ・・・。」

 ハチマン「ほら。完全にお陀仏になりかけてる。
      こんな状態でやらせるわけにもいかねぇ。
      お前らの姉か兄貴か分からないが、助けてやるためにも。な?」

 アルミン「・・・ハチマン。いや、3人とも。
      何で僕にそんな決断を任せられるの?
      僕は、みんなに助けられてばっかりなのに・・・。
      僕は、一度もみんなを助けたことなんかないのに・・・。」

 アルミンが自身の本音をこぼす。

 エレン「そりゃあ、お前は、やばい時ほど正しい行動ができるだろ?
     それに、お前はオレ達を何回も助けてくれてるだろ。
     5年前、お前がハンネスさんを呼んでくれなきゃ、
     母さんは巨人の餌になっちまってた。
     それに、開拓地で暮らしてた時もそうだ。
     俺たちは、お前に助けられてる。だからこそ、その力に頼りたいんだ。」

 エレンがアルミンにそういう。

 アルミンは、その言葉で、ケツイを固めたようだ。

 アルミン「・・・みんな!必ず説得してみせる!
      3人は極力、抵抗の意志が無いことを示してくれ!」

 アルミンは立体機動装置を外しながら、キッツの元まで向かう。

 ・・・やっぱり、胃がぁ・・・。

 ---

 三人称視点

 アルミン(エレンが巨人になって戦ってた時から
      ずっと引っ掛かってた事がある・・・。
      まだ考えがまとまっていない・・・。けど・・・、
      やってやる!喋りながらでも考えろ!)

 アルミンは考えを少しでもまとめながら、キッツの元へ向かう。

 キッツ「貴様!!そこで止まれ!!」

 キッツにそういわれたアルミンは、両手を挙げながら説得を試みる。

 アルミン「彼は人類の敵ではありません!
      私達は知り得た情報をすべて開示する意志があります!」

 キッツ「命乞いに貸す耳は無い!目の前で正体を現しておいて、
     今さら何を言う!」

 アルミンが演説をするが、途中でキッツの恐怖の入り混じった声で遮られる。

 キッツ「ヤツが巨人ではないというのなら、証拠を出せ!!
     それができないなら、危険を排除するまでだ!!」

 アルミン「証拠は必要ありません!」

 キッツが要求を言い終わった時、アルミンはすぐに言う。

 アルミン(そうだ・・・。必要ない!)

 アルミン「そもそも我々が彼をどう認識するかは問題ではないのです!」

 キッツ「なんだと!?」

 アルミン「大勢の者が見たと聞きました!
      ならば、彼と巨人が戦う姿を見たはずです!
      周囲の巨人が彼に群がっていく姿も。」

 駐屯兵たち「「「!!」」」

 アルミンのその言葉に困惑していた駐屯兵たちは、
 続けて言われた、自身の見た光景を思い出す。

 アルミン「つまり巨人・・は彼の事を我々人類と同じ捕食対象として認識しました!
      我々が幾ら知恵を絞ろうともこの事実だけは動きません!」

 駐屯兵1「確かにそうだ・・・。」

 駐屯兵2「やつは味方かもしれんぞ・・・。」

 アルミンの演説によって多くの兵士が心を揺さぶられたが、
 キッツの発言でその場の空気は戻る。

 キッツ「迎撃態勢を取れ!!ヤツらの巧妙な罠に惑わされるな!!
     ヤツらの行動は常に我々の理解を超える!!
     人間に化けることも可能というわけだ!!
     これ以上ヤツらの好きにさせてはならん!」

 場の空気が戻ったことで、アルミンたちは不利に戻る。

 しかし、アルミンは諦めなかった。

 自分を励ましてくれる友のため、自分を助けてくれたいないはずの兄のような人と
 姉のような人のため、自分と初めて友達になってくれた、親友のため。

 彼は、敬礼をしながら言う。

 アルミン「とうに私は!!人類復興のためなら心臓を捧げると誓った兵士!!
      その信念に従った末に命が果てるのなら本望!!!
      彼の持つ巨人の力と残存する兵力が組み合わされば! !
      この街の奪還も不可能ではありません!!
      人類の栄光を願い!!これから死に行くせめてもの間に!!
      彼の戦術価値を説きます!!」

 アルミンの演説は効果的だった。

 事実、駐屯兵の多くが「そうかもしれない。」と思ったのだから。

 しかし、規則を守り、反するものは排除する。そんな考えを持つキッツの前では
 あまり効果的ではなかったのだ。

 キッツ「そうか・・・。」

 キッツは挙げた手を振ろうとする。

 しかし、

 ピクシス「よさんか。」

 トロスト区を含む南側領土を束ねる最高責任者であるドット・ピクシスに
 その手は止められる。

 ピクシス「相変わらず図体の割に小鹿のような男じゃ。
      お前にはあの者の見事な敬礼が見えんのか。
      今着いた所じゃが、状況は早馬で伝わっておる。
      お前は増援の指揮に着け。
      わしは、あの者らの話を聞いた方がええ気がするのぅ。」

 ---

 ヒョウside

 ドット・ピクシス。
 人類の最重要区防衛を任された人物であり、
 「生来の変人」という異名(?)で知られているおじいちゃんである。

 そんなおじいちゃんに連れられて、壁の上まで来た俺達5人。

 ピクシス「・・・やはり見当たらんか・・・。
      超絶美女の巨人になら、喰われてもいいんじゃが・・・。」

 こんなことを言うため生来の変人と呼ばれるが、
 指揮統率能力等は非常に高く、「何かを変えることのできる人間」と
 アルミンが思っているほどの人材である。
 そりゃあ、最重要区防衛も任されるよなぁと思ってたりする。

 ピクシス「とりあえず、知っていることを話してもらおうかのぉ。」

 ---

 リコ「はぁ。なんで、こんな作戦に5人も新兵を使うんだ・・・。」

 ・・・原作で唯一精鋭班で生き残ったリコ・ブレツェンスカさんがぼやく。

 どうやら、この危険な作戦に5人も卒業したての新兵が関わっているのが
 不安らしい。

 まぁ、あの人の不満も分かるが、我慢してもらいたい。

 そんなことを考えていると、ピクシス指令とエレンが壁の上に立って、
 下に居る兵士たちに作戦を説明し始める。

 ピクシス「注!!もぉぉぉぉぉおく!!」

 ピクシス指令がそう大声で言うと、下の兵士たちが壁の上に居る
 ピクシス指令に注目する。

 ピクシス「これよりトロスト区奪還作戦について説明する!!
      この作戦の成功目標は破壊された扉の穴を―塞ぐ!!ことである!!
      穴を塞ぐ手段じゃが、まず彼から紹介しよう。
      訓練兵所属エレン・イェーガーじゃ。」

 下の兵士たちはエレンが出てきたこと。
 そして、次にピクシス指令の言う事に驚く。

 ピクシス「彼は我々が極秘に研究してきた巨人化生体実験の成功者である!!
      彼は巨人の身体を精製し意のままに操ることが可能である!
      巨人と化した彼は、前門付近にある大岩を持ち上げ、
      破壊された扉まで運び穴を塞ぐ!!
      諸君らの任務は彼が岩を運ぶまでの間、
      彼を他の巨人から守ることである!」

 ダズ「嘘だ!!そんなわけのわからない理由で命を預けてたまるか!!
    俺たちを何だと思っているんだ!?
    俺たちは・・・、使い捨ての刃じゃないぞ!」

 ピクシス指令に大声を上げて言うダズの声が聞こえる。

 そういう彼に賛同する多くの駐屯兵たち。

 そのダズや駐屯兵たちに対して、原作通りキッツが叩き斬ろうとする。

 その時、ピクシス指令の言葉が響き渡る。

 ピクシス「ワシが命ずる!! 今この場から去る者の罪を免除する!!」

 そういうピクシス指令の言葉に、多くの兵士たちは驚き、固まる。

 ピクシス「一度巨人に屈したモノは二度と巨人に立ち向かえん!
      巨人の恐ろしさを知ったものはここから去るがいい!
      そして!!その巨人の恐ろしさを自分の親や兄弟、
      愛する者にも味わわせたい者も!! ここから去るがいい!!」

 そういわれた途端、逃げようとしていた兵士たちの足が止まる。

 おそらく、彼らには、自身の恐怖を押しつぶしても、
 守りたいものがあるのだろう。
 そう思わせてくれる者たちが居るのだろう。

 ・・・羨ましいことだ。

 ピクシス「4年前の話をしよう!!
      4年前のウォール・マリア奪還作戦の話じゃ!!
      あえてワシが言わんでも分かっておると思うがの。
      奪還作戦といえば聞こえはいいが!
      要は政府が抱え切れんかった大量の失業者の口減らしじゃった!
      皆がそのことに関して口つぐんでおるのは彼らを壁の外に
      追いやったおかげで、我々はこの狭い壁の中で生き残ることが
      できたからじゃ。ワシを含め人類全てに罪がある!!
      ウォール・マリアの住民が少数派であったがため、
      争いは表面化しなかった。しかし!!今度はどうじゃ!?
      このウォール・ローゼが破られれば、人口の2割を
      口減らしするだけじゃすまんぞ。
      最後のウォール・シーナの中だけでは
      残された人類の半分も養えん!!
      人類が滅ぶのなら巨人に食い尽くされるのが原因ではない!!
      人同士の殺し合いによって滅ぶ!!
      我々はこれより奥の壁で死んではならん!!
      どうかここで―――ここで死んでくれ!!」

 そういうピクシス指令の顔は、やはり覚悟を決めた顔で、
 人類は、惜しい人を無くすのだろうなと思った。

 ---

 兵士たちへの指示が終わった後、俺はエレン達と合流。

 少数護衛の班として、ミカサ、ハチマンと行動する。

 イアン「ここだ!行くぞ!」

 イアンさんの指示で全員が立体機動で移る。

 たしかここだ。

 ピクシス指令の言葉で気に入っているところが聞こえるのは。

 俺は、その言葉を思い出しながら、立体機動で移動する。

 しばらく立体機動で移動すると、大岩が見えてくる。

 エレンはそこで巨人化した。

ドオオオオオォン!!

 エレン巨人「アアァァァァァ!!」

 エレンが大岩に向かって歩いていく。

 ・・・おそらく、エレンは・・・、

 ミカサ「?エレン?」

ドオオオオオ!!

 暴走する・・・!

 ヒョウ「チッ!」

 ハチマン「ミカサ!避けろ!」

 ミカサに向かって、エレン巨人は拳を振り落とす。

 ヒョウ「クッ!制御できてない!一旦、こいつを行動不能にしなくちゃ!」

 ミカサはエレン巨人の拳を避けながら、額に張り付く。

 ミカサ「エレン!私がわからないの!?私はミカサ!!あなたの・・・家族!!
     あなたは、この岩で穴を塞がなければならない!エレン!
     あなたは人間!」

 ハチマン「ミカサ!」

 ミカサはそう言い、エレン巨人を正気に戻そうとするが、エレン巨人は聞かず、
 ミカサに攻撃しようとする。

 しかし、ハチマンが立体機動と空間移動の併用で一気に距離をつめ、
 ミカサを抱えて移動する。

 エレン巨人は、額に向かって勢い良く拳を振ったため、顔面にダメージを
 与え、岩にもたれ掛かって気絶(?)した。

 ミカサ「エレン!」

 ハチマン「クッ!」

 リコ「分かってたよ・・・。秘密兵器なんか存在しないって・・・。」

 リコさんが作戦失敗の煙弾を挙げる。

 その直後、

 駐屯兵3「イアン班長!前扉から2体接近!10m級と6m級です!」

 駐屯兵4「後方からも1体!12m級、こちらに向かってきます!」

 こちらへの巨人の接近が多数確認される。

 ミタビ「イアン!撤退するぞ!!あのガキ、穴を塞ぐどころじゃねーよ!」

 リコ「あぁ・・・。仕方ないが、ここにおいて行こう・・・。」

 ミタビさん達がそう言う。

 その言葉にハチマンが反応する。

 ハチマン「ダメですよ・・・。」

 リコ「ん?」

 ハチマン「ここでエレンを置いて撤退すれば、もう穴を塞ぐ事はできません!
      ここで退いてはダメなんです。ここで、時間を稼がないと・・・。」

 その言葉を聞いたイアンさんは顔色を変えた。

 イアン「・・・リコ班!後方の12m級をやれ!俺の班とミタビ班で、
     前の2体をやる!」

 リコ「あんた・・・!正気なの!?」

 イアン「さぁな・・・。ただ、やらなきゃいけないことが分かった。
     二人に巨人を近付けるな!リコ、ミタビ・・・。
     俺は兵を無駄死にさせる気はない。
     だが・・・、この最悪の現状を打破するためには彼の・・・
     巨人の力が必要だ!」

 リコ「・・・。」

 イアン「俺たちは、代えの利く駒だ。だが、あのエレン・イェーガーという
     巨人になれる人間には代えが無い!
     だからこそ、俺たちにできるのは命を投げ打って、
     健気に尽くすことだけだ・・・。」

 イアンさんがそう言う。

 ・・・正直言って、人類皆、代えの利かない意志ある人間だと思うが・・・。

 リコ「・・・納得できない。」

 イアン「リコ!」

 リコ「だが、作戦には従うよ。犬死なんてごめんだからね・・・。」

 ミタビ「・・・そうだな。イアン、行くぞ!」

 そう言って、2人は自分たちの班と一緒に巨人を討伐しに行く。

 イアン「・・・ああ。
     ・・・!アッカーマン、ヒキガヤ、ギルデット訓練兵。
     自由に動き回ってくれ。その方が、戦況も有利になるだろう。」

 ハチマン「!分かりました。」

 イアン「・・・任せたぞ。」

 イアンさんはそう言い残し、他の班と同じように巨人を討伐しに行く。

 ハチマン「・・・よし。自由に動いていいんだな?
      ミカサ、ヒョウ。巨人を片付けるぞ。」

 ミカサ「うん。」

 ハチマンはミカサと俺で行動しようとしてるみたいだが・・・。

 ヒョウ「・・・俺は、巨人誘導の班の援護に向かいたい。
     悪いが・・・、ここを頼めるか?」

 ハチマン「!・・・分かった。やれるだけやろう。」

 ヒョウ「頼んだぞ。」

 俺はそう言い、マルコ・・・が死んだ場所付近に移動する。

 ---

 ハチマンside

 ヒョウが巨人誘導の班の援護に向かった後、俺とミカサはエレンに
 近づこうとする巨人達を片っ端から倒していた。

 ハチマン「チィッ!」

 エレンは全然おきねぇし、巨人はやけに多いし、ガスも減ってきてるぞ。

 ・・・あまり見せたくは無いんだが・・・。

 ハチマン「ミカサ!下がれ!」

 俺はミカサにそういう。

 ミカサ「!?・・・分かった。」

 ミカサは驚いていたが、俺に策があると気づいてくれたからか、
 少し巨人の群れから遠ざかる。

 ハチマン「さて・・・、『異常者オカシナモノ』。補助を頼む。」

 異常者『ああ。任せなさい。』

 てか、今更だが、『異常者オカシナモノ』って呼びにくいな・・・。

 ・・・あとで、名前を考えるか。

 まっ、それは置いといて。

 ハチマン「やるぞ!」

 俺はその言葉を合図に周りにGasterblasterを出す。

 しかも、今は『異常者オカシナモノ』の補助があるため、巨人どもを消し去るのに
 最適な威力、エネルギー効率で撃てる。

バァァァァァ!

 今来ている精鋭班と戦っている巨人以外の巨人達に向かってBlasterを放つ。

 結果、撃たれた巨人は跡形も無く消え去った。

 ハチマン「」

 ・・・流石にここまでの威力になるなんて思ってなかったが・・・。

 異常者『何を言っている。私と『審判者サバクモノ』のBlasterをうまく統合したんだぞ?
     ここまで高い威力が出るのは当たり前だろう?』

 ・・・まじかぁ・・・。

 しかも、全然体力が持ってかれてない。

 まだまだ撃てるし・・・。

 もはやチートだな。

 ミカサ「ハチマン!大丈夫!?・・・今のは・・・?」

 そういや、ミカサにも教えていなかったな・・・。

 ハチマン「俺は何にも怪我してない。さっきのは・・・、
      俺の能力と思ってくれればいい。こっから先は聞かないでくれ。」

 ミカサ「!・・・分かった。とりあえず、無事でよかった。」

 まぁ、あんだけ巨人の居る状態で下がれって言われたら、不安になるな。

 ハチマン「悪かったな。大丈夫だから。」

 ミカサにそういったとき、

 アルミン「ハチマン!ミカサ!作戦はどうなった!?
      エレンはどうなっているんだ!?」

 何故かアルミンがここに来た。

 ハチマン「!?アルミン!?何でここに!?」

 アルミン「作戦失敗の煙弾が見えたから・・・。・・・とりあえず状況を。」

 俺はアルミンに状況を説明する。

 アルミン「・・・分かった。2人は他の班の援護を。僕は、エレンを起こす。」

 ハチマン「!?・・・分かった。ミカサ、行くぞ。」

 今、エレンを起こせるのはアルミンだけだ。

 俺たちは、アルミンが喰われない様にしないと・・・。

 ミカサ「!?ハ、ハチマン!アルミンをここには置いていけない!」

 ハチマン「ミカサ!ここに俺たちがいる方がダメだ!アルミンを信じろ!
      俺たちが前線に向かうことで、稼げる時間がある。」

 ・・・まさか、1番人を疑ってた俺が『信じろ』なんて言葉を使うとはな・・・。

 それはともかく、ミカサは納得してくれたのか、しぶしぶ、

 ミカサ「・・・分かった。行こう。」

 といってくれた。

 ハチマン「よし。アルミン。エレンを任せたぞ。」

 アルミン「!うん!2人もね。」

 アルミンの言葉に頷き、俺たちは付近の巨人の討伐を始めた。

 ---

 リコ「・・・すごいな・・・。」

 ハチマン「フッ!」ザシュッ

 ミカサ「・・・。」ザシュッ

 リコといわれた精鋭班の班長の声が聞こえる。

 流石ミカサ。冷静に巨人に対処してる。

 そのおかげか、周りの巨人を一掃できた。

 ・・・さて、補助もきつくなってきたが・・・、まだか?

ドシン・・・ドシン・・・

 ハチマン「・・・!」

 エレン・・・!やっとか・・・!

 ミカサ「エレン・・・!」

 ミカサがそういった直後、

 アルミン「ミカサ!ハチマン!エレンが勝ったんだ!
      あとはエレンを扉まで援護すれば、僕らの勝ちだ!」

 アルミンがそう伝えに来てくれる。

 イアン「・・・!」

 それをきいたイアン班長が全員に指示を出す。

 イアン「死守せよッ!!
     我々の命と引き換えにしてでも、エレンを扉まで守れッ!!」

 その指示を合図に全員が立体機動に移り、エレンに近づく巨人を倒しに行く。

 俺もそれに続き、エレンの道の先に居る巨人を倒しておく。

 そして、さらに前から来る巨人を倒していると、

 駐屯兵5「うわぁぁぁぁっ!!」

 駐屯兵の一人が巨人に喰われそうになった。

 だが、

 イアン「うぅッ!!」

 イアン班長が駐屯兵を投げ、逃がす。

 しかし、今度は自分が噛み千切らようとしていた。

 俺はそちらに向かおうとするが、エレンに惹き付けられているのか、
 こちらに向かってくる巨人の量が多くなり、救援にいけない。

 本人も周りも死を覚悟しただろう。

 その覚悟はいい意味で無駄になるが。

 ???「やぁっ!!」

 巨人の頭からいきなり巨大な骨が出てきて、あごが開いた状態で固定された。

 周りはそれを見て驚いている。

 勿論俺も驚いている。

 ただし、周りとは別の意味でだけど。

 おそらく、あんなにでかい骨を出せるのは、

 ???「ミャハハッ!大丈夫か!ニンゲン!」

 Swap!sansぐらいだ。

 イアン「・・・君は・・・?」

 Swap!「フッ、俺様は偉大なるsans様だ!」

 イアン「・・・?なぜ俺を助けた?」

 Swap!「俺の相棒のニンゲンに頼まれたのだ。
     『死ぬかもしれないから、助けてやってくれ』とな!
     だから、助けに来たのだ!」

 イアン「・・・そうか。ひとまず、礼を言う。」

 Swap!「いいのだ!さぁ、さっさとキョジンとやらを倒すぞ!」

 イアン「!・・・ああ!」

 Swap!sansは、少しイアン班長と話した後、巨人を一掃して行ってくれた。

 Swap!sansのおかげで巨人が減ってきた頃、
 俺は、先に門付近の巨人の討伐をしようと思い、門に向かう。

 早めに倒して、エレンのほうに巨人が行かないようにしたいからな・・・。

 そう思い、門の方に向かうと、案の定巨人が群がっている。

 巨人達は、一斉にこちらに向かって手をのばしたり、口を近づけてくる。

 俺はそれを空間移動で避け、『異常者オカシナモノ』監修の骨やBlasterで項に攻撃をする。

 大体の攻撃は巨人の項にあたり、攻撃は成功したが、腕や足にあたり、
 項を攻撃できなかったものもおり、残りはざっと4,5体になった。

 それが分かった俺は、立体機動で項まで移動し、ブレードを振る。

ザシュッ

 1体殺ったのを理解し、近づいて来た2体の巨人の項を削ぐ。

 ブレードがなまくらと化したことを確認して、巨人の項目掛けて投げる。

 その投げたブレードは見事に命中し、その巨人も絶命した。

 巨人が残り1体だけとなり、ブレードを換装し、巨人にアンカーを刺すと、
 その巨人がいきなり壁外に向かって走り始めた。

 ハチマン「は・・・?・・・!ちょっ!」

 それにつられて、ワイヤーが刺さったまま、俺は巨人と一緒に壁外に飛び出す。

 壁街に出て一番初めに写ったのは、多くの巨人と戦う調査兵たちだった。

 巨人を誰かが惹き付けている内に他の兵士が止めを刺す。

 そんな戦法を取っていた。

 それは置いておいて、俺はワイヤーを刺しっぱなしにしているこの巨人の項まで
 一気に距離を詰め、ある程度の力加減で項を削ぐ。

 そして、死体が蒸発し始めるのを確認してから、邪魔になるかもしれないが、
 他の調査兵の援護に向かう。

 調査兵1「キャァァァァッ!!」

 調査兵の悲鳴が聞こえる。

 俺は、悲鳴のした方に立体機動で移動し、女性兵士を喰おうとしている
 巨人の項を削いだ。

ザシュッ

 調査兵1「・・・ぇ・・・。」

 項を削がれた巨人は蒸発し始めたため、絶命したことが確認できる。

 ハチマン「・・・大丈夫ですか?」

 調査兵1「・・・!え、ええ。ありがとう・・・。
      あなた、駐屯兵?」

 ハチマン「?いえ、訓練兵ですが。」

 調査兵1「!?えっ!?嘘・・・。」

 聞かれた事に素直に答えたら、異常なほど驚かれてしまった。

 ・・・この人、巨人に摑まるまでいい動きしていたけどなぁ・・・。

 経験を積んだらこれくらい動けるものだと思うが・・・。

 同期の訓練兵にも、同じ動きができる訓練兵は居るし。

 ヒョウとか、ミカサとか、エレンとか、クリスタとか。

 異常者『そんなことは後で考えろッ!巨人が来ているぞ!』

 異常者に言われ、思考を切り替える。

 南の方から、また巨人が来ていた。

 ハチマン「早く立体機動に移った方がよさそうです。
      動けますか?」

 調査兵1「え!?う、うん。」

 ハチマン「なら、壁を登ってください。巨人に掴まれたのだから、
      どんな後遺症が残ってもおかしくないので。」

 調査兵1「!?で、でも・・・!「負傷してたら、足手まといになります。」
      ・・・分かったわ。」

 調査兵の人は、何とか納得してくれた。

 ハチマン「早く壁を登ってくださいよ?では。」

 俺は調査兵の人にそういい、巨人の群れに突っ込んでいく。

 調査兵1「ええ!?ちょっ!・・・行っちゃった・・・。」

 ---

 ハチマン「フッ、フッ、フッ。」ザシュッザシュッザシュッ

 三連続で巨人の項を削ぐ。

 項を削がれた3体は、次々と蒸気を吹き上げて消滅していく。

 俺はそれを一瞥すると、こちらに近づいてくる巨人の手を避け、
 巨人の腕を回転しながらブレードで斬りつけ、項まで近づく。

 そして、

 ハチマン「ッそりゃッ!!」ザシュッ

 そのままの勢いで項を回転しながら削ぐ。

 その時、付近に見える巨人を倒しきったから安心していたのだろう。

 だから、俺は気付かなかった。

 後ろから伸びてくる手に・・・。

 異常者『!?ハチマンッ!!』

 ハチマン「ッ!?」

 避けられない・・・!

ザシュッ

 巨人に掴まれると思ったが、その手が俺を掴むことは無く、
 その前に巨人は項を削がれ絶命していた。

 ハチマン「は・・・?」

 ???「おい、ガキ。無事か。」

 巨人が倒れ、その上に俺を助けてくれたであろう、チラッとだけ
 ・・・というか、今日の朝に見た顔と髪型をした男性が立っていた。

 ハチマン「・・・!リヴァイ兵士長。助けていただきありがとうございます。」

 リヴァイ「礼はいい。だが、壁の中の状況を教えろ。
      それと、周りの巨人を一掃するのを手伝え。
      このままじゃキリがねぇからな・・・。」

 ハチマン「はい、分かりました。とりあえず説明すると・・・。」

 ~せつめいちゅう~

 リヴァイ「・・・なるほど、ある程度は分かった。
      さて、さっさと壁周りの巨人を片付けるぞ。」

 ハチマン「はっ。」

 ---

 俺はリヴァイ兵士長と共に巨人を討伐した。

 さすが兵士長というべきか、非常に良い動きをしており、
 これだけの力を持っていても、その力を誇示しないところや
 俺の時のように仲間を助けようとするところが、
 『人類最強の兵士』という異名というか二つ名というか・・・、
 そういうものを背負えるのだなぁと思った。

 リヴァイ「おい。・・・そういや、お前は名乗ってなかったな。
      名前と所属兵科を言え。」

 巨人を一通り掃討した時、リヴァイ兵士長が質問?をしてきた。

 ハチマン「?104期訓練兵団所属ハチマン・ヒキガヤですが・・・。」

 俺は聞かれた事に少し戸惑いながら言う。

 リヴァイ「!・・・訓練兵団卒業でここまでできるのか・・・。
      お前、所属兵科を何処にするか決めているか?」

 ・・・また驚かれた。・・・なんでだ?

 とりあえず、質問に答える。

 ハチマン「はい。調査兵団に。」

 俺がそう言うと、リヴァイ兵士長は少し笑いながら言う。

 リヴァイ「フッ。そうか。なら、お前を俺の班に入れてもいいかもな。」

 ・・・始めの方は聞こえたんだが、最後の方が聞こえなかったな・・・。

 まぁ、良いか。

 エレン巨人「ウウゥゥゥゥゥァアアアア!!」

ドォーン

 リヴァイ、ハチマン「「!!」」

 どうやら、穴を塞ぐ事に成功したようだ。

 リヴァイ「よし。こっち側の巨人は粗方片付いてるな・・・。
      壁内のほうに向かうぞ。」

 ハチマン「分かりました。」

 そういい、俺とリヴァイ兵士長は壁を登り、壁内に侵入した。

 ハチマン(やっぱり、死者は多そうだ・・・。・・・!)

 壁内の状況を見てそう思っていると、壁の門付近でエレンたちが
 立ち往生?していた。

 そして、それを狙ったかのように正面と右から巨人が2体ずつ来ていた。

 リヴァイ「チッ。おい、ハチマン。お前は右から来る巨人を殺れ。
      正面のほうは俺が片付ける。」

 ハチマン「分かりました。」

 リヴァイ兵士長に命令され、俺は右から来る巨人を討伐する。

 同じくらいにリヴァイ兵士長も巨人を討伐し終え、
 エレンたちに質問していた。

 しかし、またこちらに巨人が向かってくる。

 ハチマン「!リヴァイ兵士長!また巨人が来ています。」

 それを聞いたリヴァイ兵士長は舌打ちをしながら言う。

 リヴァイ「チッ。おい、ガキども!さっさと壁を登れ!
      これから登ってくる調査兵団の奴等に事情の説明をしておけ!
      ハチマン。お前には、壁の中の巨人の掃討を手伝ってもらうぞ。」

 ハチマン「分かりました。」

 俺はそういい、リヴァイ兵士長と共に立体機動に移る。

 ミカサが言うには、そのときの俺はとてもかっこよかったそうだ。

 ・・・お世辞だと思うが。



 To Be Continued 
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