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仮面ライダー龍騎 夢に向かえ

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第十四章

「あんな怖い人とは」
「だが普通の人間でもない。貴女は一体」
 ここで貴女と呼んだ。何か得体の知れない力と知識を彼女に感じていたからである。
「それは何時かのお楽しみで」
「そうか。なら」
「はい。それじゃあ次はここに向かって下さい」
 急に地図を渡してきた。
「そこに多分北條さん達もいますんで」
「何から何までだな」
「だって今が人間にとって肝心ですから」
 女はおどけた様子だが真剣なことを言っていた。
「やっぱりここは」
「わかった。じゃあ今から」
「はい。頑張って下さいね」
 一条も戦いに向かう。女はここで青い蝶を出して何処かへ消えたのであった。
 
 喫茶店花鶏。今ここに二人の男がいた。
 一人はOREジャーナルの新米記者城戸真司。そしてもう一人はウェイターの秋山蓮であった。二人はカウンター越しに話をしていた。
「何か最近さ」
「どうした?また金欠か?」
「違うよ。何でそうなるんだよ」
「いや、御前はいつもそうだからな」
 秋山はそう城戸に返す。
「そうじゃないかと思ってな」
「昨日給料日だよ。それはないよ」
「そうか」
「そうさ。それでな蓮」
 城戸は秋山の入れたコーヒーを飲みながら話す。のどかな店の中に今いるのは二人だけである。他には誰もいない。静かなものであった。
「スマートブレイン社ってあるよな」
「ああ」
 秋山は今度は普通に答えた。
「あの大企業だな。えらく若い人が社長になった」
「そのスマートブレインな。規模を縮小しているんだ」
「そうなのか」
「ああ。新しく社長になった人の方針でな。そうしているらしいんだ」
 コーヒーを一旦テーブルの上に置いた。
「何でかわからないけれどな」
「そもそもあの若い人が社長になったのだってわからなかったぞ」
 秋山はそれについて言う。
「あんまりにも若過ぎるだろう」
「あの人今いないぜ」
「何っ!?」
 秋山はそれを聞いて思わず声をあげた。グラスを磨く手も止まった。
「それ本当か。就任してすぐじゃないか」
「だからおかしいんだよ」
 城戸はここで言う。
「あんまりにも若い社長だったししかも就任してすぐにいなくなる」
「ああ」
「やっぱりおかしいよな」
「で、何かありそうだっていうんだな」
「俺はそう思うけれどな」
 城戸はそう考えていた。しかし秋山はそんな彼に忠告してきた。4
「考えるのはいい。だがな」
「どうしたんだ?」
「それを記事にしたり調べたりするのは止めた方がいい」
「何でだ?」
 それを聞いて眉を顰めさせてきた。
「危ないぞ、あそこは」
「ただの大企業じゃないのか?それでどうして」
「表向きはな。裏で何やってるかわからないところだ」
「そうなのか」
「前の前の社長覚えているだろ」
「村上さんだったか」
 彼のことは業界以外でも有名であった。やはり社長としてはかなり若く辣腕で知られていたからだ。それだけに多くの噂があったのも事実なのだ。
「あの人も相当なことをやってきた。関係者も何故かよく行方不明になっている」
「行方不明っておい」
「そういうことだ。わかったな」
「何か余計に調べたくなってきたけれどな」
 城戸は笑ってこう返した。
「巨悪っていうんなら」
「本当に死にたいのか?」
 秋山はまた忠告した。
「化け物でも出て来たらどうするんだ」
「おいおい、幾ら何でもそれはないだろ」
 そんな話をしていた。店の中にはもう一人飄々とした感じの若者が紅茶を飲んでいるだけだ。他には誰もおらず昼下がりののどかな雰囲気であった。
 
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