| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ご飯をよく食べて

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「よく食べるのよ、健康だしね」
「そういうことだな」
「そうよ、それによく食べるのを見て」
 その姿をというのだ。
「悪くないでしょ」
「いきなり家にお邪魔しますもなしで上がり込んでな」
 洋介は人間に例えて話した。
「しかも今日行っていいかじゃなくて行くでな」
「世の中そんな人もいるわね」
「人の家にな、それでただで大飯かっ喰らわれるとな」
「ふざけるなってなるわね」
「毎月そうされたらな」
「そうね、けれどふわりは家族だし」
「その図々しさもないしな」
 それでというのだ。
「いいさ、むしろ謙虚で遠慮がちだし」
「いいわね」
「ああ、どんどん食ってな」
 そうしてというのだ。
「いいさ、三食な」
「食べ過ぎたら太っても」
「太らないだけ動いてるだろ」
「それもそうね、じゃあ」
「ああ、どんどん食ってもらおうな」
「ふわりそういうことだからね」
 百合子は今もケージの中で食べているふわりに言った。
「いつもお腹一杯食べなさい」
「ワンッ」
 ふわりは百合子の言葉に顔をこちらに向けて明るい鳴き声と目の光で答えた、そしてまた食べるが。
 家族でそんなふわりを見て笑顔になった、そして夫であり父である文太が仕事から帰ると一家で夕食を摂ったのだった。


ご飯をよく食べて   完


                  2023・3・23 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧