X ーthe another storyー
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第九話 風使その十四
「色々な理由で」
「人間がいるとね」
「そうである限り地球の命はですね」
「失われていくわ」
「それもまた事実ですね」
「そうなるから」
それ故にというのだ。
「人間を滅ぼして」
「地球を救いますね」
「人間を滅ぼした時多くの命が失われても」
その時の破壊によってというのだ。
「やがて地球は蘇って」
「残った命は増えていって」
「そうなって」
そしてというのだ。
「地球は命に満ちた星になるわ」
「だからですね」
「私は人間は滅ぶべきと思うわ」
「そうですか」
「ええ、両親にも愛情はないし学校に行っても」
それでもというのだ。
「面白いとね」
「思ったことはありませんか」
「遊人さんの通っていたクランプ学園に通っているけれど」
「面白いとはですか」
「何も感じたことはないし人間の世界自体にも」
こちらにもというのだ。
「何もね」
「感じませんか」
「だから尚更ね」
「人間は滅んでもよく」
「むしろ滅ぶべきとね、命を奪うから」
「命をですか」
「ええ、他の生きものだけでなく」
颯姫はさらに話した。
「人間同士でもね」
「殺し合ってですね」
「戦争もそうね」
「そうですね、戦争こそはです」
遊人もそれはと応えた。
「人間同士が殺し合う最たるものです」
「だからね」
「人間は、ですか」
「そんなことばかりするから」
それ故にというのだ。
「滅んでね」
「いなくなるべきですか」
「そうも思うわ。そんな人間がいなくなったら」
怒りも憎しみも蔑みもない、颯姫はただ無表情なまま話していく。それはまるで機械の様であった。
「地球はね」
「よくなりますか」
「きっとね」
「だからですか」
「私は地の龍になったことを悪く思っていないわ」
「ではいいと思いますか」
遊人は颯姫に問うた。
「僕達が滅んだら」
「そう言われたら」
不意にだ、颯姫は。
遊人の言葉に自分の言葉を一瞬だが止めた、だがすぐにこう言った。
「皆は違うわ」
「僕達はですか」
「ええ、地の龍である皆はね」
表情を変えずに言うのだった。
「仲間でお友達だから」
「だからですか」
「皆は例え人間が滅んでも」
そうなろうともというのだ。
「それからもね」
「生きるべきですか」
「そう思うわ」
「人間でもですか」
「ええ、そうね」
「そうですか」
「ええ、地の龍は違うわ」
こう言うのだった。
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