夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百八十八話 チェサビーク湾入りその五
「エミリーちゃんは侮れん、こっちの夜襲もじゃ」
「警戒されてますね」
「実際夜も見張りの将兵多いですし」
「それを見たらです」
「今も迂闊には攻められへんですね」
「空からだけではいかんけえ」
ただ空挺作戦を行っても失敗するというのだ。
「だからじゃ、わらわもじゃ」
「攻められますか」
「今夜は」
「そうされますか」
「うち等だけやなくて」
「そうする、わらわはこれまで通りじゃ」
こう四人に話した。
「陸から敵の城壁を攻めるけえ」
「それで、ですね」
「敵の注意を引きつけてくれますか」
「エミリーさんのそれを」
「そうしてくれますか」
「エミリーちゃんの注意を少しでもわらわに向けさせてじゃ」
そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「はい、その間にですね」
「私等はこっそりとですね」
「空挺作戦を行って」
「そしてですね」
「攻めるんじゃ」
こう言うのだった。
「ええのう」
「わかりました」
「ほなです」
「そっちはお願いします」
「エミリーさんの注意を引きつけてくれることは」
「そうする、エリーではわらわが城の守りを突破した」
跳び蹴りでそうしたことも話した。
「それならエミリーちゃんもじゃ」
「まずはですね」
「国木田先輩を警戒されますね」
「私等よりも」
「そこを逆手に取りますか」
「そうじゃ、当然自分達も警戒しちょるが」
それでもというのだ。
「何でも優先順位があるのう」
「警戒でもですね」
「そうですね」
「誰を一番警戒するか」
「そのことですね」
「誰が巨人を警戒するんじゃ」
読売ジャイアンツ、今や二十年以上最下位であり続ける自称球界の盟主その実は全人類普遍の敵である。
「あんな弱小チームをのう」
「誰もせえへんですね」
「めっちゃ弱いですから」
「糞ボールとエラーばかりで」
「しょっちゅうホームラン打たれてで」
「打線は究極の貧打、それでどうしてじゃ」
いいところなぞ全くないというのにというのだ。
「警戒するんじゃ」
「そうですね」
「どのチームも数に入れてへんですね」
「ただのカスやと思ってます」
「巨人は誰も警戒しません」
「人は強いモン、何かしたモンを警戒するけえ」
それが人の習性だというのだ。
「そしてわらわはのう」
「エリーのことがありますさかい」
「そやからですね」
「エミリーさんはまず国木田さんですね」
「先輩を警戒してますね」
「そのわらわが思い切り攻める」
その様にするというのだ。
ページ上へ戻る