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夢幻水滸伝

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第二百八十七話 二つの切り札その十三

「どうやらジェーンちゃんも動いたな」
「あの方もですか」
「今敵軍におられるもう一人の星の方も」
「そうされましたか」
「これはな」
 まさにと言うのだった。
「おそらく地中からな」
「来られていますか」
「この一帯は川や運河でそれを防いでも」
「それを掻い潜って」
「深く掘ればや」
 その様にすればというのだ。
「川や運河よりもな」
「それはジェーン様なら出来ますか」
「あの方なら」
「あの方は土竜爪を持っておられますが」
「それを使われて」
「かなり深くまで掘ってな」
 そうしてというのだ。
「そしてな」
「それで、ですか」
「川や運河に遭わず」
「そうしてですか」
「地中深くからですか」
「来るわ、地中からも攻められる」 
 このこともというのだ。
「使ってきた、このままやとな」
「防衛ラインを破壊され」
「そのうえで突破され」
「そして地中からも進まれて」
「ジェーンちゃんは部隊を率いてな」
 彼女の動きも読んで話した。
「地中からこっちの後方に出て」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「攻めてきますか」
「防衛ラインは突破されたり後ろに回れると終わりや」
 如何に堅固な防衛ラインでもというのだ。
「そうなるからな」
「だからですね」
「この防衛ラインはですね」
「最早」
「これで終わりや、こうなったら一刻でも早くや」
 ホーソーンは今の自分と彼が率いる軍勢が置かれている状況を正確に把握したうえで将兵達に告げた。
「撤退する、ええな」
「わかりました」
「ではです」
「フィラデルフィアまでですね」
「撤退しますね」
「いや、この防衛ラインを突破されたらや」
 そうなればとだ、ホーソーンは将兵達に話した。
「もうな」
「フィラデルフィアは守れない」
「そうだというのですか」
「我々は」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「ここはフィラデルフィアには無抵抗都市になる様に言ってな」
「メルヴィル様の下に入る」
「そうする様にですか」
「命じられますか」
「そうしてな」 
 そのうえでというのだ。
「そこにおる軍勢もな」
「はい、撤退ですね」
「我々と合流して」
「そのうえで」
「そうする、ピッツバーグまで撤退と言いたいが」
 それはと言うのだった。
「ちょっとな」
「難しいですか」
「こちらからピッツバーグまでの撤退は」
「それは」
「ああ、遠いさかいな」
 今自分達がいる場所からというのだ。 
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