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展覧会の絵

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第十八話 我が子を喰らうサトゥルヌスその五

 万力は狭まりその距離をゼロにしていこうとする。今睾丸は潰れようとしていた。
 何かが割れる音がした。そして潰れる音が。
 それから閉じられた万力に汚い血が流れた。一郎は口から泡を吹いて気絶しかけた。
 だが彼のその腹をだ。十字は上から思いきり踏みつけた。その痛みで。
 一郎は意識を取り戻した。そしてだった。
 今度はペンチを取り出して髪の毛を皮ごと引き千切っていく。頭がすぐに赤く禿げていく。
 その彼の眼鏡を剥ぎ取り左目に指を入れた。奥まで。
 まるで頭が割れる様な激痛に絶叫する一郎だった。その彼から。
 十字は左目を奪った。目は奥まで引き抜かれた。その目をだった。
 十字は一郎のその口に入れた。そして無理矢理飲み込ませた。
「自分の眼球の味はどうかな」
「あ、ああああああああ・・・・・・」
 左目から赤い血と液が出ている。神経や筋まで露わになっている。無残に引き千切られたそれが目から出たままになってしまっている。
 その彼にだ。十字は問うたのだった。
「美味しいかな。けれどね」
「まだやるというのか・・・・・・」
「次に耳と鼻を削ぎ落とし」
 言いながらだ。十字は今度はナイフを出してきた。そのナイフで。
 一郎の耳と鼻を鋸の様にゆっくり切り取る。それからだった。
 ペンチで全身の肉を皮ごと無造作に千切っていく。今度は身体が赤くなっていく。
 そういながらだ。十字は息も絶え絶えになり苦痛にもがき苦しむ一郎に告げた。
「爪を剥ぎ」
 そのペンチでだ。実際に爪も一つ一つ乱暴に、わざと痛みを与えて剥ぎ取っていった。
「後は内臓を引きずり出そうか。舌も引き抜いて歯も全部叩き折って」
「待て、私はもう」
 助からない、だからせめて楽にしてくれと。
 一郎は十字に訴える。かろうじて残っているその右目で彼を見ながら。
「もうこれ以上は」
「神の裁きの代行に情は不要」
 これが十字の一郎の訴えへの返答だった。
「ではね」
「た、助けてくれ」
 誰もいないというのにだ。一郎はそれを呼んだ。
「助けてくれ・・・・・・誰か」
「この世の地獄を味わいそのまま永遠に地獄で責め苦を受ける」 
 十字は今度は一郎のその腹にナイフを縦に入れつつ言う。
「さあ、そうしようか」
「あああ・・・・・・」
 腹が切られ内蔵を取り出される痛みも生きながら感じていた。そして。
 舌も抜かれ歯も叩き折られた。彼はその命が完全に尽きるまで十字に責められていった。
 それが終わってからだ。十字は血に染まった紅い服で教会に出て来た。そしてだ。
 出迎えてきた神父にだ。こう言ったのだった。
「終わったよ」
「では骸は外に」
「出しておくよ。晒しにね」
「わかりました。それでは」
「ただね」
 だが、だった。ここでだった。
 十字はその紅になった服をそのままにしながらだ。こう神父に言ったのだった。
「あの部分だけはですね」
「置いておかれますか」
「うん。今回の裁きの代行もいよいよ最後の一人になるけれど」
「その相手に対してですか」
「使おうと思っているんだ」
 だからだ。その部分は残すというのだ。
「そう考えているよ」
「畏まりました。それでは」
「さて。骸の他の部分はね」
「何処に晒しますか」
「最後の一人が見る場所だね」
 そこにするというのだ。
「あの四人は校門にしたけれど」
「また別の場所にされますか」
「彼女が見る場所」
 そこからだ。十字は考えていく。 
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