夢幻水滸伝
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第二百八十五話 好色な助っ人その六
「くれぐれも殿方にです」
「婿にならんとか」
「手あたり次第に声をかけるのはご自重を」
「それはわらわの務めじゃ」
碧は笑って応えた。
「将来のな」
「この世界でもですか」
「いや、起きた世界のどちらでもじゃ」
「同じ殿方とですか」
「添い遂げるつもりじゃ」
「そうですか」
「それでじゃ」
それ故にとだ、碧はさらに話した。
「わらわは誰にもな」
「声をかけられますか」
「うむ、それでメルヴィル君どうじゃ」
碧は彼に顔を向けてまた声をかけた。
「わらわの婿にならんか」
「そやからわしはな」
メルヴィルは真顔で答えた。
「碧ちゃんはええ友達やが」
「伴侶としてはか」
「タイプやないわ、積極的なんは嫌いやないが」
それでもというのだ。
「それが過ぎるのはな」
「よおないか」
「どうもな、そやからな」
「わらわの婿にならんか」
「ああ、ただ結婚詐欺には気をつけるんや」
「うむ、それを見抜く目は備えてる」
碧もはっきりした声で答えた。
「そこは父上にも母上にも兄君達にも言われてな」
「そうしてか」
「備えておる、目じゃな」
「相手の目やな」
「悪者の目は濁っとるけえ」
碧は出された日本茶を飲みつつ話した、彼女はこちら派なのだ。ただしコーヒーや紅茶も出されたら飲む。
「そして変に鋭かったりする」
「悪者の目はやな」
「荒んでいたりのう」
「それでじゃ」
「そうした奴にはか」
「自分から声をかけることはないしじゃ」
それにというのだ。
「向こうから来てものう」
「乗らんか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「乗ったら終わりじゃ」
「それはわかってるか」
「勘でもわかるしのう」
こちらからもというのだ。
「悪者はな」
「わかるか」
「どうもわらわの勘は人並外れて鋭い様じゃ」
「ああ、確かにな」
メルヴィルもそれはと答えた。
「碧ちゃんの勘はかなりな」
「鋭いか」
「野生の肉食動物並にな」
そこまでというのだ。
「それもかなりの」
「そうなんじゃな」
「それでその勘でもやな」
「大体わかるけえ」
そうだというのだ。
「悪者かどうかは」
「それで声もかけんしじゃな」
「避けるけえ、そして襲ってきたら」
碧はこの時のことも話した。
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