夢幻水滸伝
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第二百八十五話 好色な助っ人その二
「それでええわ」
「はい、そういうことで」
「宜しくお願いします」
「戦も政もします」
「どれもお仕事なら」
「宜しくな、ほなわし等はこれから戦するから」
その仕事のことも話した。
「軍議に来るんや」
「わかりました」
「戦とは聞いてましたし」
「やらせてもらいます」
「期待しといて下さい」
「そういうことでな」
メルヴィルは四人には普通に応対した、だが。
最後の一人が来るにあたってだ、彼は仲間達に言った。
「隠れたいな」
「いやいや、それを言うとです」
「私もですよ」
ボームとヴォネガットが即座に言葉を返した。
「国木田さんは悪い人やないですが」
「あの癖がどうも」
「私は節度を持ったお付き合いがいいと思っていまして」
「ワテクシはある程度積極的でもええと思いますが」
「肉食系はどうも」
「国木田さんは積極的過ぎます」
「そうですよね、僕ちん同性ですが」
ジェーンも言って来た。
「あの人の積極性は強力過ぎます」
「そや、わし日本の女の子も積極的な娘は積極的と聞いてた」
メルヴィルは仲間達に普段は見せない浮かない顔で述べた。
「そうな、しかしな」
「それでもですね」
「国木田さんは」
「ああ、相手は一人やというが」
それでもとだ、ボームとヴォネガットに応えた。
「その一人にな」
「あそこまでぐいぐい来られると」
「引きますね」
「ああ、何でもこっちの世界でも小さいらしいが」
碧が起きた世界で小柄であることも話した。
「中身も一緒らしいからな」
「だからですね」
「これから会うのがちょっとな」
ジェーンにも話した、だがそれでもだった。
メルヴィルは覚悟を決めた顔になりそれで言った。
「しかしこれも仕事や」
「そやからですね」
「会おうか、能力はあるらしいし」
こう言ってその顔でだった。
メルヴィルは仲間達と共に最後の一人国木田碧とも会った、碧は四人の前に出ると早速言ってきた。
「誰かわらわの婿にならぬか?」
「生憎やが結婚はまだまだ先やと考えてるわ」
メルヴィルが目を座らせて答えた。
「そうな」
「何じゃ、面白くないのう」
「全く、予想通りの台詞やな」
「何しろわらわは家庭をもうけねばならぬ」
小さな右手をやはり小さな口に近寄せて述べた。
「当家の為にもな」
「広島のか」
「うむ、兄君達をお助けする為にもな」
「妹としてやな」
「将来は分家して家のお仕事をお手伝いするが」
こう話すのだった。
「やはり婿殿とな」
「お子さん達でか」
「やっていくことじゃ、そして婿殿はな」
相手はというと。
「全力で愛する、だからどうじゃ」
「あの、積極的なのはいいのですが」
ボームはあからあさまに引いた顔で応えた。
「流石にです」
「過ぎるというのじゃな」
「おわかりではないですか」
「いつも言われるしのう、しかしな」
「ご主人となられる方をですか」
「わらわはいつも探しておってな」
それでというのだ。
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