夢幻水滸伝
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第二百八十四話 アメリカの北端からその八
「ヴォネガット様の仰る通りです」
「武力と暴力は違い」
「そして暴力は否定されるべきです」
「何があっても」
「ヴォネガット様は武力を持たれ」
「それで以てです」
「暴力を否定されますね」
その彼を見て問うた。
「そうですね」
「その考えです」
「では」
「これより勢力を旗揚げし」
「統治を行われ」
「そしてあの教団の問題も解決します」
こう言ってだった。
ヴォネガットは実際に勢力を旗揚げしその棟梁となった、即座に拠点としたオーガスタだけでなくその周辺の街や村が勢力圏に加わってだった。
メーン州において勢力圏を拡大させていった、それは極めて順調であり。
ヴォネガットはオーガスタの市庁舎にもうけられた自身の執務室において市長とこれからのことを話す中で言った。
「あの、予想以上に勢力が」
「拡大されていっていますか」
「自ら入ってくれる街や村ばかりで」
それでというのだ。
「使者を送らずともですから」
「それはやはりです」
「やはりといいますと」
「ヴォネガット様が善政を敷かれ」
彼の政に理由があるというのだ。
「宗教的に極めて寛容で」
「あの教団の行動もですか」
「法に武力で防がれていますね」
「そやからですか」
「この州ではあの教団の猛威に困っている人が多いので」
「私もそれで動いていますが」
「その動かれていることがです」
まさにこのことがというのだ。
「我々にとってはです」
「非常にですか」
「有り難いので」
「それでなのですね」
「殆どの人がヴォネガット様に期待しているのです」
「そやから自分達からですか」
「ヴォネガット様の勢力に入っています」
街や村単位でそうなっているというのだ。
「賊やモンスターの退治もされますし」
「治安もよおないと」
さもないと、とだ。ヴォネガットは市長に答えた。
「政としてです」
「駄目ですね」
「そう考えていますので」
だからだというのだ。
「私は警察も整え」
「街や村の治安も確かなものにしていますね」
「左様です」
「そのことも有り難いとです」
「州の人達は思っていてくれていますか」
「また産業の発展や教育の充実についても」
そうした政策についてもというのだ。
「積極的に進められているので」
「人々はですか」
「期待しまして」
「そうなのですね、ではです」
確かな声でだ、ヴォネガットは市長にこう返した。
「その期待にです」
「応えられますか」
「そうして平和で豊かな州にし」
「宗教のこともですね」
「寛容にします、では」
「統治を進めていかれますか」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「あの教団もです」
「抑えられますね」
「そうします」
絶対にという言葉だった。
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