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おっちょこちょいのかよちゃん

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258 豪華なる晩餐

 
前書き
《前回》
 長山は眼鏡で藤木の動向を探っていた所、彼がりえと共に祝言を挙げているのを発見し、かよ子に報告する。それでかよ子は藤木が夏休みにりえに鼻の下を長くしていたのを思い出す。一方、フローレンスによって異世界へと飛び込んだ笹山は武則天の側近・姚崇と張説と共に行動して藤木を探っていた!!

 オリジナルキャラ紹介・その24
 星川辰夫(ほしかわ たつお)
 福岡の小学生男子で羽井玲衣子の同級生。初登場175話。防御特化の武装の能力(ちから)を所有する。電撃を放つ事ができる乾電池で攻撃・防御を行う戦闘スタイルを取る。好きな食べ物は焼きそば・チャーハン。 

 
 長山がかよ子達に藤木の近況を報告した後、さりが長山の報告した内容が気になっていた。
「長山君、その藤木君ってのがどうかしたの?」
「実は杯の持ち主のりえちゃんって子と一緒にいたんだ」
「え?」
 さりは頭の中を整理させる。杖の持ち主が探している男子は杯の持ち主と共にいる。つまり自分の姉達が向かう場所が一緒になるという事である。
(あり姉・・・、かよちゃん・・・!!)
 さりは本部守備を担うが為に同行できない事で歯痒く思った。しかし今はただ祈るしかない。

 かよ子達はこの日は敵とぶつかる事はなく進む事ができた。そして空が暗くなった為、とある草原に羽根を着陸させた。
「今日はここで休むとしよう」
 次郎長が提案した。
「うん」
 そしてかよ子達は休息に入る。
「強くなったこの杖を試してみたかったけど今日はお預けかな・・・」
「確かに、某もお主の戦う姿が見たいな」
 石松も少しかよ子に期待していた。ヴィクトリア女帝を撃破し、七つの泉を取り返した時、クイーン・ベスの提案で泉に杖を浸した結果、炎、氷、雷、石、棘、鋸、剣と七つの能力(ちから)を対象物に向けなくてもいつでも使用する事が可能になった。これで少しは戦力になれたのではないかと思った。
『皆様、お疲れ様です。夕食の準備ができました。そちらにお出ししますのでお召し上がりください』
 皆の元に食事が提供された。この日の夕食は少し豪華に思えた。何しろ寿司だったのだ。それに味噌汁とおしんこという組み合わせである。
「おお~、今日はご馳走だねえ」
「ああ、今日は最高の日じゃ!」
 まる子と友蔵は喜び合った。
(お寿司か・・・)
 かよ子にとっても寿司を口にするのはかなり久々だった。元の世界でも頻繁に食べるものではなく、何かの特別な祝い事くらいで食べた程度だった。
「お、美味しい・・・!!」
 改めてかよ子はその寿司を美味と思う。
「山田かよ子。寿司は美味いか?」
 次郎長が質問した。
「うん、凄い美味しいよ!久しぶりに食べるから、かな・・・?」
「そうだな、杖を強化させた祝いとでも思って食うがよい」
「うん!」
 かよ子は豪華な食事を楽しんだ。

 紂王の屋敷。とある屋敷にりえは藤木と共にいた。食事の時間となった為食堂へと向かっていたのだった。結婚式後の晩餐という事もあり、豪華な感じを二人は感じていた。
「何しろ夫婦として初の夕食だからな。食事係の者に頼んで少し豪華なものを作らせてもらった」
 紂王が解説した。
「おお、いただきます!」
 藤木は喜んで食べ始めた。一方のりえは黙って食べる。そして妲己の顔を見ると杯を奪われた事への恨みが込み上がるばかりだった。
「そうだ」
 妲己が思い出したように言い始める。
「祝言に来賓として訪れたナポレオンという者から薔薇(ばら)が届けられていたのだ。そなた達の部屋に是非飾っておこう」
「薔薇?あ、ありがとうございます!」
 藤木は妲己に礼をした。その一方のりえの方は素っ気ない態度だった。
「あ、ありがとう・・・」
(薔薇か・・・。何か女の子へのプレゼントらしくていいな・・・。そのナポレオンって人に感謝しないと!)
 藤木は活き活きしながら食事の手を進めるのだった。

 レーニンは祝言に参加した後、本部へと戻って行く途中だった。そこでとある屋敷へと出向いていた。
「これはレーニン様」
 一人の女性が出迎えた。
「ジョゼフィーヌか。そういえば貴様が育てた薔薇を祝言の際にナポレオンが献上したそうだな」
「はい。赤いバラは恋を意味します」
「そうか、それなら・・・」
 レーニンの姿が杉山に変化した。
「あいつも藤木の虜になっちまうわけだな」
「レーニン様?」
「ああ、同体化しているこの少年が出てきているのだ。どれ、私も貴様の花の力を分けて貰おうではないか」
「はい、どうぞ」
 レーニンはジョゼフィーヌの花畑へと連れて行かれた。様々な色の薔薇とダリアが栽培されていた。
(薔薇には色によって花言葉が異なると聞く・・・。白は『純潔』、赤は『愛情』、黄は『献身』、などと言った所か・・・。そしてダリアの花言葉は・・・)
 レーニンは花の能力(ちから)を吸収しながら考えた。
(裏切り、か・・・)
 その時、杉山が質問する。
「花を吸収してどんな風になるんだ?」
「その花言葉に合った能力(ちから)を得る事ができるのだ。例えばこの青い薔薇は『奇跡』『不可能』、橙色のものは『絆』、赤は『情熱』、黒は『不滅の愛』、そしてこのダリアは『裏切り』を意味する」
「そうか」
(ダリアは裏切りか・・・。俺も裏切ったんだよな。皆を・・・。その分あいつらにも何とかしてやらねえと・・・。この戦いを片付ける為にな・・・)
 杉山のその考えは赤軍と戦争を正義とする世界の為なのか、それとも異能の能力(ちから)の持ち主および平和を指示する者と平和を正義とする世界の為なのか、本人にしか解らない。
「そうだ、折角お越しいただけたのですから夕食を一緒にどうぞ」
「ああ、頂こう」
 レーニンはジョゼフィーヌやナポレオンと共に食事を共にする事にした。

 かよ子達は夕食を食べ終えた。
「ごちそうさま・・・」
「美味しかったねえ~、かよちゃん!」
「ま、まるちゃん・・・。うん、そうだね、これからまた頑張れる気がするよ!できればおっちょこちょいしないで・・・!!」
「おお、かよちゃん、その意気じゃ!」
 友蔵も応援した。まあ彼にはそれしかできないのだが・・・。
「でも、なんかよお」
 大野が口を開く。
「え?」
「りえが藤木といるって事はあいつを助けに行ってるりえの友達と同じ方向になるって事だろ?もしかしたらあいつらとも一緒に行動するべきなのかもしれねえな」
「う、うん。りえちゃんの友達にも追いつけるようにするよ!」
 かよ子は杯の所有者の友達との再合流の可能性を考えて目標達成をしようとした。

 レーニンと杉山さとし、二人で一体の戦争主義の世界の長はナポレオンとその妻・ジョゼフィーヌと会食していた。こちらの夕食もまた豪華でステーキや魚など様々な料理があった。
「ところでその少女と少年は結ばれたものの、杖の所有者達がそちらの方角に向かっている筈ですが?」
「ああ、そうだな。だが赤軍の方も捕虜を取られてしまっているからな。簡単には動けん筈だ。それにヴィクトリアの所に支援した者達も撤退するしかできなかったしな」
「あの丸岡修という男の術で取り返せないのですか?」
「一度足立正生と吉村和江という者を取り返した時にはそうしたが、同じ手が二度通用するとは思えん。そこで私はこの少年を取り込んだ時と同じように敵味方問わず様々な能力を吸収して強化を図っているのだ」
「そうですか。ジョゼフィーヌの花の力がお役に立てるとよいのですが」
「ああ、役に立つであろう」
「それなら光栄ですわ」
 ジョゼフィーヌが嬉しく返答した。
「それでは楽しく美味な食事を楽しませて貰った。それでは失礼しよう」
 レーニンはナポレオンの屋敷を出発した。そして杉山は考える。
(西川って奴と佐々木を取り返す必要があるんだったな・・・。さて、どう取引をするのか。それとも別の方法で奪還するというのか・・・?)
「なあ、捕虜になった奴を取り返してえんだろ?」
「そうだ。だが、どうすればよいか検討中なのだ」
「・・・複数で護符を狙えばいいんじゃねえのか?」
「何?」
 レーニンはその同体化している少年の発言に気になった。
「護符の所有者を狙えば取り返せるのか?」
「できるさ。それに確かお前が欲しがっている頭脳を持つ長山って奴もいるぜ」 
 

 
後書き
次回は・・・
「杯の捜索者達」
 藤木とりえの部屋の元に薔薇が届けられる。そしてレーニンは捕虜となった赤軍の西川、東アジア反日武装戦線の佐々木を奪還する為に戦争主義の人間達に動員を命じる。そして杯を取り返す為に動くゆり達の元には戦争主義の世界の強者・トロツキーが近づいていた・・・!! 
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