おっちょこちょいのかよちゃん
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257 武則天の側近
前書き
《前回》
紂王の屋敷で行われる藤木とりえの祝言、様々な人間が祝いの言葉を贈り、食事をし、ウエディングケーキの入刀まで行い、最後は新郎新婦の言葉が始まる。藤木は過去の辛さをさらけ出すと共に、りえを天使と称える。一方、りえは適当な言葉で済ます。式を終え、二人は共に同じ部屋で過ごすことになる。そこには藤木からの贈り物とされたピアノがあり、りえは藤木の要望で「亜麻色の髪の乙女」を演奏するのだった!!
オリジナルキャラ紹介・その23
羽井玲衣子(はねい れいこ)
福岡県に住む小学三年生の女の子。初登場174話。見聞の能力を所有する。学校の友達三人と共に異世界の戦いに参戦しに来た。書いたものを実体化させるペンを使用する。好きな食べ物はラーメン、ゼリー。
クイーン・ベスとブランデー・ナン。嘗て英国の女王として生きていた人物である。この世界では平和を正義とする世界の人間として生きており、敵の世界、すなわち戦争を正義とする世界にとっては脅威の存在となっていた。彼女らは世界最上位の能力を持つ剣の奪還に貢献し、杖の所有者の奪われた杖を取り返す際にも手を差し伸べてヴィクトリア女帝を撃破すると共に杖の強化にも一役買った。次の彼女らの目的は同じく奪われた杯の奪還である。だが、杯の行方はどうしても掴めていない。剣の時は戦争主義の世界の本部にある事が解っていた。杖の件でも長山治という少年に赤軍の人間などを索敵していた為に居場所を掴み取る事はできたのである。だが、杯については情報が少ない。妲己とかいう九尾の狐に変化する女が奪ったというが彼女の元にあるのか、それとも他所に移されたのか謎である。
「果たして杯はどこにあるのか」
「クイーン・ベス。東側にも軍を派遣してみては如何かな?」
「そうだな、連絡を取る」
その時、一軍の軍勢が現れた。大将と思われる人物が跪いた。
「クイーン・ベスにブランデー・ナンとやら、剣および杖の奪還之活躍見事であった!我々も杯の奪還に協力させてくれまいか」
「おお、お前はかのジパングの独眼竜だな」
「左様。政宗と申す」
長山は神通力の眼鏡で藤木の動向を確認していた。
(藤木君・・・。一緒にいるのは・・・?)
藤木と共にいるのは・・・。
(あれは、確か安藤りえちゃんだ!藤木君といるのか!?)
かよ子達藤木救出班は藤木がいると思われる方角に進んでいた。その時、通信機が鳴った。
「もしもし、こちら山田かよ子」
『こちら長山治。藤木君についてなんだが、今あの杯を持っている安藤りえちゃんって子と一緒だよ!』
「え、りえちゃんと!?」
『何だか多くの人を呼び集めて結婚式みたいなのを開いていたんだ!』
「け、結婚式・・・?」
かよ子には頭の整理が追いつかなかった。
「でも、藤木君はそのりえちゃんと一緒なんだね・・・?」
『少なくとも間違いない!』
「ありがとう!」
通信を終了した。
「藤木がりえちゃんと?どういう事なの?何か心当たりは・・・?」
かよ子は考えた。その時、まる子が思い出す。
「あ、そういえばさあ」
「え?」
「りえちゃんと夏休みに会った時、藤木、りえちゃんに鼻の下を伸ばしてたんだあ・・・」
「それで藤木君は笹山さんに嫌われた事でりえちゃんに乗り換えようとしたの!?だからあの女の人はりえちゃんを殺さずに生け捕りにしたんだ・・・!!」
かよ子は以前、九尾の狐に変化する妲己という女に会った事がある。その時、りえと杯を持っていたが、殺す事なくりえを連れて行っていた。つまり彼女は藤木とりえを引き合わす為に杯の所有者を生け捕りにしたのだとかよ子は仮説を立てた。さらに出発前に長山の眼鏡で確認してもらった所、藤木は温泉で女の子と戯れていたという。
(藤木君、あの時笹山さんに嫌われたから他の女の子を好きになろうと乗り換えて、それでりえちゃんを・・・!!)
笹山かず子。彼女は異世界に飛び込み、藤木を探しに向かっていた。彼女は異能の能力の持ち主ではない為本来ならば「この世界」での戦いでは非戦闘員である。だが行方不明になった藤木茂が嘗て好きになってい人という事で彼を奪還する為の重要な鍵としてフローレンスから特例を受けて今この場にいる。そして武則天という人物と出会い一人では心細いであろうという事から彼女の側近である姚崇と張説という人物を付き添わせ、移動にはヘンリーという人物から貰った自動運転の自動車を使用していた。
(藤木君・・・)
笹山はフローレンスから渡されたボールペンのような道具を見る。この道具こそ藤木の奪還に貢献できるとされる物だった。仮に彼女が元の世界に留まる事を選んでいたとしてもこの道具が重要なアイテムとして使用されるとフローレンスは言っていた。
「はあ・・・」
笹山は長時間の移動で眠くなってしまっていた。
「疲れたろう。少し眠ってもよいぞ」
姚崇は声を掛けた。
「は、はい・・・」
「何、敵が来たら我々で返り討ちにするさ」
張説も笹山を安心させようとして言った。
「そ、それでは・・・」
笹山は眠りについた。
紂王の屋敷。結婚式を終え、二人の部屋を用意された藤木とりえはその場にいた。そこには藤木が彼女のピアノをまた聴きたいという要望からりえ専用とされたピアノが置かれていた。りえはそこで藤木の要望でピアノを弾く。久々に鍵盤をいじるからか、コンクールの練習をしていた時や夏休みに清水の教会でピアノを弾いた時を思い出した。弾いている曲は得意とする「亜麻色の髪の乙女」だった。
「やっぱり、りえちゃんはピアノ、凄いよ!」
藤木は思わず感激の拍手をした。
「あ、ありがとう」
「やっぱりりえちゃんは乙女だね!他の曲って弾けるかい?」
「うん・・・」
りえは別の曲を弾いた。バイエルの曲や誰もがよくしっているような童謡などを弾いた。
「やっぱりピアノを弾ける女の子は最高だな〜♡笹山さんもピアノ上手だったし・・・」
「ササヤマさん?」
「え?あ、何でもないんだ。ごめん、ごめん!」
藤木はなぜ昔の事を思い出してしまったとばつが悪そうになった。
(もう笹山さんの事は忘れたんだ。今はりえちゃんを好きにならないと!!)
「そうだ、僕はピアノどころか楽器は何もできないけどスケートは得意なんだ!雪が溶けないっていう山に氷の泉があるから今度そこ行って見せてあげるよ」
「う、うん・・・」
何も夢を見る事なく笹山は起きた。外は既に夕方となっていた。
「はは、随分と眠っていたようであるな」
「は、はい。ごめんなさい」
「何、謝る事はない。ここに来て気分もソワソワしていたのだろう」
姚崇はそう考えていた。
「・・・む」
「どうした、張説?」
「向こうから敵が来ている!」
「よし、迎撃だ。笹山かず子、お前は危険だから車から降りてはならん!」
「は、はい!!」
姚崇と張説は車から降りた。笹山は車窓から外を確認した。その場には一つの兵団が確認された。
(姚崇さん、張説さん・・・!!)
「準備はよいか?」
「おうよ!」
二人は戦闘体制に入った。
「行け!」
二人は刀を振り回す。二体の巨大な怪物が現れた。片方は牛の頭をしており、もう片方は馬の頭をした人型の妖怪だった。
「馬頭牛頭の力を受けてみよ!」
二人が召喚した馬頭牛頭が兵達を蹴散らしていった。
(す、凄い・・・!!)
笹山は異世界での戦いを観戦してこのような恐ろしい戦が行われていると改めて思い知った。以前にも知り合いの高校生の通う学校の文化祭で赤軍が襲撃して来た際にも恐ろしさを体感した事がある。それ以上の恐ろしさだった。
「うわああ!」
「おお!!」
兵は姚崇と張説の活躍によって全滅した。
「よし、片付いたな」
二人は車に戻って来た。
「あ、ありがとうございます。す、凄かったです。私には無理ですね・・・」
「何、そなたを護るのが我々の役目よ。それでは先に参ろう」
「うん」
三人は先へと進んだ。
(こんな戦いが待ってるなんて・・・。山田さん達、無事かしら・・・?)
笹山は今この世界にいると思われる欠席中のクラスメイト達が気になった。
後書き
次回は・・・
「豪華なる晩餐」
かよ子達は本部から支給された夕食として寿司を口にする。藤木とりえは夫婦となった初日の夜の晩餐として豪華な料理を共にする。そして祝言を終えて紂王の屋敷を出た杉山は嘗てかよ子に苦戦を強いたナポレオンという男の屋敷を訪れていた・・・!!
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