夢幻水滸伝
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第二百七十八話 他州掌握へその二
「それは先のことでや」
「まずは三州をですね」
「掌握してな」
そうしてというのだ。
「マサチューセッツとペンシルバニアをや」
「掌握されますか」
「そうするで」
それぞれに州を掌握するボームとエミリーを牽制しつつというのだ。
「まずは」」
「そうした順序ですか」
「それでや」
「ニューハンプシャーですか」
「そうするわ、ただヴォネガットもアホやない」
「メーン州の星の方であられるあの方も」
「あいつもやっと州を統一したらしいが」
メーン州をというのだ。
「そこからやさらにや」
「ニューハンプシャー州にですか」
「勢力を拡大させるかもな」
「その可能性がありますか」
「ああ、けれどそれはしゃあないわ」
こう言うのだった。
「それよりもや」
「三州掌握とですね」
「マサチューセッツ、ペンシルバニアや」
「そう進めていきますね」
「ああ、ほな今からな」
将軍にあらためて話した。
「マサチューセッツ州とペンシルバニア州の境にや」
「兵を進め」
「敵が下手な動きしたら攻めるんや」
「わかりました」
将軍は敬礼をして応えた、そうしてだった。
ニューヨーク州の軍は自州の東と南の境に二十万の兵のうちの七万を移動させた、そこには戦車や航空機もあった。そのうえで敵が下手な動きを見せるとだ。
何時でも攻められる構えを取った、メルヴィルは彼等にはそうさせてだった。
州の守り及び予備戦力として四万を置いてだった。
残る九万の軍勢を東に向けた、そのうえでだった。
ニュージャージー、コネチカット、バーモント各州の街や村にだった。
幸福を促す使者を送った、そうしてだった。
返事を待った、するとだった。
「そうか、州境の街や村はか」
「全て降りました」
「三つの全ての州で」
「そうなりました」
「上出来やな」
背広一九二〇年代のそれを思わせるものを着た官吏達の言葉に応えた。
「それはまた」
「はい、これまたです」
「かなりの街や村が加わりました」
「そうなりました」
「そやな、しかしな」
メルヴィルは驚きを隠せない顔でこうも言った、自身の執務室の自分の席に座ってこの世界のアメリカの立体地図を見ながらそうしている。
「驚いたわ」
「といいますと」
「いや、一気に五千万も人口が増えた」
ゾンビの官吏に今回降った街や村が入ってというのだ。
「そうなったさかいな」
「合わせて一億ですね」
「コネチカットとニュージャージーはあと少しでや」
「完全に掌握出来ますね」
「一気に入ったな」
「そしてバーモントもかなり」
「予想以上にや」
こうも言うのだった。
「勢力を拡大出来た」
「この三つの州特にコネチカット州とニュージャージー州はです」
吸血鬼の中年男の官吏が言ってきた。
「領土が狭いので」
「アメリカの州の中でな」
「そしてニューヨーク州とつながりが深いので」
このこともあってというのだ。
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