夢幻水滸伝
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第二百七十七話 ニューヨーク州統一その四
「無体をされないなら」
「それならか」
「はい、そのことだけでもです」
「支持を得られるんやな」
「そうです、その質素なお暮しもです」
「いや、今はええ家に住んでや」
質素と言われてだ、メルヴィルは市長に即座にこう返した。
「美味しいもの食ってるで」
「ごく普通のものではないですか」
「そうか?」
「ステーキやサンドイッチ、ハンバーガーにサラダにピザにと」
「美味しいからな」
「そうしたものを召し上がられ」
普通のものをというのだ。
「そしていい家と言われても」
「普通かいな」
「はい、そうしたお家です」
メルヴィルが今住んでいる家はというのだ。
「快適に過ごされていますが」
「快適やとな」
「それで、ですか」
「ええ家やろ」
「そうしたお考えがです」
「支持を受けてるんか」
「そうです、贅沢三昧でいるより」
それよりもというのだ。
「質素だとやはり自分と近いと思われて」
「親しみを感じてか」
「支持を受けやすいです」
「そういうことか」
「確かにお強さと善政はです」
この二つはというのだ。
「非常にです」
「大きいか」
「はい、ですが」
それと共にというのだ。
「そうしたです」
「質素がか」
「またよいのです」
「そやねんな」
「それで、です」
「こうしてか」
「使者を送った全ての街や村がです」
それこそというのだ。
「降ってです」
「わしの下に入ってるか」
「しかも統治は寛容ですね」
市長はこの話もした。
「仕事はそのままですから」
「そのこともか」
「降っても安心出来ると」
「その様にか」
「見てです」
それでというのだ。
「降るのです」
「降っても安全ならか」
「命も仕事もそのままなら」
それならというのだ。
「降らない理由はありません」
「歯向かうなら皆殺しとかな」
「そうした統治ではないということも」
このこともというのだ。
「やはりです」
「降ってもええという判断材料になってるか」
「そうです」
まさにというのだ。
「そのことも」
「そやねんな」
「このままいくとです」
市長はメルヴィルにさらに話した。
「メルヴィル様はこの州の大半をです」
「手中に収めるか」
「地図的にも人口的にも」
「そして産業面から言うてもやな」
「はい、既にこの街を手中に収められて」
ニューヨークをというのだ。
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