夢幻水滸伝
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第二百七十五話 洋食を食べつつその十四
「アメリカやとわしかメルヴィルになるやろ」
「そうね、アメリカは東西で分かれていたしね」
「あっちの世界やとな」
「それやとね」
「そや、それが一番ええやろ」
「それで当たった人からね」
「話していくってことでな」
それで、というのだ。
「どないや」
「そうね、それでいきましょう」
それならとだ、アレンカールも頷いてだった。
三人はくじ引きをすることにした、三本のくじに一番二番三番と書いてだった。
引いてみた、すると、
「よし、最初はわしか」
「次はわいやな」
メルヴィルが一番、トウェインが二番を引いてそれぞれ言った。
「ほなな」
「それで話そか」
「最後はあたいね、じゃあそれでいきましょう」
アレンカールもそのままだと述べた。
「そうしましょう」
「ああ、そやな」
「ほなこれでいこな」
アメリカ組の二人もそれでと頷いた、そして。
順番が決まったところでだ、芥川は二人に笑って話した。
「自分等も何かとあったやろ」
「ああ、波乱万丈やったで」
「何かと大変やったで」
二人で笑って答えた。
「ほんまにな」
「今思い出すと楽しい思い出ばかりやけどな」
「山あり谷ありでな」
「洪水も台風もあったしな」
「そうか、それを話してくれるか」
二人に飲みつつ応えた。
「これから」
「ああ、そうさせてもらうな」
「じっくりな」
「さてどうなるか」
「アメリカってあっちの世界やと八億おったな」
人がとだ、中里は言った。
「そやったな」
「そや、こっちの世界より多いで」
「二倍以上な」
「それでその分や」
「賑やかやで」
「ただハワイはこっちの世界でもアメリカでもな」
「星のモンのリディアちゃんはあっち行ったわ」
彼女はというのだ。
「地下世界の方にな」
「それでこっちの世界のアメリカにはおらんかったんや」
「そやねんな、そういえばあの娘日系人やな」
中里は二人の話を聞きつつ述べた。
「そやったな」
「ああ、そや」
「あの娘日系人やで」
二人もその通りだと答えた。
「それであっちの世界やと自分と一緒や」
「鬼やで」
「そやったな、日系人か」
「アメリカやと普通やろ」
芥川は少し考える顔になった中里に横から言った。
「別にな」
「おかしないか」
「そや、アメリカは移民の国やろ」
「世界中から人が集まって来るな」
「そやから日系人もおるわ」
こう言うのだった。
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