夢幻水滸伝
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第二百七十五話 洋食を食べつつその六
「統率力もあってな」
「それで勉強してるから」
「それでや」
「棟梁としてなん」
「一番相応しい、三極星は星のモンの棟梁になる器らしいが」
「うちはなん」
「まさにそれや、エカチェリーナさんとタゴール君もそやが」
綾乃と同じく神星である彼等もというのだ。
「しかしな」
「それでもなん」
「綾乃ちゃんは三極星の中でも一番ええかもな」
「僕もそう思うわ、少なくとも僕等の棟梁はや」
中里はワインを飲んでから言った。
「綾乃ちゃんしかおらん」
「そうなん」
「ここにおるモンは殆どが棟梁やってきたけどな」
それでもというのだ。
「十星連合の棟梁はな」
「うちが一番なん」
「そう思うわ」
「殆どって言ったけどね、あんた」
アレンカールはナポリタンの皿を自分の前にやってから言った。
「あんたもそうでしょ、だから全員じゃないの」
「いや、僕はこっちの世界にかなり遅く来たらしくて」
「確か欧州組やアラブ組と同じ位の時期?」
「そうみたいやな、それで来てな」
「僕にスカウトされて来たんや」
芥川がアレンカールに話した。
「丁度関西におったさかいな」
「それは知ってるけれど」
「棟梁やったかっていうとな」
「違ったのね」
「僕は武の最高責任者になったんや」
中里は自分から話した。
「言うなら大将軍や」
「棟梁やなくてなの」
「そやったさかいな」
「あんたは棟梁になったことがないのね」
「この中で唯一そやな」
アレンカールに笑って話した。
「僕は」
「そうなのね」
「ああ、考えてみればな」
「神星の人って見れば大抵棟梁の経験あるけれどね」
「ほんま大抵やな」
「他になってないのはターリヤちゃんだけかしらね」
「ロシアの軍師のやな」
ターリヤと聞いて中里はすぐに答えた。
「あの娘やな」
「そうよ、あの娘もでしょ」
「最初からエカテリーナちゃんと一緒でな」
「あの娘の軍師になったでしょ」
「そのままな」
「そやからね」
だからだとだ、アレンカールは話した。
「あの娘とあんただけがね」
「神星で棟梁になってへんな」
「そうなるわね」
「成り行きでな、まあそれは僕にとったらな」
「どうでもいいのね」
「大事なんはこの世界を救うことやからな」
星の者の務めを果たすことだというのだ。
「そやからな」
「棟梁の経験があるかどうかはいいのね」
「どうでもな」
まさにというのだ。
「極論するとプランクトンよりもな」
「ええっていうんやな、それあれやろ」
羅はマカロニグラタンを食べてそれからワインを一気に飲んで言った。
「叶姉妹のお姉さんのやろ」
「ああ、言われたことや」
「何か言われてな」
「そんなこと私にとっては」
中里はその人の物真似をしつつ笑って話した。
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