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X ーthe another storyー

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第三話 巫女その八

「喜んで」
「そうか、まあそれでもやな」
「若しですね」
「お互い生き残ったらな」
「一緒に遊びますか」
「他の生き残ってるモンと一緒にな」
「いいですね、そうしましょう」
 二人で笑顔で話した、そうして共にお好み焼きを食べつつ他の話もしていった。二人は決して嫌い合い憎み合ってはいなかった。
 神威は今は図書館にいた、そこでだ。
 本を探していたがふとだった。
 後ろの席にいる嵐に気付いてだ、こう言った。
「今度は別の奴か」
「気付いたのね」
「最初からな」
 嵐に強い声で返した。
「お前がここに入った時からな」
「そうなのね」
「また天の龍か」
「ええ、鬼咒嵐」
 嵐は自ら名乗った。
「貴方の察し通り天の龍の一人よ」
「やはりそうか」
「それでだけれど」
「俺の考えは変わらない」 
 座っている嵐に背を向けて本棚の本をチェックしつつ述べた。
「関わるな」
「そう言うのね」
「何度も言う、そしてだ」
「どうしてもと言うのなら」
「相手になる」
 こう言うのだった。
「俺は女でもだ」
「容赦はしないというのね」
「来るのならな」
「そうなのね」
「それでどうする」
「姫様から戦うなとは言われてないわ」 
 嵐は落ち着いた声で述べた。
「だからね」
「やるか」
「いえ」
 今度は一瞬目を閉じて答えた。
「今は止めましょう」
「そうするか」
「何か不穏な気配を感じたわ」
「そうだな、またか」 
 神威は顔を顰めさせて言った。
「最近よく来る」
「この気配の持ち主が」
「そうだ、俺はもう出る」
 図書館をというのだ。
「来る奴とはだ」
「戦うのね」
「さっきお前に言った通りだ」
「それでなのね」
「出る」
「私も行くわ」
 嵐は席を立って言った。
「どちらにしろここでの用はよ」
「俺と会うことか」
「本を読んでいたけれど」
 見れば一冊開いている。
「もう読み終わったから」
「そうなのか」
「ええ、伊勢物語をね」
 この作品をというのだ。
「現代語訳だけれどね」
「読んでいたか」
「そうしていたけれど」
「読み終わったか」
「そう、だからね」
「俺と共にか」
「戦うわ」
 そうするというのだ。
「いいかしら」
「勝手にしろ」
 これが神威の返事だった。 
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