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IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス

作者:ハト胸
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事件の裏で・・・!

 
前書き
???
 声からして男。
 白衣、白髪、長身、痩身、天才
 情報が不足している。 

 
 「くふふ、くはっ、くはははははははっ!いいぞ、いいぞ、そこだァ・・・・。ひひっ、ISなんて、滅ぼしてしまえ・・・」

 そこは暗闇だ。光を発する大型モニターが無ければ、夜の闇よりも暗い場所。
 大型のモニターの明かりに照らされているのは、一人の人間。
 よれよれで汚らしい白衣、ぼさぼさに広がる白髪、やせ細りそれでもなお成長を続けた高身長。
 顔は見えない。髪の毛で目元まで覆われてしまっているからだ。
 それでも、しゃがれた声や態度から男であることが分かる。この人間は、長身の男だ。

 狂気。そんな言葉がぴたりと当て嵌まる。彼の目は見えないが、おそらく暗く淀んだ狂気の光に照らされていることは間違いないだろう。
 
 そこは部屋だった。広さにして、一般高校の教室二つ分だろうか。そこに大型のモニターが有り、その前に陣取り、態々持ってきていた椅子から立ち上がり狂気の叫び声を上げている男。
 モニターがあるのは部屋の端。男の後ろには、様々なコードが絡まり、混沌とした様相をしていた。
 
 「IS・・・あい、えすぅうううう!!あんな物が有るからァ、私ガ、認められないんだぁぁぁ」

 ぽろぽろと、男の足元には雫が垂れた。泣いているのだ。一瞬前まで高笑いしていた男が、泣き出しているのだ。理由がわからない。理解不能。それを体現しているのがこの男なのだろう。
 
 「みていろぉ、篠ノ之、た~ばねぇ~。お前の玩具は、私ガ壊す・・・・ひひっ」

 がりがりと頭を掻き毟り、ヒステリックに叫ぶ男が見ているモニターには、IS学園で暴れまわる“二機”のゴーレムが映し出されていた・・・・・・。





 IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
                      第31話 事件の裏で・・・!





 「一夏さん・・・」

 「一夏・・・」

 ここはアリーナのAピット。
 山田真耶教諭が操作するリアルタイム・モニターには、クラス対抗戦一年生の部の一回戦目が映し出されていた。
 対戦カードは、一組代表織斑一夏VS二組代表凰鈴音。いきなりの目玉カードだ。作為的なものを感じるが気にしてはいけない。
 このクラス対抗戦は総当たりのリーグ制。最初に一組VS二組、次に三組VS四組、次が一回戦目勝者VS二回戦目勝者で、その次が一回戦目敗者VS二回戦目敗者。
 五回戦目からは勝負していないクラスが戦うのだ。そして総勝利数が多いクラスが勝者となる。
 勝利数同数が二組以上だった場合、試合時間や残りエナジー数、教師による審査によって決まる。

 その期待すべき第一回戦目が、全学年注目のカードなのだ。
 アリーナに入るのですら精一杯。入りきらない生徒は特設モニターで見るしかない状況だ。
 かく言うこの二人、箒とセシリアもあぶれたクチである。特設モニターで見るよりは、リアルタイム・モニターと千冬先生からの解説付きで見られるピットに来た方がお得と、そんな打算的な考えも無かったわけでは無い。が、恋する乙女である彼女達がここに居る理由は他に有る。
 勿論、一夏を見送るためだ。
 出撃前の一夏に激を飛ばし、戦術の最終確認をしなければいけなかったのだ。

 そして今、不安に思う二人の前で、試合が繰り広げられている。

 「「・・・・・・っ」」

 叫ぶような事はしない。そんな事をしても無駄だと言うのが分かっているからだ。
 二人はこの日に向けて、協力して戦術を練ってきていた。
 遠距離からの近接への移行の仕方、距離の取り方、零落白夜の使用タイミング、瞬時加速を使うタイミングなど。
 入念に、念には念をの精神で、二人はひたすら作戦を練った。そしてそれを、拓夢が言っていたように一夏が分かり易いように考えた上で教えていったのだ。
 その甲斐あってか、一夏の動きはクラス代表決定戦の時よりも格段によくなっている。
 おそらく以前の一夏ならば、近接戦闘の時点で負けていただろう。一夏の刀の腕が鈍っていたと言うのもあるが、鈴の機体制御はそれほど巧みだったのだ。

 「ふっ、そろそろ仕掛けるようだぞ?」

 ふと、千冬が言葉を発する。それを聞いた二人は、更に食い入るようにモニターへ視線を向ける。
 何故ならば、これで試合が決まってしまうかもしれないからだ。
 瞬時加速からの零落白夜。それはとても高度な組み合わせで発動も難しい。回避されれば次は無いどころか、無防備な上に自分でシールドエナジーも減らしてしまっている。
 だが、決まればそれで勝負は終わるのだ。勝利と言う最高の形で。

 それが、その事実が分かっているからこそ、二人はモニターへ釘付けになる。

 (馬鹿者だと思っていたが、ここ最近のこいつ等の姿勢は中々だな・・・。ふっ、一夏もいいコーチを持ったじゃないか)
 
 試合の流れは一夏に不利である。なのにも拘らず、千冬の口元には笑みが浮かんでいる。
 それは弟があんな中国帰りの小娘なんぞに負けるはずが無いという姉馬鹿もあるのだが、もう一つ。
 一夏のコーチを買って出た、目の前の二人の存在があるからだ。
 
 箒とセシリアは変わった。拓夢に諭され、自分の指導が押し付けであったことに気が付いてからというもの、二人は努力したのだ。どうすれば相手に、一夏に上手く伝わるのか。どうすれば自分が一夏の力に成れるのか。
 一夏に支えられた記憶を持つ箒は、自分も一夏を支えてやりたいが為。
 一夏の力強さ、曇りの無い瞳に憧れたセシリアは、その輝きを曇らせないが為。
 
 そんなひたむきな姿勢は、千冬に二人のイメージをホンのちょっぴりだが改善させるまでに至ったのだ。

 (・・・だが、まだ一夏は任せられんな。大体、私の弟だぞ?誰がやるものか、馬鹿者め・・・)

 最近は、真耶も一夏に対して少し熱の持った視線を向けていた事もあった。
 油断はできないのだ。一夏の体質、一級フラグ建築士の力は伊達じゃない。
 世界最強の姉、千冬がいてもこれなのだから。

 「「・・・とった!!・・・・えっ?」」

 「不味いな・・・。山田君、直ぐにアリーナの客席に隔壁を降ろせ!警戒レベルAだ!」

 「は、はいっ!!」

 ぎりっ、と爪を噛んでしまった。これは千冬の悪い癖だ。一夏に何度も注意されているが治らない。
 一夏が勝負を決めたと確信した一同の前で、閃光が試合を中断させた。
 そして出現した謎のIS。危険をいち早く悟った千冬は隔壁を降ろすことを指示するが、一筋の閃光が通るのを許してしまった。

 「くっ。教員に告ぐ、訓練機を使用しアリーナへの侵入者を排除!」

 『だ、駄目です!ドアがロックされています!クラッキングに10分はかかる・・・』

 即座に学園の力をアリーナへ集結させようとしたが、阻まれる。
 一夏への救助は行けそうに無い。そして、更に最悪なのがアリーナ全てのドアをロックされたこと。

 「織斑先生、わたくしを行かせてください!」

 「・・・そうしてやりたいのだがな。我々もこのピットからは出られん。アリーナ全てのドアが最高ランクでロックされている」

 「そ、そんな・・・っ」

 セシリアの言う事は最もだ。専用機を持ち、フットワークの軽い彼女ならば一夏達への手助けとなるだろう。だが、今は何処にもいけない。アリーナ全てのドアがロックされた、おそらく正体不明のISに。そしてこのアリーナは、ISの攻撃を受けてもロック状態なら30分は耐えられるように設計されているのだ。内側から突き破ることも出来ない。

 打つ手無し。ハッキングをクラックするまで出来ることが無い。ただ、モニターを見るだけ。
 そこで、千冬の目に恐ろしいものが映ってしまった。

 「ば、馬鹿なッ!!!」

 思わず叫ぶその先に写っていたのは、アリーナから脱出できた一部生徒を襲う、もう一機の正体不明IS。そしてそれを迎撃するべくラファールリバイブで空を翔る、一組一番、相川清香の姿だった・・・・・・。 
 

 
後書き
な、ななな、なんと!拓夢が一夏達を助けに行った時に、清香がISに乗っているとは!!
負傷は?どこにISあったの?なんで動かせてるの?もう一機の正体不明IS?
深まる謎、そして現われた正体不明の謎の人物。
ISを嫌い、篠ノ之束を嫌悪する異常者の正体とは一体・・・・・・!? 
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