夢幻水滸伝
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第二百六十二話 退魔師の努力その八
「所謂塩の密売商人です」
「あの連中はちょっと安く売るだけでな」
「暴利を得ますね」
「ほんま塩は人の暮らしに必要やからな」
それ故にというのだ。
「どうしても買うからな」
「暴利を得やすいですね」
「そやからな」
だからだというのだ。
「物凄い力を持つ」
「しかも政権が取り締まろうとしても」
「民が庇う」
その塩賊達をである。
「自分達に塩を安く売ってる有り難い存在やからな」
「そうなってですね」
「余計に力を持ってな」
「叛乱を起こそうと思えば」
「それが出来る位になる、起きた世界に黄巣ってもんがおった」
唐代末期のことである。
「その塩賊でな」
「その者が叛乱を起こしたのですね」
「十年に渡って中国を一周してな」
当時の唐の領土をである。
「最後は倒されたが」
「一周したとなりますと」
「もうな」
それこそであったのだ。
「当時の社会が壊滅してな」
「国中で暴れ回られたので」
「そこから国のあり方が変わったんだ」
具体的に言えばそれまでの貴族制社会が崩壊し宋代以降の社会となるきっかけになったのである、それが黄巣の乱であったのだ。
「そこまでな」
「壮絶な兵乱であって」
「塩賊が起こしたからな」
「塩のことにもですね」
「要注意や。発展したらな」
それが進めばというのだ。
「やがて塩も民間に移していくけどな」
「政権の専売からですね」
「そうするけどな」
「今はですね」
「専売にしてな」
「安くしますね」
「そうするわ、下手に高くしたら」
その様にすればというのだ。
「ほんまにな」
「民や勢力自体を疲弊させて」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「乱の危険もあるからな」
「絶対にしないですね」
「乱を起こさせるとかな」
そうなればとだ、張は顔を険しくさせて述べた。
「この世界を救う星のモンとしてはや」
「論外ですね」
「そやからな」
「乱はですね」
「絶対に起こらん様にな」
「善政を心掛けていきますね」
「そうしてくで」
こう言って実際にだった。
張は成都を中心にした自身の勢力圏となった地域を豊かにし民生を安定させる政策を行っていった。すると。
勢力圏の周辺から次々にだった。
「こっちに入りたいって言ってるな」
「そうなっています」
「周辺の街や村がそう言ってきています」
「張様の善政を聞いて」
「民も勢力も日に日に豊かに平和になっていくのを見て」
「そやな、ほなそう言ってきてる街や村はな」
張はそれならと応えた。
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