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夢幻水滸伝

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第二百六十二話 退魔師の努力その二

「それでしたらお願いします」
「娘をお救い下さい」
「お礼は弾みますので」
「どうか」
「お礼は兎も角困っている人を見捨てることはあかん」
 張は娘の両親に強い声で応えた。
「そやからな」
「はい、ここですね」
「娘を助けてくれますね」
「そうさせてもらうで」
 こう言ってだった。 
 早速ベッドの中で苦しそうにしている幼い娘に近付いてだった。
 そっと手をやった、するとだった。
 娘は忽ちのうちに息を普通のものにして目を開けてだった、明るい顔になりベッドから起き上がって言った。
「あの、もう」
「すっきりしたか」
「これまで死にそうだったのに」
「悪霊は祓ったわ」
 張は娘に微笑んで話した。
「相当悪い奴やったから地獄に送った」
「そうですか」
「これから十王の裁きを受けるわ」
 冥界にいる閻魔を代表とした彼等のというのだ。
「それでお嬢ちゃんはもう安全やで」
「そうですか」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「もうベッドから起き上がって普通に食べられるで」
「有り難うございます」
「ほなな」
「あの」
 親方がここでまた張に言ってきた。
「それでお礼は」
「別にそれは」
「いいとは言わないで下さい」
 断ろうとする張にこう返した。
「只より高いものはありませんので」
「そやからか」
「何でも申し上げて下さい」
「ほなこの辺りの空いている部屋と仕事紹介してくれるか」
「それで宜しいですか」
「お願い出来るか、わっちは今宿無し文無し仕事無しやからな」
 この世界に来て間もない、それでは当然だった。
「そやからな」
「ここはですか」
「そや」
 だからだというのだ。
「それをお礼にしてくれるか」
「では」 
 親方も頷いてだった。
 張は部屋に入りかつエクソシストの仕事をはじめることになった、仕事はその日のうちに親方が持って来た。
 その依頼を何なく終わらせるとだった。
 周りは驚きこう話した。
「この方凄いな」
「何でも星の方らしいぞ」
「何っ、この世界を救われる星の方か」
「そのお一人か」
「そうした方なのか」
「それなら当然だ」
 こう話してだった。
 親方だけでなく周りも次々と仕事を頼んできた、彼は仕事をはじめた次の日から一日に何件も依頼を受けてだった。
 一つ一つ瞬時にそれも見事に解決していった、だが。
 彼はここで親方に話した。
「わっちが一人で出来ることには限りがあるわ」
「やっぱりお一人だとですか」
「そや、それにわっちばかり仕事したらな」
 その様なことを行えばというのだ。 
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