おぢばにおかえり
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第七十二話 キャンバスライフその三
「私はまだ諦めないから」
「諦めないっていうかね」
「意地でもって気がするわ」
「小柄なのが嫌って」
「執念さえ感じるわ」
「気付いたら小さい方になっていて」
クラスの中でもです。
「それで高校に入ったら」
「皆言うわよね」
「ちっちは小さいって」
「そうね」
「そう言われてるから」
だからです。
「何とかね」
「背が欲しくて」
「それでずっと頑張ってるのね」
「何でも食べて」
「牛乳も飲んで」
「それで健康にはなったけれど」
好き嫌いなく食べたお陰で、です。
「背は伸びないのよね」
「それであれよね」
「あの後輩君は小さいままでいいっていうのよね」
「今高二だったわね」
「新一君はそう言うのよ」
自然とお顔が憮然となるのがわかりました。
「あの子はね」
「じゃあいいんじゃない?」
「そうよね」
「その子がいいっていうなら」
「それならね」
「よくないわよ、もっとよ」
私としてはです。
「あと五センチね」
「十センチじゃないのが控えめね」
「そこちっちらしいわね」
「何といっても」
「それ位あったら」
一五五センチあればです。
「もう言うことはないわ」
「たった五センチ欲しいってね」
「そこで十センチなんて言わないのね」
「ちっちって本当に無欲ね」
「ほしいがないのね」
「胸とかお尻はいいのね」
「そういうのはね」
これといってです。
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