夢幻水滸伝
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第二百六十話 雲南省掌握その三
施達の軍勢は攻撃態勢のまま交代で仮眠や食事も摂った、そのうえで休みもした。だが昆明の将兵達はというと。
兵が少なくかつ攻められる立場であるからだった。
警戒の念を解けなかった、夜の中警戒を解かずだった。
緊張したまま守りに就いていた、それは花華と緑麗も同じで。
二人は将兵達に濃い茶を飲ませ自分達も飲んだ、花華はその茶を一口飲んでからそのうえで緑麗に話した。
「こうしてな」
「はい、濃いお茶を飲んで」
「眠気を覚ましてな」
「警戒を続けますね」
「敵は何時攻めてくるかわからん」
「こちらが油断すれば」
「その時にな」
まさにというのだ。
「来るで」
「そうしてきますね」
「そやからな」
「こうしてですね」
「お茶を飲むんや」
濃いそれをというのだ。
「味を楽しんでリラックスして」
「かつ一服してですね」
「そのうえで眠気も覚ましてな」
そうもしてというのだ。
「そしてや」
「警戒を続けますね」
「夜の間な」
「敵は必ず攻めてきますね」
「それは間違いないわ」
緑麗に答えた。
「こっちが隙を見せたら」
「そやからこうして」
「お茶を飲んでな」
「目を覚ましますね」
「今は寝たらあかん、また寝られる」
その時が来るというのだ。
「そやからな」
「今はですね」
「起きるで」
「わかりました」
緑麗も真面目な声で応えた、そうしてだった。
昆明を守る者達は夜の間警戒を続けた、誰も一睡もせず食べても武装したまま立ったままで慌ただしいものだった。
だが施は自身の将兵達を休ませもした、そのうえで。
敵との対峙を続けた、すると。
夜が明けてきた、今しがた起きたばかりの蒲が施に言った。
「遂にですね」
「夜が明けてきたわ」
「今夜攻めるつもりでも」
「そやな、しかしな」
「!?」
ここで蒲ははっとなった、見れば。
施は今も笑っていた、その横顔を見てそうなって彼に問うた。
「まさか」
「わかったか」
「はい、敵は徹夜で守っていました」
「全員一睡もせずな」
「食事も急いだもので」
「そや、それではや」
「かなり疲れが溜まっています」
このことを察して言った。
「ほんまに」
「自分夜に言うたな」
「はい、完徹程疲れることはない」
「それはその通りや」
「ほなここは」
「そや、敢えてや」
「敵を疲れさせたのですね」
「そういうことや、ただほんまに敵が隙を見せたら」
その時はというのだ。
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