| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

原作(オリジナル)の主人公、略してオリ主

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第10.5話 約束 (高町なのは@7歳)

 
前書き
 
自分で読み返してもクオリティが低い。。。


ヒャッハーッ!!!!!!こうなったら過去――10.5話とか10.5話とか10.5話とか――のことは気にしねえでさっさと次(原作)へ行くしかねえぜ!

 

 
 
 「私、なのはちゃんのことが好きみたいです。」


時刻は2時ごろ。食事&運動後の眠くて仕方がない5時間目の授業と、退屈きわまる帰りの会からようやく解放された小学校低学年の児童達は、釣瓶落としとも呼ばれる秋の短い陽を精一杯満喫するのだと勢い良く教室を飛び出し下校を始めていた。凍りついてしまった2年1組の生徒を除いて。

 最高位氷結呪文《マヒャド》を唱え、2年1組の気温を氷点下へ至らしめた生徒の名は神崎晶子さん。
私立聖祥大学付属小学校にその名を知らぬ人無き公認勇者山田くん、其の人の相方である。寡黙で控えめな性格、名工の手による日本人形が如く整えられた容姿、見た目からは想像も付かないほどの多芸多才・・・と非常に濃いキャラクター性を彼女自身も有しており、勇者の相方に相応しい実力者として勇名を馳せている。
しかし、彼女には前述の通り既に『パートナー』が存在しているはずであり、また、彼女に同性愛の趣味はないはずなのだが・・・
おっと、2年1組を構成するメンバーから思考能力を取り戻す人物が現れたようだ。事件の解決は彼に期待するとしよう。


「・・・・・・何をしているのかしら?命が惜しくない愚か者以外はさっさと下校を始めなさい。
 そして、分不相応の野次馬根性を発揮しようと考える命知らず、ここへ来なさい。
 すずかが命の尊さについて、優しくO☆HA☆NA☆SHIしてくれるそうよ?」


2年1組の生徒で最も早く氷結解除に成功したのは燃える闘将アリサ・バーニングスであった。
彼はすぐさま極大閃熱呪文《ベギラゴン》で邪魔者《クラスメート》を全滅させにかかる。大魔道士マトリフ《エロジジイ》もかくやの魔法力である。
そんなアリサ嬢の脅し、ゲフン、魔法力によって速やかに帰宅を始める2年1組軍。名将アリサ、これほどか。
結果、教室に残ったのは、未だ凍れる時の氷像と化しているなのはさん、神崎さん、うっすら頬を染めたすずか嬢とアリサ嬢のみ。
ちなみに、はやて嬢は帰りの会終了と同時に教室へ迎えに来た過保護なシスコンの手によって既に下校済みだ。 ――八神兄妹は、私立聖祥大学付属小学校における最速下校記録保持者である。この記録は今学年に入ってから17回更新されており、その全てが八神兄妹によるものだったりもする。(トリビア



 さて、そんな経緯でひっじょーに気まずい空気とともに教室に残った4人であるが、事態を動かさんと口火を切ったのはすずか嬢であった。


「・・・アリサちゃん?まず、どうして、あそこで私の名前が出たのか、教えてくれないかな?」

「どうしても何も、O☆HA☆NA☆SHIと言えばすずかでしょう。いつもバカやったなのはにしてる事じゃない。気付いていたわよ?
 それで晶子?あなた、本当になのはのことが、、、その、アレなの?あの、ほら、姉妹になりたい的な。。。」


アリサ嬢がすずか嬢のリードブローを見事なクロスカウンターで撃墜し、返す刀で神崎さんへ斬り込――


「いいえ。違います。私は百合の嗜好は持ちあわせていません。
 なのはちゃんに対して発言した『好き』は、あくまでも友人としてのものです。それ以上の意図はありません。
 誤解とショックを与えてしまったことを謝罪します。」


――めずにいると、神崎さんの方から釈明が行われた。
一気に弛緩する場の空気。すずか嬢はそんなの関係ねえ!とばかりに俯き「それでも私はやってない」とかなんとか呪詛のような呻きを洩らし続けているが。


「ハァー、、、それなら、どうして晶子はあんなこと言ったのよ。
 皆が誤解して大変なことになってたじゃない。」

「そうなの!アキちゃんにはおはなしを聞かせてもらうの!!」


そんなすずか嬢は完全放置プレーで封印が解けられたなのはさんとアリサ嬢の連係プレーが神崎さんの発言の真意を追求する。


「結論から言えば、なのはちゃんが高貴君の横でいつも嬉しそうに笑っているのは、高貴君がなのはちゃんのことを深く愛しているからなんですね。
 ――ということに気付いたからです。」

「・・・・・・(ポフンッ)」

「ふぅ、ん、、、いいわよ。続けなさい。」

「そうですね。アリサちゃんは"reflection of love"というフレーズをご存知ですか?」

「ふむ。。。」



 ・・・・・・山田くんの惚気話がナチュラルに大量混入し、些か以上に冗長となった神崎さんの話をまとめると、どうやらこういうことのようだ。
"reflection of love"、直訳すると"愛の反射"。ここ数日の間、神崎さんはこのあまり直観的ではないフレーズの意味を考え続けていたらしい。
そして、ニコニコしながら高貴君の迎えを待つなのはさんを見てフと「これは相思相愛の二人を表す言葉ではないか?」とのヒラメキを得たそうだ。
それはどういうことかと言うと、「AがBに愛情を抱くのは、BがAを愛して(Bの愛がAに当たってB自身に反射して)いるから」、、、または、「BがAに愛情を抱くのは、AがBを愛して(Aの愛がBに当たってA自身に反射して)いるから」・・・といったような解釈《アイディア》なのだとか。

なのはさんからこの解釈を得た神崎さんは、一年前から山田くんに注がれ続けた愛情とそれに呼応するかのように自分の中で育っていった愛情を改めて確認したそうである。こうして「少しだけテンションが上がった(本人談)」結果が、冒頭の神崎さんの発言なのだそうだ。う、む、ごちそうさまである。


 そんな神崎さんの釈明タイム《解決編》も終わり――聴衆と呼べるのはアリサ嬢ただ一人だけであったが――教室には顔を赤くして立ち尽くすなのはさんだけが残された。自閉モードを絶賛続行中だったすずか嬢をアリサ嬢が牽引して行き、神崎さんは普通に歩いて帰ったためである。
誰も居ない教室に一人立ち尽くす7歳の少女。これが夕暮れ時なら何も無くともイジメ臭が漂ってしまう光景であるが今は午後2時を回った辺り。やっと2年1組の教室を訪れた高貴君だが、多少の違和を感じる程度に留まった様である。なのはさんの心中は多少の違和どころではなかったのであるが・・・


「なのは、すまん。遅くなった。図書室が思ったより混んでたんだ。」

「(ビクッ)コッ、コ、コ、コ、コウくん?!」

「お、おう?高貴さんですが、何か?」

「ななななな何でもないの!コウくん、早く帰ろ!!
 (うぅ、コウくんが来てくれた時、たしかに嬉しいと思ったの。これはコウくんが私のことをあ、愛してるからだって・・・アキちゃんが言ってたの。つ、つ、つまり、コウくんはなのはのことが好きなの?コウくんがなのはのことを・・・・・・駄目だよコウくん!なのはたちはまだ子どもなの!!)
 えへ、えへへへへ、、、うにゃ~~~~」


教室で一人ボンヤリしていたかと思えば、いきなり虚ろな眼をして壊れたような笑い声を生じ始めたなのはさん。
事ここに至ってやっとなのはさんの異変に気付く高貴君であったが時既にお寿司。
何があったのか尋ねる暇もなく腕を掴まれ、荷馬車へ載せられた子牛のように市場へ、もとい翠屋へ――今日はお手伝いの日なのだ――連れられてゆく。
廊下、昇降口、校門と各CP《チェキ☆ポイント》を軽快に通過し、大通りと商店街もアッと言う間に突破して住宅街へ進入したなのはさん。
一方、高貴君は引き摺られるに近い状態で同道を強制させられているため、若干トラウマ《腹パン拉致監禁の記憶》を再発させかけている。


 そんな高貴君を慮ったわけではないが、突如としてなのはさんの足が止まる。


「コ、コウくんっ!」

「hai!!」

「コウくんは、、、コウくんは、なのはのことが好きなんだよねっ?!」


どうやらなのはさんは、自分の想像している事が、神崎さんの私見に基づく妄想に過ぎないことにやっと気付いたようである。 ――やはりなのはさんが立ち止まった理由は顔色の悪い高貴君を慮ったからではなかった。拙作の三人称視点は、Axahi新聞《クオリティペーパー》のように、正確な表現を殊更に重要視していることに定評がある。
駄菓子菓子。なのはさん、神崎さんの私見を己が確信へと至らしめたいのはわかりますが、その台詞はNGだと思います。
いえ、別に発言の内容に問題があるわけではないのですが。。。
ただ、数年後のなのはさんがその発言を思い出した時に恥ずかしさで悶絶死しないか、激しく不安なんです。
ほら、なんと言うか、高貴君も深刻そうな表情で固まっちゃってますし?
おそらく、貴女の黒歴史発言を記憶野から削除《華麗にスルー》してあげるべきか悩んでいるんだと思いますよ?




-------------------------------




 ――こんにちは、高町高貴です。
俺は今日、というか今、放課後の帰り道にて幼馴染の女の子から「コウ君はなのはの事が好きだよね?!」と断定口調で質問されたんだ。
・・・・・・一体、なのはに何があったというのだろうか?口調こそ断定的だが、なのはが非常に不安そうな表情を浮かべているのが酷く気にかかる。
まさか、これは、なのはを不安にさせるようなこと――例えば俺がなのはを疎ましく思っている等――を吹き込んだ輩が存在するということだろうか?
うーむ、、、クラス全体で仲が良い2年1組に、そのようなイジメめいた、陰湿な嫌がらせをする者がいるとは考え難いのだが・・・まあ、下手な考えはこの辺で止めて、まずはなのはを安心させるとしよう。


「ああ、俺はなのはのことが大好きだよ。」


しっかりなのはと目を合わせ、本心からの気持ちを伝えてあげる。
俺がなのはと出会ってから2年。その間の記憶は・・・ユ、ユニークな思い出で溢れている。ま、まあ、概して言えば、なのはと一緒に居るのは楽しかった。
それに俺はあの日、なのはのことを守ると決めたのだ。その決意と、日頃の感謝を瞳に乗せて。お前のことが、嫌いなはずがないじゃないか、と。


「にゃっ?!
 じゃ、じゃ、じゃあ、コウくんは、な、なのはとずっといっしょに居てくれる?!」



――あるぇ?なんかいきなりなのはが顔を真っ赤にして体をモジモジさせ始めたんだが。。。

この反応、そして、その台詞。。。。

え? あれ? これって、、、まさか、フラグ? ――――はいぃぃぃぃっ?!
何?なのはさんの初恋って俺なの?ははっワロスッ。なにそれチョーウケル。なのフェイどこいった。あれこれってもしかしなくても俺から告白したって形だよな。中身オッサンの俺が7歳児に告白って完全にペドじゃん。社会のgmkzじゃん。半じゃ医者じゃん。死にたい。死んだ方がいいよね。よし死のう。



「コ、コウくん・・・?」


Ooops!!!なのはが涙目で俺の返事を待ってます!どうしよう!!あわわわわわ、、、はわわわわわ。。。
・・・・・・待て、落ち着けよ高貴さん。高貴さんはなのはを守ると決めたはずじゃないですか?!
ここで選択をミスしてなのはを傷付けるなんて本末転倒だろうが。
そうだ。今は驚きも、自己嫌悪も、何もかもを打ち捨てて、一意専心なのはのことだけを考えるんだ。。。


「ああ。俺は、なのはと一緒に居るよ。約束する。」


――なのは自身がそれを望み、そして、それが許される限りは。
そう。なのはの生きる世界は決して優しいものではない。だから俺はなのはを守ると決めた。ならば、俺となのはの関係は何も変わらない。
それに・・・初恋は成就しないものと、相場が決まっているだろう?


「そっ、そっか!
 ――なのはとコウくんは、ずっとずっといっしょ、なの。・・・こ、こ、こ、こ、これってプロポーズなの?!」


なのはの手が何かを求めるような仕草で揺れ動いている。そのことに気付いた俺は――無論、なのはの後半の呟きなど気付かぬ振りだ――なのはの細く小さな手を、しっかりと握り締める。約束の証しを、そこに立てるように。なのはの未来が安らかであれと、祈りを込めて。


「!! ・・・にゃは。にゃはははは♪」


なのはの赤く染まった頬が、幸せそうな笑顔が、やけに目に沁みた。そんな帰り道の出来事だった。




-------------------------------




「ただいま!お母さん!!」

「母さん、ただいま帰りました。」


その後も仲良く手をつないで帰ってきたなのはさんと高貴君の二人は、翠屋の扉を開き桃子さんに帰宅の挨拶をする。


「お帰りなさい、なのは、コウくん。
 ・・・なのはが随分嬉しそうだけれど、何かあったの?」


この時、なのはさんの顔と耳は完熟トマトのように真っ赤で、その表情は蕩けんばかりの笑顔であった。喜色満面、というには艶がありすぎである。
娘のこんな顔を見てナニかあったんじゃないかと思わない母親が、この世にいるわけがなかった。
年齢によっては完全にアウトな表情なのであるからして・・・


「それh「あのね!コウくんがなのはのことを愛してるって言ってくれたの!!」」

「あら」

「それでね!コウくんがなのはにプロポーズしてくれたの!!」

「あらあら」


高貴君の言を奪う形で、なのはさんは喜ばしい体験《主観的事実》を可及的速やかに報告完了した。衆人環視の翠屋店内で。
そして来店したお客の皆々様が微笑ましいものを見るような生暖かい目線《祝福の無言の言葉》をなのはと高貴君にプレゼントしてくださる。
しかし、そんな悪環境においても高貴君はポーカーフェイスを維持し――微かに血色は良くなっていたが――誤解を解くための説明を頭の中で練っていた。


「あの、母さん違うんです。」

「ち、違うの?」

「・・・違いません。俺は、なのはのことが好きです。」


論理的帰結の妥当性、客観的視点、中立的観点に基づく正確な事実の報告。そんなものは、なのはさんの涙目の前には塵芥に等しかった。
故に、高貴君は衆人環視の中で再告白――当人にそのような意図はないが――をするという羞恥プレイを行うよりなかったのである。
如何に鋼の理性、鉄の良識、廃レベルなモラルを誇る高貴君といえどもポーカーフェイスの維持は不可能であった。。。
そして顔を真っ赤に染めた小学二年の男子と女子が視線を絡めあう光景が完成した。桃色っぽい空気がその場に漂い始める・・・何この喫茶店・・・・・・


 そんな中、桃子さんは一人マイペースに二代目翠屋オーナー夫妻育成プランを練っていたのであった。





 
 

 
後書き
 
はい、なのはさんの初恋自覚編でした。

「なのはちゃんって高貴君のことが好きなんだね(笑)」みたいな冷やかしを受けて、急に恥ずかしくなって「アレ、なんで?」と自分の気持ちに気付く王道パターンではなく、「高貴君って本当になのはちゃんのことを愛してるんだね(真剣)」という、とんでもない意見がとんでもないタイミングで出てくる、そんな意表を突かれる形で、「コウくんが私のことを・・・ ///」と意識するパターンになりました。
いやなんか、なのはさんって鈍そうですし。。。王道パターンの方じゃあ普通に「うん、好きなの!」で流してしまいそうだったんで。

意識するところから告白?までが神速過ぎてワロタ。まあその、高貴君に告白?されるところも自覚のプロセスに含まれてます。
なのはさんって鈍そうですし、意識した程度じゃそれが初恋だって気付かないかなーみたいな。

そして、高貴君の抱える問題もちょっと見えたりしました。まるでヘタレ系のギャルゲ主人公みたいな・・・まあ、はい。もろそんな感じですね。
でも彼のことですから、そのうち勝手に自覚して勝手に解決してくれるでしょうw拙も知らぬでござるwww(特に解決編を予定してない的な意味で

それから愛の反射云々はマジ適当ですね。自分で書いててアレですが頭がおかしくなって死にそうにだった。



神崎さん
→キャライメージは座敷童子。山田くんの女神だが、今回や前々々回のようになのはさんにも華麗なアシストをすることが稀に良くある。
 山田くんと神崎さんは、 「いくぞ、神崎!」 「はい。」
 このやり取りだけで大体なんでもこなしてしまうカップル。チートってわけではないが、非常識。

一意専心
→高貴君は見事に己の迷いを断った。流石はゼンガー師匠もリスペクトする永全不動八門の一派が御神真刀流を修める剣士である(捏造

拙作の三人称視点
→ねつぞ、ゲフン。誤った表現をしても訂正も謝罪もしない。クオリティ(笑)

初恋は成就しない
→年齢、社会的身分などにおいて明らかなミスマッチが生ずることが多いからではなかろうか。典型例は娘の「パパと結婚する!」みたいな?
 あとは、初恋っていうかガキの頃の好悪の感情って結構簡単に冷める(忘れる)事が多いし。喧嘩してもすぐ仲直りしたり。

年齢によっては完全にアウトな表情
→7歳(検閲されました。

愛してる
→俺のログには(ry 神崎ィ・・・

プロポーズ
→こんな言葉をなのはさんに教えたのは誰だあっ!!

祝福の無言の言葉
→プライスレス。それは、黄金の鉄の塊で出来ている。





 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧