夢幻水滸伝
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第二百五十八話 烏江以東その六
「今からかかるで」
「今からですか」
「総攻撃を仕掛けてな」
その様にしてというのだ。
「そしてや」
「攻略するのですか」
「正攻法やない」
施は紅美に話した。
「この度はな」
「ほなどないするんや」
郭は施に怪訝な顔で問うた。
「一体」
「囲んで正攻法で四方八方から攻めるんやなくてな」
街をというのだ。
「一方に戦力を集中させてな」
「そうしてか」
「自分等も集まってな」
そうもしてというのだ。
「そしてや」
「集中攻撃を浴びせて」
「そのうえでな」
「敵の一方を突き崩すか」
「そうする、しかもな」
施はさらに話した。
「総攻撃の前にもう一つ手を打つ」
「どうした手や」
「水攻めや、貴定の西には川が流れてる、その川の水を堰き止めてな」
そうしてというのだ。
「城の西にや」
「水攻めを仕掛けるか」
「川の水を堰き止めて貯めて」
「機を見て水を放ってやな」
「その激流で城の西を攻撃して」
そしてというのだ。
「強烈な一撃を浴びせてな」
「自然のやな」
「そこから総攻撃も浴びせて」
「崩すか」
「陸からも空からも攻めにくくなってて」
今の貴定はというのだ。
「守りも固い、しかも時間もかけられん」
「そんな状況でもやな」
「攻め方はある」
「それがやな」
「水攻めや、張達が迫ってても水攻めを行う時間はある」
それはというのだ。
「そやからな」
「ここは水攻めやな」
「それをするわ、自然の強さは人のそれを遥かに上回る」
施は強い声で語った。
「この世界でもそれは変わらん」
「そやからやな」
「ここはな」
「その自然の力を使うな」
「そうする、ほな即座に水攻めの用意や」
施は全軍に命じた、そうして即座に工兵達を中心として川の水を堰き止めてそこに術で堰き止めた水をさらに増やす様にしてだった。
水を貯めた、そしてだった。
頃合いと見るとだ、川を決壊させ。
城の西に激流をぶつけさせた、それでも城の西の城壁は崩れなかったが。
「相当にです」
「ダメージを受けたな」
「はい」
蒲は答えた。
「そうなりました」
「崩れんのはわかってた」
「あれだけの激流を受けても」
「そや、しかしな」
それでもというのだ。
「ダメージはや」
「受けますね」
「そうなることがな」
まさにというのだ。
「自分の狙いやった」
「そうでしたか」
「そしてそのダメージを受けた城壁にや」
「これからですね」
「総攻撃を仕掛けてな」
そうしてというのだ。
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